キス軽く仕掛け12秒3/オークス
<オークス:追い切り>
桜花賞馬キストゥヘヴン(牝3、戸田)が調教師から与えられた2つの課題をクリアし、史上11頭目の牝馬2冠へ大きく前進した。17日の最終追い切りはウッドコースを単走で流し、テンションを抑えながら馬体を絞ることに成功。前走以上の状態で17頭を迎え撃つ。
体を絞れ。テンションを上げるな。キストゥヘヴンの仕上げにあたって、戸田師がスタッフに出した指令は、決して簡単に達成できるものではなかった。体を絞るために強い調教を課すと、競走馬はカッカしてしまうもの。特に牝馬の場合は精神的に参ってしまうことが多い。馬が少ない時間帯に1頭で丹念に乗り込み、単走で追い切ることで、テンションを抑えながらシェイプアップに成功した。
午前6時半すぎに馬場入りしたキストゥヘヴンは、隊列を組んで角馬場を周回する同厩舎の3頭と離れ、1頭だけで黙々とトレーニングを行った。1周400メートルの角馬場を5周、それを2セットで計4000メートルのウオームアップ。セットの合間は厩務員が手綱を取って歩かせる。これも馬の気持ちを静めるために前走後から導入した。十分に運動した後、ウッドコースへ。コースを独占した桜花賞馬はゆっくりとキャンターに移ると16秒2、14秒1とラップを上げ、最後は軽く仕掛けて12秒3。全体の時計は5ハロン68秒9と遅いが、全身を使ったフォームからは躍動感があふれる。騎乗した林助手は「道中も落ち着いていたし、しまいも感触を確かめる程度。順調すぎるぐらい順調ですね」と笑顔を見せた。短期放牧で桜花賞から20キロ増の438キロまで増えた体は、このひと追いで430キロ台前半まで減少。青写真通りに無駄な脂肪を燃やし、未知の2400メートルを乗り切れる体になってきた。
おじのロングイーグルは菊花賞3着、おばロンググレイスは2400メートルのエリザベス女王杯を勝っており、距離を克服する下地は整っている。84年のグレード制導入後、桜花賞とオークスを制した馬はメジロラモーヌ、マックスビューティ、ベガ、スティルインラブの4頭だけ。「自信はかなりありますよ」と林助手。名牝を意味する2冠制覇は、手の届くところにある。【岡山俊明】
[2006/5/18/08:21 紙面から]
写真=力強いフットワークで追い切られたキストゥヘヴン(撮影・酒井清司)
|