勝負師2世ルーキー的場、土曜デビュー
3月は中央競馬の新しい1年が始まる季節。美浦トレセンでは新人騎手へのムチ贈呈式が行われ、新たに4人のジョッキーが誕生した。的場勇人騎手(18=的場)は、現役時代に1440勝を挙げライスシャワー、グラスワンダーとのコンビで活躍した的場均師(48)の二男。父の背中を追って、若武者が新たな1歩を踏み出す。
的場の表情に緊張感は見て取れなかった。「早く乗りたい。緊張はしていません」。いよいよ2日後に迫った実戦に向けて、気持ちはすでに勝負モードに入っているのだろう。晴れのムチ贈呈式の席にも白い歯はない。ギュッと引き締まった口元が印象的だ。
父は現役時代に1440勝を挙げ、ライスシャワーやグラスワンダーとのコンビでターフを沸かせた名ジョッキーだ。同じ世界で生きていく以上、常に「的場の息子」という代名詞がついて回るのは覚悟している。「どうしても比べられるのは仕方ない。父の背中を見て育ってきたし、僕は身近にいい目標がいると考えています」。強気な言葉が、確実に受け継いだ勝負師のDNAを感じさせる。
デビュー戦は中山。土日で4頭がスタンバイし、うち3頭が自厩舎だ。的場師は師匠として「早く1つ勝つと楽になると思うが、勝つことよりも大事に乗るということを覚えるのが大切」とアドバイスを送る一方、「(息子を騎乗させることを)オーナーに許しをもらった」と父親の顔をのぞかせる。自分自身の初勝利が7月と遅かっただけに、なおさらバックアップの思いが強いのだろう。土曜8Rのウエスタンウッズは1年以上の休養明けだが、1000万で好勝負する実力馬。デビュー当日の初勝利も十分に可能だ。
ムチ贈呈式の後に書いた記念のサインに、的場は「夢無限」の文字を添えた。父も好んで使っていた言葉だった。父の人馬一体の騎乗にあこがれて選んだという騎手の道。「僕と馬との呼吸を見てください」。大きな背中を乗り越える長い戦いがこれから始まる。【鈴木良一】
[2006/3/3/09:55 紙面から]
写真=調教で父の的場均師(右)と馬場に向かう的場勇人騎手(撮影・橘信男)
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