掛川西環境一変、上村流改革
<目指せ!119校の頂点>
掛川西は、春からの大胆なチーム改革で、7年ぶりの頂点を狙う。地元好敵手の浜松商を7回も甲子園に導いた名将・上村敏正監督(48)が、今春に赴任。日常生活から練習内容まで、部員を取り巻く環境が一変した。伝統の豪快な野球に、上村流の綿密さを加え、戦国時代の静岡制覇に挑む。
掛川西が変わった。県屈指の名門も、夏は過去4年間で初戦敗退が3回。低迷打開のカンフル剤として、元敵将の上村監督が迎えられた。「僕にとっても一番の敵国だった掛西に、来ることになるとはね。学校やOB会の危機感を感じました」と上村監督は苦笑いで振り返る。
ゼロからの再生だった。もともと地域の野球エリートが集まった集団だが「ずっとちやほやされてきたせいで、野球以前の生活態度から、全く駄目だった」。あいさつの仕方、スリッパの並べ方から教えた。練習もキャッチボールから変えた。連日1時間以上のミーティングで、つなぐ野球の必要性や勝つための駆け引き、精神力の重要性をたたき込んだ。選手たちは問題意識に目覚め、真剣に努力を始めた。
193センチ、104キロの4番松浦正季一塁手(3年)は、最終学年になって初めて、バントの練習に取り組んだ。それまでの「本塁打か三振か」の豪放な打撃は、必要とされていない。「上村監督と出会って、自分がいかに野球を知らなかったかが、分かりました。勝利のため、絶対にバントを決めなきゃいけない場面もある」。アウトになっても走者を進め、打点を挙げれば、仲間から称賛の声がとぶ。
俊足強打強肩の主将太田理(おさむ)捕手(3年)は2カ月前、監督から「声が出てない!」と怒鳴られて、人目をはばからず泣いていた。熱い訓示の一語一句をどん欲に吸収し、今では「上村野球」の申し子だ。「野球の楽しさ、面白さが見えてきた。ずっと勝ち進んで、1日でも長くこのチームで練習したい」と言う。個々の潜在能力は、昨秋と今春の西部大会制覇で実証済み。繊細な野球と強い精神力を身に付けた今年の掛川西は、夏を勝ち上がる。【大石健司】
[2005/7/12/12:04 紙面から]
写真=193センチの4番松浦も巨体をかがめてバント練習に励む
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