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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2005/03/12紙面より 過去のコラム一覧へ

浦和見守る赤だるま

写真部 鹿野芳博記者

 真っ赤な特大だるまがグラウンドからサッカーの試合を見つめる。スタンドで盛り上がる浦和サポーターを背に、まるで大将のように冷静に構える。5日に開幕したJリーグ浦和対鹿島戦(埼玉スタジアム)のことだった。

 このだるまはサポーターの「URAWA BOYS」が用意したものだ。リーダーの角田修一さん(33)は「昨シーズンから始まった浦和の守り神。七転び八起きは、いつでもはい上がってくるレッズみたいですよ。口が『へ』の字なのも、我慢しているようで浦和的ですね」と笑顔で話す。

 だるまはチームやサポーターが必勝を祈願する浦和の調(つき)神社で購入した。昨年の初もうでで、たまたまレッズカラーが目に付き、一番大きなものを買った。最初は家に飾るつもりだったが、次第にゴールの後ろに置きたくなっていった。長年にわたり、球団と信頼関係を築いてきたこともあり、昨年5月から、選手と同じグラウンドに置かせてもらうことになった。

 その5月、レッズは快進撃を続け、負けなしだった。以来、だるまを置いた試合は信じられないことに、9割以上の勝率を挙げていった。負けるのは、雨が降ってビニールをかけたときや、アウエーなどで持っていけないときに集中した。

 選手もだるまに一目置くようになっていった。試合前の練習が終わると、GK山岸範宏(26)が頭をなでて引き揚げる。同じ「守護神」として存在を認め合ったのかもしれない。FW岡野雅行(32)も自然と触る。

 選手、サポーターがだるまの存在を確信し、その後、レッズは第2ステージに見事初優勝した。角田さんは「だるまを置いたから勝ったのでなく、それによってサポーターの意識の方向付けができたことが大事だった。だるまはその象徴かな」と振り返った。

 私が浦和のだるまを最初に目にしたのは昨年12月のチャンピオンシップ第2戦。グラウンドに置かれているのにも驚いたが、何より目を引いたのは色が白かったことだ。連戦の影響で傷み、赤色がはげていたのだ。雨の試合でへこみ、和紙で補強されることも多々あったという。それでも、ボロボロの白い体でピッチの選手を見届けた。選手とサポーターが年間を戦い抜いたのと同じように。

 その後、だるまは無事、調神社に納められた。そして今年、新たに用意された深紅のだるま。昨年果たせなかった年間チャンピオンの夢を追い、サポーターとともに、この1年を歩んでいく。

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鹿野芳博(かの・よしひろ)
 写真部。野球、サッカー、プロレス担当を中心に、五輪、サッカーW杯、メジャーリーグ取材を経験。93年入社、36歳。
鹿野記者の写真

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