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2003/12/13 過去のコラム一覧へ

巨乳至上主義にモノ申す

文化社会部 広部玄記者

 数日前、インターネットの検索エンジン「グーグル」で何げなく「巨乳」と打ち込むと、約72万8000件もヒットした。流行語大賞になった「毒まんじゅう」でさえ約3610件だから、ものすごい数である。

 そう、今、この国を「巨乳至上主義」が覆い尽くそうとしている。この状況に、強い危機感を感じる。朝、週刊誌を開けば「バスト90の新人」。スポーツ番組をつければゲストに巨乳アイドル。ビデオ店では「巨乳」モノオンパレード。

 このままでは、非巨乳女性の肩身が狭くなるばかりでかわいそうだ。逆に、巨乳を気にしている巨乳女性にも失礼だ。さらに、巨乳に何の興味もない男性はどうすればいいんだ。そして、このままでは日本国の将来を担う健全な子供たちが女性を「巨乳」と呼ぶことが当然と誤解する危険性がある! 「ボイン」の方がまだかわいい…。

 最近“推定バスト95センチ”といわれるNHK山形放送局の女性キャスターが突然脚光を浴び、山形名産スイカに引っ掛けて「スイカップ」と呼ばれた。ご家族や、将来の子供はどう思うだろうか。彼女の魅力は明るい笑顔やトーク能力などにあるのであって、決して胸の物理的盛り上がりだけにあるわけではない。

 「男性総巨乳好き」のようなイメージが醸成されつつあることで「非巨乳女性」の悩みは増すばかりではなかろうか。取材先などで会う女性から最近「胸ないんです」と深刻な顔で訴えられることが増えた。「巨乳至上主義」の“犠牲者”といえよう。

 先日会った20歳代前半の駆け出しタレントも胸の大きさを涙ぐましいほど気にしており、毎日腕立て伏せを何回もし、広告を見ながら豊胸手術寸前まで思い詰め「いい医者紹介して」とまで言われた。私は思わず声を荒らげた。「むしろ小さい胸が好きな人もたくさんいるのだよ。少なくとも私の周りの『モーニング娘。』ファンの間には!」。

 以前、包茎問題の権威の医師から「包茎で何が悪いのか」と説明され、なぜかほっとした。でも巨乳じゃない女性に対するケアの声をあまり聞かない。

 女性の魅力を構成する要素は無数にある。自分の意思でどうにもならないような肉体的特徴についてあげつらうような風潮は、よろしくない。

 でも「巨乳問題」を解決するのは、相当困難だ。数年前、巨乳が売りのアイドルに胸について“お約束”質問したら「そういう視点って、すごいさびしい」と怒られた。でも、彼女は翌日、テレビの前だと巨乳トークをうれしそうに披露していた。つまり需要があるのである。巨乳写真集やAV、バストアップサプリメント…。これらの経済効果は計算不能だ。

 こんなことを考えている時、ある会場で小池栄子ちゃん(B91センチ)を間近で見て、約1時間頭がボーッとしてしまった。

 いや、その、それは小池の心の内面から醸し出される雰囲気にノックアウトされただけ…。そうに違いないのだ。

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   column@nikkansports.co.jp
◆広部玄(ひろべ・げん)
 文化社会部。整理部を経て、95年から社会、芸能など担当。裏社会ネタ、異常犯罪取材などが得意。93年入社。33歳。
広部記者の写真

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