【第169回】
ほっておくと30%死亡
睡眠時無呼吸症候群(上)
連想ゲームをすると、「居眠り運転」では「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を連想する人が増えているという。2年前の山陽新幹線の運転士の居眠り運転の影響が大きいようだ。
これは人身事故には結びつかなかったが、睡眠障害が大惨事に結びついているケースは多い。もちろん、交通事故にも大いに関係している。米国のフィンドリー博士の研究報告によると、SAS患者は健常者と比較すると約3倍も事故を起こす頻度が高いという。
SASの定義は−。「7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸状態が30回以上(1時間に5回以上)あるものです。日中に耐え難い眠気を伴うため、睡眠障害の中では過眠症に分類されています」と話すのは、愛知医科大学病院(愛知県長久手町)睡眠医療センターの塩見利明教授(51)。
原因の多くは睡眠中に舌やのどの筋肉が沈んで上気道をふさぐからで、肥満者ではよりふさがりやすい。「このSASが問題なのは、酸素を十分に吸い込めないので低酸素血症になります。すると、心臓に負担がかかりやすくなり、不整脈や狭心症のリスクを高めます」。
さらに、SASが肥満を進行させて糖尿病、高脂血症、高血圧といった生活習慣病の合併にも結びつく。これらが合併しているのを「メタボリック症候群」という。
そして、SASを治療しないでほっておくと−。「カナダの研究報告では。1時間に20回以上無呼吸になる人が治療をしないでいると、9年以内にその30%が血管障害で亡くなるというのです」。怖いことになるのである。
▼メタボリック症候群 虚血性心疾患の危険度は、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症の4つを合併すると、その危険度は極めて高くなる。肥満を中心に、3つ以上合併しているケースをメタボリック症候群という。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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