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2004/11/08付紙面より
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泣いてどうする紳助
文化社会部 梅田恵子記者
島田紳助(48)が、所属する吉本興業の女性マネジャー(40)を殴って騒動になっている。公的機関に判断を委ねている以上、善し悪しは言わない。ただ、気持ちの部分でカッコ悪いなあと思うところが3つある。女性を殴ったこと、謝罪会見で泣いたこと、大人の男が感情にかられて取り乱したこと、である。
両者の言い分は食い違っているが、紳助は「楽屋に引きずり込んで髪の毛をつかみ、3回揺すって平手で一発殴った」ことは認めている。それだけで十分だ。女が強くなったといっても、それは「自己主張するようになった」とか「精神的にタフになった」などの意味であって、腕力まで進化したわけではない。激怒した男性に密室に連れ込まれ、カギをかけられた段階で、どんな女性でも腰の抜けるような恐怖を感じる。
事件の第1報が入った時点で、本紙はマネジャーが女性だと特定できていなかった。個人的には“ケンカ両成敗”の印象で受け止めていたのだが、その後相手が女性だと知って、正直、紳助のイメージがガラガラ崩れる思いだった。暴走族出身を公言しており、善し悪しは別にして、それなりの男気をイメージしていた。反撃能力のない格下に暴力で訴えるタイプにはとても見えなかったからだ。
そもそも礼儀や常識をめぐって始まったトラブルである。腕力が同等の男同士の格闘なら「筋を通した」という着地にもなったかもしれない。あれだけ暴力がらみの騒動を起こした故横山やすしさんでも(比較するだけでも失礼かもしれないが)女性を殴って話題になったことはない。紳助は「僕のゆがんだ正義感のせい」と話したけれど、ゆがんでいるのは正義感ではなく“男らしさ”の基準である。
紳助によれば、女性はなれなれしい態度で話し掛けてきた上に、吉本の幹部を呼び捨てにしたという(女性側は全否定)。この言い分が本当なら、相手の非常識さを帳消しにして「100%自分が悪い」などと泣く必要はないはずだ。芸能界という縦社会のしきたりを重んじる紳助と、帰国子女らしいざっくばらんな接し方。価値観はぶつかって当然で、その一点ではとことん主張し合えば良かったのだ。
「カネはもらったが、要求はしていない(賄賂ではない)」。鈴木宗男被告はこの一点にこだわり、懲役2年の実刑判決を受けてもなお「控訴する」と譲らない。不正は論外だが、世間が何と言おうと肝の部分は曲げないというツッパリ方に限っては、たとえゆがんでいても大したものである。
48歳の大人の男が激情にかられてわめいてしまう、という光景は、会社組織ではありえない、あってはいけないものだ。部下にカミナリを落としている紳助世代の管理職には「ここまでガツンと言えば少しは効くだろう」という冷静な計算が必ずあると思う。
だが、なんといっても「タレント紳助」にとって最大のダメージは、あの号泣会見だ。毒舌キャラ、悪びれない面の皮の厚さのイメージ。タレントとして失ったものは、あまりにも大きい。
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◆梅田恵子(うめだ・けいこ)
文化社会部。芸能担当7年、社会面担当7年。昨年10月からまた芸能担当。趣味は買い物、ミステリー小説。東京・豊島区生まれ。89年入社。37歳。
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