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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2005/02/09付紙面より 過去のコラム一覧へ

規則ありきは無機質

野球部 飯島智則記者

 東北新幹線が大学入試に向かう受験生のため、本来は止まらない宇都宮駅に“温情停車”した。もちろん特例中の特例。年中では困るが、好ましいニュースと受け取った。たとえ通過してもJRに落ち度はない。ダイヤ通りに、規則通りに運行しただけのことだ。でも、止まった。それを規則違反とは思わない。規則とは、こういうものかもしれない。

 私は最近、休日の外出時も野球協約を手にする。今年からコミッショナー事務局など連盟担当になり、仕事では常に協約が必要となった。休日とはいえ不所持では不意の事態に対応できぬと不安になる。こんな意識でいるためか、いつの間にか思考は協約(規則)を中心として回るようになってきた。

 だから、近畿産業信用組合が「プロ野球への新規参入を目指す」と会見し独自案を示したとき、私が最初に抱いた感想は「協約との矛盾が多すぎる」だった。まず球団のサポーター企業がそれぞれ特定選手と契約し、年俸や経費を負担するという。つまり各選手が別々の企業と契約するということ。だが、協約で定められた統一契約書には「球団と選手」が契約を結ぶことが前提となっている。

 大阪を本拠地とするならば阪神、オリックスと本拠地問題が出てくる。明確なオーナーはどうする? 協約を無視しすぎじゃないか! 怒りすら覚えた時、不意に心の中で問いかけの声が聞こえた。

 「では、新規参入の声に反対か?」と。どうか。いや、違う。現実的か否かを抜きにし、何か楽しい気分がする。結果どうなるかは別として、こうした声が上がることを歓迎したい。「では、そう思うことが先ではないか。そこから規則に合うよう工夫していけばいいのではないか」。心の声に反論はできなかった。

 ポスティングシステムを使ってメジャー行きを希望する選手が増えた。希望は自由である。だが、それを条件に契約保留までしていいのか。同システムはFA権とは明らかに違う。球団が認めるところから始まるわけだから、主導権は球団にある。それは協約の日米選手契約協定で明記されており…また声がする。

 「では、上原や井川がメジャーで投げる姿を見たいとは思わないのか」。どうか。いや、見たい。私が最もメジャーで見たいのがダイエー和田。剛球ではないが、あのカーブとチェンジアップに、メジャーの強打者はイライラするだろう。次が上原。彼は強い球団に入るべきだ。アテネ五輪の投球に代表されるように、彼はここ一番で強い。調子が悪くても何とかする。2点取られても3点やらない粘りがある。プレーオフでは頼りになるだろう…ちょっと興奮してしまった。

 規則は守らなくてはいけない。野球協約は球界のルール。それを順守しなければ無法地帯になってしまう。それは何としても避けなければならない。しかし、しゃくし定規に協約に当てはめるだけでは、余りに無機質ではないか。このバランスが難しい。  ルールを大切にしつつも、ときには協約を閉じて球界を考える時間が必要だろう。

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飯島智則(いいじま・とものり)
 野球部。横浜市出身。93年に入社し青森支局で東北のスポーツ全般を取材。プロ野球は巨人、横浜を担当。03年からメジャーを中心に取材。35歳。
飯島記者の写真

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