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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2005/01/11付紙面より 過去のコラム一覧へ

新聞作りに学生奔走

写真部 鹿野芳博記者

 3日、箱根駅伝復路ゴールの東京・大手町で、新聞を配っている女性に出会った。「駒大スポーツ」の小桧山由佳さん(21)。文学部の3年生で、陸上担当チーフを務めているという。

 手渡された新聞は6ページで、かなりしっかりした作りだった。1面はカラーで「駒大・箱根駅伝4連覇へ」という大きな見出しがあった。彼女が取材した原稿と写真が、署名入りで掲載されていた。

 この新聞は箱根駅伝の2日間で、1万5600部、無料で配られたという。大手町、品川、川崎、鶴見、横浜、戸塚、平塚、小田原、芦ノ湖の沿道に、延べ63人の部員が配置された。「こんなに配ったのは今年が初めてです」。陸上部の活躍に彼女たちも力が入った。

 往路はゴールの芦ノ湖で配る担当だった。そのため、400部が一塊になった15キロの新聞を大会前に自宅に持ち帰った。最寄り駅から自宅までは自転車で運んだ。前かごに入りきらず斜めに積んだが、あまりの重さにタイヤがパンクするのではと心配した。

 当日は午前5時に起床した。睡眠時間は3時間。新聞を紙袋に詰め、再度、自転車で駅に行き、電車とバスで芦ノ湖に向かった。ゴール地点には午前9時に到着した。集まった4人の部員で早速、新聞を配った。新聞を手にした人から「寒い中ご苦労さま。頑張ってね」と声をかけられたときはうれしかった。

 新聞を配り終わったのは昼すぎだった。忙しすぎて食事をするのも忘れていた。無料配布の豚汁を1杯食べ、やっと落ち着いた。そして、駒大が往路2位でゴールするのを確認した。

 後片付けをし、午後2時すぎに芦ノ湖を出発し、自宅に着いたのは午後6時。母親の手料理を食べ、テレビ録画していた往路のビデオをスタートから見た。取材に生かすため、アナウンサーが言った事や上位チームのタイムをメモした。深夜0時をすぎ、駒大のゴールを見届けると、知らぬ間にホットカーペットの上で寝てしまった。普段はないことだ。

 翌日は午前7時に起きた。復路は大手町が担当だ。ゴール地点に午前10時すぎに到着し、写真撮影用の場所を確保した。その後、新聞を12人で4400部配った。あとはゴールを待つだけ。駒大は見事、箱根駅伝4連覇を達成した。

 由佳さんはその後、駒大玉川キャンパスに移動し、祝勝会で盛り上がる選手を取材した。8日の号外用のためだった。取材を終え帰宅したのは午後10時過ぎ。彼女の長くて熱い2日間が終わった。

 駒大スポーツは年4回〜5回制作されている。由佳さんの最大の悩みは、新聞制作で「お金がない」ことだ。「取材の交通費などすべての活動が自腹」という。昨年は出雲駅伝や全日本大学駅伝(三重県・伊勢)に出張し、約5万円の旅費がかかった。2年前に購入した1眼レフカメラには8万円を投資した。

 年間購読料3000円の駒大スポーツ応援会というものがあるという。駒大OBの中畑清氏も協力してくれているが、現在の会員数は300程度でしかない。

 私は何もしてあげられないが、同じ新聞を作るものとして、彼女たちの活動を応援したくなった。

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   column@nikkansports.co.jp
鹿野芳博(かの・よしひろ)
 写真部。野球、サッカー、プロレス担当を中心に、五輪、サッカーW杯、メジャーリーグ取材などを経験。93年入社、36歳。
鹿野記者の写真

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