【第61回】
酢酸注入とラジオ波焼灼療法の二刀流
肝臓がん(上)
「大学病院に匹敵。いや、それ以上」−多くの患者からこう評価されているのが埼玉県鶴ケ島市にある大西内科。大西久仁彦院長(57)が肝臓がん治療の第一人者とあって、患者は国内はもとより、米国、韓国などからも訪れる。
1年間の入院患者は約350人。19床の大西内科なので限界の入院数。内訳を聞くと、大西院長は次のように言った。「肝臓がんの方が約320人、残り30人はC型肝炎でインターフェロン療法を受けた人、食道静脈瘤(りゅう)に対して内視鏡的結紮(けっさつ)術を受けた人が、それぞれ15人ずつです」。
これほど肝臓がん患者が集中するのは、大西院長が肝臓がん治療の1つ「経皮的腫瘍(しゅよう)内酢酸注入療法」の開発者だから。加えて、ラジオ波でがんを焼灼(しょうしゃく)する「ラジオ波焼灼療法」の技量にも優れているからである。
もちろん、それ以前に肝臓がんの画像診断に優れていることは言うに及ばない。大病院で「手術は無理」とサジを投げられた患者が藁(わら)にもすがる思いで訪れる。大西院長が画像診断をすると「手術可能」の診断が…。「確かな外科医ならという条件つきです。国立がんセンター中央病院肝胆膵外科の小菅智男部長に紹介し、手術は成功しました。こういうことがたまにあります」。
大西院長はセカンド・オピニオン(主治医以外の専門医の診断)、それも優秀な外科医の意見を聞くことを重視している。「肝臓がんが3・5センチ以上だったり、太い血管に近いといったように。大きさや部位によってセカンド・オピニオンが基本になります。外科から内科的治療と判断されると、それは私が治療します」。
大西院長はエタノールの代わりに酢酸を注入する酢酸注入療法とラジオ波焼灼療法の二刀流で対応。飛躍的に治療成績を向上させている。
▼食道静脈瘤内視鏡的結紮術 肝臓がん患者が合併する疾患で多いのが食道静脈瘤。この治療に内視鏡を使って静脈瘤に輪ゴムをかけて治療する方法である。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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