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2004/12/28付紙面より
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揺れない女の胸の内
文化社会部 梅田恵子記者
「私はヒゲとワンセット。野田義治についていく」。芸能プロダクションのイエローキャブが分裂し、事実上の解任となった前社長の「ヒゲ」こと野田さんの形勢が不利な状況の中で、所属タレントの1人山田まりや(24)は毅然(きぜん)と語った。別件で開かれた会見で飛んだ質問への答えであり、即答した彼女の決意のほどがうかがえた。
現事務所に残るか、野田さんの新事務所に移るか。仕事量が所属事務所の力関係で決まる傾向が否めない芸能界では、タレント生命を左右する選択である。「社長(野田さん)じゃなかったら今の私はない。グラビア時代からずっと守ってくれた。社長以外にあり得ない」。長いものに巻かれたり、勝敗が見えないうちは旗色をはっきりさせなかったり、芸能界でもそんな例をたくさん見聞きしてきたから、胸がすく思いがした。「地球上で起きている戦争に比べたら、こんなアクシデントは屁(へ)でもないわ!」。続く言葉に器の大きさも感じた。
今回の騒動は、キャブの名物社長だった野田さんが筆頭株主の承認なく増資に踏み切ったことが発端だ。雛形あきこ、山田まりや、MEGUMIの3人が野田さんと行動を共にし、小池栄子、佐藤江梨子らがキャブに残留する。
正直言って野田さんの丼勘定型の経営は時勢に合うとは思えない。これと思ったら新人売り出しの先行投資にジャブジャブ金を使うし、タレントのCM出演料の請求書を出し忘れるという仰天エピソードの持ち主でもある。
だが、情の面からいえばこれほど魅力的な人もいない。タレントのピンチには体を張る。まりやが「ずっと守ってくれた」と実感するのも当然だ。雛形の不倫騒動では本人に代わって矢面に立ち、限りなくクロに近い状況で「不倫は2000%ない」「タレントはおれが守る」。決してコワモテではないのだが、娘を守る父親のような懸命さに気押される思いだった。芸能界のトップの中でも数少ないカリスマの1人である。
細川ふみえ、かとうれいこ、雛形あきこ…。野田さんの元で育ったタレントの多くは名前が平仮名の表記になっている。野田氏と2人3脚でスタートを切った所属タレント第1号で、胃がんのため88年に23歳の若さで他界した堀江しのぶさんをしのんだ伝統だ。だが、最近は小池栄子、佐藤江梨子など漢字のままデビューさせ、こだわらなくなっていた。この辺の微妙な温度差が残留、移籍の境界線になったようにも思える。「情」の濃淡の差である。それがそのまま野田さんへの尊敬の濃淡にもつながっている。
これまでの取材経験では、女性は恋愛や結婚に関して打算が見え隠れすることはあっても、こと仕事をめぐる人間関係ではこの「情=尊敬の思い」の部分ばかりが印象に残っている。浜崎あゆみと所属レコード会社社長や、高橋尚子と小出義雄監督の関係などにもそれを感じる。迷いはないし、一途に決断に至っている。
NHK大河ドラマ「新選組!」の最終回で、近藤勇が延命を考えずに幕府徳川家に殉じた姿はカッコ良かった。想像した以上に胸に迫る思いがしたのは、私が女性だからだろうか。
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◆梅田恵子(うめだ・けいこ)
文化社会部。芸能担当7年、社会面担当7年。昨年10月からまた芸能担当。趣味は買い物、ミステリー小説。東京・豊島区生まれ。89年入社。37歳。
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