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作家の中島らもさん死去…足滑らせ階段から転落

中島らもさん
写真=脳挫傷で死去した中島らもさん

 作家中島らもさん(本名・中島裕之=なかじま・ゆうし)が04年7月26日午前8時16分、脳挫傷による外傷性脳内血腫のため神戸市内の病院で死去していたことが27日、明らかになった。52歳。中島さんは16日早朝に階段から転落し頭など全身を強打、HCU(高度治療室)に入院していた。中島さんは92年に「今夜、すべてのバーで」で吉川英治文学新人賞を受賞。破天荒な私生活や言動でも知られ、03年には大麻所持で逮捕、有罪判決を受けた。

 らもさんの長女の夫・元木正実さん(41)によると、らもさんは15日夜、神戸市内で知人のライブを見た後、同市内で酒を飲み、16日未明に酔って階段から転落し、頭部を強打。意識不明のまま救急車で神戸市内の大学病院に搬送され、緊急手術を受けた。重篤な救急患者が搬送されるHCUに入り、美代子夫人らも看病を続けた。

 25日に回復の兆しが見えたが、26日午前に息を引き取った。最後まで意識は戻らなかったという。27日に近親者による密葬が営まれ、後日「有志による追悼ライブ」を開く予定。また「墓は作るな」という遺志から、遺骨は散骨されるという。

 元木さんによると、最近のらもさんは好きなバーボンを毎日飲んでおり「肝臓がかなり弱っていたようです」という。

中島らもさん
写真=03年5月26日、判決後インタビューで拘置所体験記をまとめた本を出版するプランを語る

 らもさんは歯科医の二男で、灘中、灘高という“東大コース”を進んだ。しかし、灘高時代に白土三平のマンガに熱中し、成績不良で放校処分に。その後、大阪芸大に進み、印刷会社勤務などを経て広告代理店に勤務。食品会社「かねてつ」のヒットコピーなどを生んでいる。

 80年代から朝日新聞紙上で、奇問・珍問にユーモアで答える身上相談「明るい悩み相談室」をスタート。肩の力の抜けた軽妙な回答ぶりが話題を集めた。劇団の主宰やテレビ番組の構成、ミュージシャンとしても活躍するなど、マルチな才能を発揮した。酒好きが高じてアルコール性肝炎で入院した経験を生かして書いた「今夜、すべてのバーで」で、92年に吉川英治文学新人賞を受賞。94年に「ガダラの豚」で日本推理作家協会賞を受賞したほか、直木賞にも2回ノミネートされている。

 94年ごろからエッセーなどでうつ病、アルコール依存症、対人恐怖症に悩まされていることを告白。03年には大麻取締法違反で懲役10月、執行猶予3年の判決を受けた。判決後「牢屋でやせるダイエット」を出版し、たちまち増刷されて話題になった。5月に出版された著書「異人伝」の帯では「52歳は『失っていく』年。けれど逆に一種のすがすがしさがある」とつづっていた。事故の直前、光文社から発刊予定の短編小説「DECOCHIN」を書き上げており、これが遺稿となった。

 今月7日には大阪で作家町田康さんを迎えてライブを開いたばかり。執筆や音楽など活動に本腰を入れ始めた最中の死だった。


中島(なかじま)らも
 本名・中島裕之。1952年(昭和27年)4月3日、兵庫県尼崎市生まれ。灘高を退学後、大学検定試験から大阪芸大放送学部へ。卒業後、広告代理店日広エージェントに入社し「かねてつ」のマンガ入り広告で売り出す。ミュージシャンとして関西を中心にライブ活動も行うかたわら、劇団「リリパット・アーミー」を主宰し、俳優として舞台にも立った。家族は夫人と1男1女。


中島らもさん
写真=03年8月3日、大麻取締法違反などの罪で懲役10月、執行猶予3年の判決を受けたが事件後初のライブを大阪で行う

最近のらもさん語録

 「タバコの方が大麻よりうまい」「自分自身の法に照らして、56億7000万年の刑に処します」「日本全国民善男善女、ことに読者の皆さま、飼っている犬、猫、ハムスター、すべての動物たち、拘置所の悪党たち…、伏しておわびします」(03年2月25日、大麻取締法違反容疑で起訴され、保釈が認められて)

 「日本の大麻取締法は根底的にナンセンスと思っていた」(03年4月14日、初公判で)

 「大麻は気持ちが穏やかになるピースフルなドラッグ」「シャブは最低だけど、大麻は文化。茶道のように楽しみ方や風情がある」(03年5月26日、判決公判で)



夫人はノーコメント

 兵庫県宝塚市にあるらもさんの自宅では27日夜、美代子夫人が窓越しに取材に応対したが「ここは自宅なのですべて事務所に聞いてください」とノーコメント。しっかりとした口調、表情だったが、詳細については口をつぐんだ。


関係者悲しみの声

 深夜番組で共演した作曲家キダ・タローさん(73) 変わったおっさんやなあと思ってました。危険な雰囲気もあるけど話していると天才的な人。笑福亭鶴瓶さんの誕生日の歌を作った時は感動的な詞を書いてきて驚きました。いやらしいところがない人柄が、かわいがられた理由でしょう。いまも自分が死んだことに気付かんとさんずの川あたりで「これ、なんの川やろなあ」と言ってるんやないかなあ。

 テレビで共演した浜村淳(69) えっ…。驚きました。優等生ばかりが増えてきた芸能界、それと文筆界にとっても、大きな損失です。らもさんは型破りなキャラクターでしたが、実際はすごくマジメな方だったと思います。番組収録前、私は早口言葉で練習をするんですが、それを見たらもさんが「僕ね、浜村さんのそういう用意周到な所が好きなんですよ」と言ってくれた。その時「この人、実はポーズで無気力を装ったり、むちゃくちゃ言うたりしてんねんな」と思いました。努力を悟られるのが嫌な人やったんでしょうね。

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