漂流36時間…6歳男児奇跡の救出
紅海のフェリー沈没事故で、6歳のエジプト人の男児が36時間にわたる漂流の末に4日、救出された。3歳の妹とともに父に救命ボートに乗せられたが、ボートは転覆。漂流物にしがみつき、救出を待ち続けた。男児はいたって健康で、親族や医師らから喜びと驚きの声があがっている。また複数の生存者から、船長は乗客に当初「心配ない」と言いながら、船が沈み始めると真っ先に逃げ出したという証言が続出。生々しい状況も浮かび上がった。
現地からの報道によると、救出されたのはムハンマド・マハムード君。エジプトからサウジアラビアに出稼ぎに出ていた5人家族の長男で、両親と、3歳と生後2カ月の2人の妹とともに「サラーム98」に乗っていて事故に遭った。
ムハンマド君に付き添っているおじのハルン・ハサニンさん(58)が関係者に聞いた話では、暗闇の海上で救命ボートに乗客が殺到する中、両親はムハンマド君と長女だけを何とかボートに押し込んだ。しかしボートは間もなく転覆。ムハンマド君は必死で漂流物につかまり続け、1人で救出を待ち続けたという。
ムハンマド君を診察した医師は「こんなに長い時間、水の中にいたとは信じられないくらい健康だ」と驚きを隠さない。ただ心身ともに疲れ切っており、病床で医師と簡単な受け答えをするのが精いっぱい。エジプト東部ハルガダの病院に転送され、点滴を受けながら「ずっと1人きり。誰もそばにいなかった」とつぶやいたという。
残る家族4人の安否は、依然として不明のまま。ハサニンさんは「ほかの家族がみんな行方不明だとはとても言えない。第2の朗報に期待している」と話している。
沈没したフェリーには約1400人が乗っていたが、地元紙などによると、これまでに救助されたのは396人。186人の遺体が収容され、このうち30人の身元が確認された。救助される乗客の数は次第に減り、犠牲者は最終的に約1000人に上る可能性が強まっている。
[2006/2/6/07:37 紙面から]
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