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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2004/02/24 過去のコラム一覧へ

サッカー熱の温度差

スポーツ部 田誠記者

 何とかロスタイムで1点を奪って勝利したジーコジャパン。B型楽天主義の僕からすれば、ドーハの悲劇のように、ロスタイム=悲劇という日本代表の歴史が塗り替えられて吉兆かな、と思ったりもする。ところが周囲はそうでもないらしい。早くも一部サポーターはヒートアップしてジーコ監督の解任を求めるデモを繰り広げた。さい配や選手起用を疑問視する声が噴出している。

 「これがサッカー熱なんだろうな」。ジーコジャパンを批判する熱、語り合う熱、懸念する熱…。理想を言えばニッポンが勝ち進むために集約されるべき熱なのだろう。2年後のW杯ドイツ大会へ向けて、まだ1次予選が始まったばかりである。それも1試合を終えただけなのに、まだまだ「余熱」が治まる気配のない日々が続いている。

 気になるのは温度差だ。

 日本代表主将の中田英寿は明らかに不服そうな表情を浮かべていた。オマーン戦の終了直後だ。ロッカールームに労をねぎらいに訪れた川淵三郎キャプテンに、こう漏らしている。「何でサポーターは僕らにブーイングするんですかね」。0−0で前半を終えた直後に6万観衆から発生したあのブーイングだ。

 「オマーンを格下だと思っていない」。中田は試合前日にそう発言して、ピッチの内外へ警鐘を鳴らしていた。W杯予選の異様な雰囲気と緊張感、計り知れない重圧。それはみんなも知っているはずじゃないかと訴えたかったのだろう。そんな簡単に勝てない戦い、それがW杯予選じゃないか。監督を交代させてまでフランス行き切符をつかんだ7年前の辛苦を忘れたのか…と。

 中田はこうも言っている。試合終盤、引き分け狙いで時間稼ぎに出たオマーンの行為に「なぜあれにはブーイングしないんだ」と不満を漏らした。

 サポーターとの温度差。中田がそれ以上に危惧(きぐ)していたことは内なる戦い、戦闘意識の欠如だったのではないだろうか。長期合宿の疲れか、体調不良なのか。代表選手から覇気が伝わってこない。「(苦戦したことで選手は)真剣勝負の大事さが身に染みて、体感できて良かったんじゃないかと思う。僕からも伝えていきたい」。試合後の辛らつとも思えるコメント。フランス大会出場を目指した97年の最終予選以来、W杯予選という修羅場から遠ざかっていた日本代表は忘れていたものがある。もっと熱くなれ。そんなメッセージのように聞こえた。

 内でも外でも、サッカー熱がふつふつと音を立て始めた。「ジーコで大丈夫なのか」という声もあちこちから聞こえてくる。五輪出場を目指す山本ジャパンの躍進ぶりが、さらに際立たせて、刺激する。3月31日、オマーンよりさらに格下のシンガポール戦でまた苦戦するようなら、批判熱は沸点に達するのだろう。

 もちろん熱と熱がぶつかり合う日々の蓄積が、その国のサッカー史を刻んでいく。予選なき出場となった日韓W杯。あれはお祭りだった、とオマーン戦で気が付いた選手やサポーター、関係者もいるだろう。ならば少しは温度差が縮まるような気がする。

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田 誠(でん・まこと)
 スポーツ部。1963年、大阪生まれ。岡山大卒。野球記者として西武、巨人、連盟、大リーグなど担当。現在はサッカー班で日本協会・代表を取材。惑う四十路。
田記者の写真

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