【第166回】
「日帰り」当たり前の時代に
角膜移植(中)
角膜とは、眼球の最も前面にある、俗に「黒目」と呼ばれる透明な膜。「光を通す」「光を屈折させる」「眼球の壁の一部を構成する」の3つの働きを担っている。「この角膜が混濁してしまったり、光を正しく屈折できない状態や角膜に孔(あな)があいてしまうと、角膜移植が必要となります」と、慶応義塾大学病院(東京都新宿区)眼科の坪田一男教授(50)は言う。
角膜移植に結びつく原因疾患としては、円錐(すい)角膜、角膜白斑、水疱(すいほう)性角膜症、角膜変性症、角膜化学傷・熱傷などがある。「最近増えているのは『水疱性角膜症』です。角膜に水分がたまってむくんでしまった疾患ですが、今は白内障手術後、また、緑内障のレーザー治療後に起きるケースが増えています」。
白内障の「眼内レンズ挿入術」は、年間90万眼、行われている。安全性の高い一般的な手術だが、これだけ多く行われていると、0・1%に起きたとしても900件に上ることになる。「この場合は角膜の三層すべてを取り替える全層角膜移植術になります」。
このほか、円錐角膜は思春期に発症する角膜変性疾患で、角膜中央部が突出し、レンズとしての役割が損なわれてしまう。逆に高齢者に多いのが角膜白斑。若いときに角膜炎などを患い、角膜に癒痕が残ったケースである。
そして、やけどや薬品などによって角膜に強い癒痕の生じるのが熱傷や角膜化学傷である。
▼角膜の構造 厚さわずか0・5ミリにもかかわらず上皮、実質、内皮細胞の3層になっている。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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