【第57回】
本態性の60%は遺伝
高血圧症(中)
生活習慣病の中で最も患者の多い病気、高血圧症。この高血圧症が怖いのは、脳卒中や心臓病に結びつくからである。そのため、音もなく忍び寄る殺し屋「サイレント・キラー」とも呼ばれている。
高血圧は大きく分けて2つのタイプがある。1つは「本態性高血圧」で、もう1つは「2次性高血圧」である。
この2つの違いを、高血圧治療で有名な朝日生命成人病研究所(東京・千代田区)の藤井潤名誉所長(77)に解説してもらおう。「本態性高血圧の『本態性』とは原因不明という意味で、最も大きなファクターとしては遺伝が関係しています。高血圧のほとんど、95%が本態性高血圧です。一方、2次性高血圧は腎臓や副腎などに病気があり、それが原因で高血圧を引き起こす場合をいいます」。
2次性高血圧では手術で根治できる場合がある。腎臓に血液を送る腎動脈が狭くなる「腎動脈狭窄(きょうさく)」。「原発性アルドステロン症」は、副腎皮質から分泌されるホルモンの1つ、アルドステロンの分泌が増え、それが尿中のナトリウム排せつを抑えてカリウムの排せつを増やすため、血圧が上昇する。このほか「クッシング症候群」「褐色細胞腫(しゅ)」などが手術で高血圧を治すことができる。
一方、本態性高血圧は遺伝の力はおよそ60%といわれる。「かつて熊本大学で行われた一卵性双生児と二卵性双生児の血圧の値が一致する頻度を調べた結果、一卵性双生児では約70%、二卵性双生児では約40%でした。加えて、海外などでの研究報告でも同じような結果が得られています。だから、両親ともに高血圧の人は注意が必要です」。
このほか「食塩の摂取過多」「肥満」「運動不足」「アルコールの飲みすぎ」「ストレス過多」といった環境因子も本態性高血圧には関係している。
▼2次性高血圧を疑うケース 「ある日、突然発症した高血圧」「家族に高血圧や脳卒中の人がいないのに高血圧になった」「手足の力が抜けることがある」「急に太り、丸くて赤ら顔になった」「血圧が著しく変化する」などがあるときは、精密検査を受けるべきである。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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