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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2004/12/07付紙面より 過去のコラム一覧へ

鳥栖は福岡になれる?

西部本社報道部 中村泰三記者

 佐賀県のJR鳥栖駅の裏手に、2万5000人を収容する「鳥栖スタジアム」がある。駅からは徒歩で5分もかからない。マイカーならば、鳥栖インターチェンジから約15分ほどで目的地に到着する。

 鳥栖には九州を南北に貫く九州自動車道、東西に走る大分・長崎自動車道が交差する「鳥栖ジャンクション」があり、この地は九州地区の流通の要所とも言える。言い換えれば、九州各地から自家用車で足を運びやすい立地条件を誇る。その利便性は、プロ野球ダイエーホークスの本拠地、福岡ドームの比ではない。ただ、ここをホームグラウンドとするサッカーJ2のサガン鳥栖は、地の利を生かす以前のチーム状態にあった。

 クラブ存続をかけ、鳥栖は迷走を続けた。経営問題で先行き不透明な状態だったが5日に開かれた臨時株主総会で、経営参画に名乗りを上げた水産貿易会社社長ら4人の取締役追認を否決。今後は佐賀県が仲介し、Jリーグも好意的に受け止める人材ネットワーク会社「クリーク・アンド・リバー社」(東京都、井川幸広社長)に経営権を譲渡し、新会社を設立し、再出発を図る見込みだ。

 サッカー担当の押谷謙爾記者によれば、仮に水産貿易会社社長らが取締役として認められた場合、鳥栖市はホームタウンを拒否し、クラブに他の都市への移転を要求する強硬措置を取る意向だったという。それほどまでに鳥栖の現状は、ひどすぎた。

 来季陣容などを話し合うべき松本育夫監督(63)を11月上旬から球団事務所への出入りを禁止。11月のファンとの意見交換会では古賀照子社長(48)がクラブの財務諸表の開示を求める質問に激怒し、30分以上時間を短縮して閉会させる暴挙に出た。来季の監督問題についても古賀社長は「松本監督とJリーグとで話をしてもらって、鳥栖に残られるなら残られるで、出た結論に私どもも決める」と、球団トップとしての責任を放棄するなど、数々の驚く話を残している。

 11月20日の京都戦を初めて取材した。正直、驚いた。気温18・1度とはいえ、スタンドを抜ける風が体感温度をグッと下げる。そんな中、スタンドでは鳥栖のユニホームを身にまとった小学校低学年の子供が体をジャンプさせながら、声援を送っていた。観衆2269人。確かに少ないが、第3者的には全く魅力に欠けるこのチームを、こんなに応援する人がいるとは思わなかった。

 地域、Jリーグが支援する、新体制発足のめどは立った。だが、ここから強い鳥栖に生まれ変わらない限り、また同じことが繰り返されるだろう。鳥栖には「人づくり」「まちづくり」「夢づくり」という基本理念がある。J2とはいえプロ球団だ。強いチームが人を呼び、街を活性化し、そこから夢が生まれる、と思う。

 プロ野球のダイエーは地方球団の理想的モデルとなったが、99年の初優勝を境に地域に完全に浸透し、シンボル的存在となっていった。人口約6万3000人の鳥栖市の発展に、鳥栖というチームの存在は必ず必要なはずだ。

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   column@nikkansports.co.jp
◆中村泰三(なかむら・たいぞう)
 93年西部本社入社。競輪担当後、94年オフからダイエー担当。02年から東京本社で横浜、プロ野球全般を担当。11月から西部本社報道部。福岡出身、33歳。
中村記者の写真

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