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2004/11/21付紙面より
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日米“球”界の統一を
写真部 鹿野芳博記者
ここに2つの球がある。いずれも野球の硬球で、色、形など、どこから見ても同じに見える。触っても、軽く投げても私には違いは分からない。よく見ると刻印が違う。「NPB」と「MLB」。日本のプロ野球の球と、米国のメジャーリーグの球だ。
日米野球第2戦の時だった。東京ドームの一塁カメラマン席で写真を撮っていると、この日、出番のなかった巨人の阿部慎之助捕手と目が合った。阿部はつらそうな顔をしながら、腕の筋肉を伸ばしていた。そして「筋肉痛…」と言った。
日米野球では米国の球が使用された。阿部は第1戦でスタメン出場し、8回の守備までマスクをかぶった。捕球数は141球。「アメリカの球は重いんですよね」。慣れない球に戸惑った。
公認野球規則にはボールの重量は「5オンスないし5オンス1/4(141・7〜148・8グラム)周囲は9インチないし9インチ1/4(22・9〜23・5センチ)」と記されている。日本も米国もこの範囲内の球を使用しているわけだが、プロの選手にしか分からない微妙な違いがそこにはあった。
米国は全球団ローリングス社製の球を使用している。材料のコルク、牛皮、糸は米国産で、コスタリカ共和国の工場で縫製され、年間約220万個生産されている。
日本は各球団がメーカーを自由に選択でき、使用球はそれぞれ違う。巨人、西武、ダイエーなどはミズノ社製を使用し、今年セ・リーグを制した中日はサンアップ社製とミズノ社製の両方を併用した。これはメーカーの違いにによる「飛ぶ、飛ばない球」という問題もかかわってくるが、日本国内においては、球団ごとに数社の球が使用されている。
ローリングス社の日本代理店であるアシックス・ベースボールプロモーションの藤原壮一郎マネジャーに聞いた。「メジャーで使用されているローリングス社のボールは、表面の皮の仕上げがカサカサした感じになっているので、しっとりとした日本製の球と異なり、持ったときに重く感じるかもしれないですね」ということだった。
日米野球で2度先発した阪神の井川慶投手は「(重さに関しては)テニスボールと砲丸の球ほどの違いがあった」と表現した。メジャーの球は縫い目が日本の公認球より若干高く、空気抵抗があるといわれる。私には理解できない領域だが、選手にとっては大きな問題である。
日米野球が終わり、王監督は日本の公式戦使用球をメジャーで使われている球の規格に合わせるよう訴えた。
新規参入する楽天は来季、国際球の使用を検討している。国際球とは五輪や06年実施の野球W杯で公認される球で、メジャー使用球をモデルに作られているものだ。
サッカーやバレーボール、テニス、卓球など球技はいろいろあるが、ボールが統一されていないのは野球だけともいえる。「野球」と「ベースボール」は違うと言われたのは、もうそろそろ過去の産物にした方がいい。
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鹿野芳博(かの・よしひろ)
写真部。野球、サッカー、プロレス担当を中心に、五輪、サッカーW杯、メジャーリーグ取材などを経験。93年入社、36歳。
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