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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2005/01/19付紙面より 過去のコラム一覧へ

地方馬でこそバルク

レース部 高木一成記者

 ホッカイドウ競馬からの参戦で、昨年の中央競馬界を盛り上げたコスモバルクに中央移籍の話が出た。今年の初戦に予定されている3月26日の日経賞で3着以下に敗れると、G1天皇賞(春)に出走できないためだ。

 もちろん日経賞で出走権を取ればいいわけで、まだどうなるかは全く分からない。ただ、バルクの場合は地方所属馬が、ほぼ毎回長距離輸送のハンディを背負いながらも中央のエリートに挑戦し続ける姿勢がファンの共感を呼んだ面もある。スターホース不在といわれる中、最近では珍しいドラマ性のある馬として注目された馬でもある。

 田部師をはじめスタッフの頑張りを見てきた個人的な感想も含めて、ホッカイドウ競馬所属のまま頑張って欲しいと思った。

 そもそもオーナーサイドの岡田繁幸氏が昨年、地方所属のままでの中央競馬挑戦にこだわったのは「地方と中央の垣根を低くしたい」「地方からでも活躍できるということを知らしめれば、馬主さんも地方に目を向け、生産界も潤いを取り戻せる」という考えがあったから。競馬界全体の繁栄を願う、その考えは素晴らしいと思う。その効果もあり、不況が続く地方競馬の中で、ホッカイッドウ競馬の04年度の売り上げは前年を上回った。

 だが、一方で中央競馬の地方所属馬に対する制度は大きくは変わっていない。前年に国際G1ジャパンC2着の実績がありながら、トライアル的レースをクリアしないとまともにG1に出走できない。どれだけ来るか分からない外国馬の参戦に対してどんどん門戸を開いていく中、出走意思のある実力地方馬に課せられたハードルはまだまだ高い。その意味では、岡田氏が昨年のバルクで問題提起したことは、波紋を起こしただけにとどまっている。この段階での中央移籍は、夢は途中とはいえないか。

 昨年の皐月賞前に結成されたコスモバルクファンクラブという組織がある。政党の枠を超えた北海道議会議員34人が、道営競馬を盛り上げていく目的で、さまざまな活動を行ってきた。藤沢澄雄事務局長(48)は「今までオーナーは自分の損得抜きにして頑張ってくれた。タラレバでいえば、初めから中央に在籍していたらもっといい結果が出ていたかも知れない。億のお金の差が出るかもしれないし、(中央移籍となっても)仕方ないとも思う」と理解を示した上で「でも正直寂しいね」と複雑な心境を語った。

 確かに賞金を稼いでくれなくては馬主などやっていられない。よりいい結果を求めての転厩は特に珍しくないことだし、勝負に徹すると考えれば長距離輸送、出走条件のハンデが減る中央移籍はごく当たり前の選択肢であると思う。ただ、生涯1度しかないクラシック路線を地方所属で通してきた以上、この挑戦をここでやめるのはもったいない。一銭のお金も払ってない一個人が口出しできる問題でないのは承知の上だが、地方所属のまま中央G1を制してこそ、コスモバルクの名は歴史に残るのだと思う。

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◆高木一成(たかぎ・かずあき)
  97年入社。レース部中央競馬担当、販売局、再びレース部。現在、中央競馬担当。東京出身、31歳。
高木記者の写真

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