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2004/07/03日付紙面より
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ファン無視、森本辞退
スポーツ部 田誠記者
「がっくりだよ」という声があちこちから聞えてきた。Jリーグ史上最年少の15歳でデビューし、16歳になった森本クンの球宴出場が、わずか2日間で「消滅」してしまった。
Jリーグ・オールスター戦は今日3日、新潟で開催される。目玉は37歳の最年長カズ(神戸三浦知良)と16歳の東京V森本貴幸の親子ほど歳の離れたFW対決になるはずだった。
辞退の理由は右ひざのケガだという。
実は「森本選出」をめぐって、正式発表前からJリーグVS東京Vの激しい攻防があった。
まだ16歳。東京Vは実績不足をタテに「客寄せパンダにして欲しくない」と選出阻止に動いた。日本サッカー協会を通じて圧力をかける。しかしJリーグ鈴木昌チェアマンはサポーター投票がチーム1位(FW部門7位)を選考理由にリーグ推薦の形で選出に踏み切ったのだ。
出す出さないの「綱引き」もこれで勝負ありと思ったら、最後にどんでん返しが用意されていた。
東京Vは発表翌日の29日、森本を病院に連れていく。診断は右ひざのじん帯の炎症で2週間の安静。球宴辞退の連絡を受けたリーグ関係者は悔しさをにじませていた。そこまで意地になって辞退させるのか…といった表情だった。
メンツの張り合いのようなバトルだった。ちょっと大人げないんじゃないのと言いたくもなる。2週間という治療期間も微妙だ。17日のナビスコ杯には出場させるんだろうな…と勘ぐられてもしょうがない。周辺事情も無関係ではないだろう。J球宴を中継するのはテレビ朝日系。仮に中継局が東京Vの親会社、日本テレビ系だったらどう対応したの? と皮肉めいた声も出ていた。
真夏の夜の夢とも言われる球宴。勝負に徹する公式戦とは違った趣があり、何よりもファンやサポーターが見たい選手が集う舞台ではないのか。Jリーグの公式戦は普段、なかなか地上波で中継されない。高校に入ったばかりの森本クンがどんなプレーをするのか。16歳の今だからこそ見たいのであって、ファンのストレートな思いが投票数12万という数字になって表れていたはずだ。森本自身も先輩にまじって過ごす球宴で貴重な体験ができたかもしれない。
辞退選手は森本だけじゃない。日本代表の浦和坪井、名古屋楢崎、横浜久保らサポーター投票上位の7選手も故障などを理由に辞退した。プロ野球の場合、故障辞退した選手は後半戦開始10日間の出場ができないルールがある。Jリーグには辞退にともなう規定は存在しない。過密日程、疲労など故障以外の理由もあるだろうが、選手やチームが球宴を演出する当事者だという姿勢がないのなら、非常に残念だ。
わずか2日間で消えた森本の球宴出場。辞退したことで「選出回数1」という球宴記録も残らない。だがファンを置き去りにした舞台裏の攻防があったことは記録して残しておきたい。
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田 誠(でん・まこと)
スポーツ部。1963年、大阪生まれ。岡山大卒。野球記者として西武、巨人、連盟、大リーグなど担当。現在はサッカー班で日本協会・代表を取材。惑う四十路。
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