【第167回】
術後の近視防ぐLASIK
角膜移植(下)
角膜移植は角膜が混濁してしまったり、光を正しく屈折できない状態や角膜に孔(あな)があいてしまった場合に行われる。手術自体は、悪くなった角膜を取り除き、新しい角膜を縫いつける。手術は約30分で終了してしまう。
これまでの角膜移植は、角膜を透明にすることが最大の目標であった。術後に近視や遠視、乱視になっても眼鏡で矯正すれば良い、と考えられていた。ところが、「今はそれでは通用しません」と、慶応義塾大学病院(東京都新宿区)眼科の坪田一男教授(50)は言う。「今日では、眼鏡なしでどれだけクリアに見えるようにできるか、その点まで重要視されているのです」。
つまり、高い質が求められている。そこで、乱視を減らして近視、遠視に傾きすぎない技術を、坪田教授らのチームは研究し、確立した。
それは−。「角膜を縫いつけた後、縫合部を全体的にチェックします。すると、角膜が寄り集まりすぎてシワになっているようなところがあります。そういうところは縫い合わせた糸をちょっと動かすと、ピシッとしたゆがみのない面になります。こうすると乱視になるのを防ぐことができます」。
それでも乱視や近視になるケースも多少はある。このようなときには、さらに、もう一段階、治療法のある時代になった。「レーザーを使ったLASIK(レーシック)という近視、乱視の治療手術が、角膜移植後の患者さんにも使えるのです」。
角膜移植は確実に新時代に突入した。
▼LASIK レーザーを使った屈折矯正手術。点眼麻酔後、角膜上皮と角膜実質の一部をマイクロケラトーム(カンナのように削る医療器具)でめくる(フラップ)。レーザーを照射して角膜実質を削った後、フラップを戻して屈折矯正手術は終了する。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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