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データでみる日本代表「解析料理」

(2005年3月27日付紙面から) バックナンバー一覧へ

「中田システム」で迷った俊輔

中田のホットゾーン 中村のホットゾーン

<W杯アジア最終予選:日本1−2イラン>◇3月25日◇イラン、アザディ・スタジアム

展開できず反則を受ける

 中村にとって、経験したことのない「苦悩の90分」だった。4バックへシステムが変更され、チームが取った戦略は、基本的に守備重視。前線で自在にボールを操る司令塔とは勝手が違った。「相手の穴を見つけるというより、自分たちがどう戦うかを探している感じだった」。不安が持ち味の攻撃センスを殺した。

 前半24分、左サイドでパスを受けた中村は後方からの激しいタックルを受けて転倒。ピッチ外で治療を受けた。悪質なファウルは、受けるべくして受けたものだった。「いつもならボールを持った瞬間に3、4人の味方がどう動くのかわかる」。しかし、この日は違った。トラップし、仲間を探して顔を上げている間に詰められた。素早い攻撃展開に持ち込めないばかりか不用意なファウルを受けて流れを止めてしまった。

 状況判断にも迷いが生じた。当初の予定では中村は中盤左サイドの位置に張り「自分の特徴を出さずに攻守のバランスを考えたい」と相手の攻撃を食い止めるはずだった。だが先制点を奪われてプランが狂う。攻めなければならない状況だが、守備もおろそかにはできない矛盾を抱えた。

 後半21分、福西のゴールで同点に追いつくと、中村はベンチのジーコ監督へ駆け寄った。「しばらくは引き気味に戦った方がいいのでは」。だが指揮官から返ってきたのは「守るな。攻めろ」という指示。中盤でパスの中継役となり、セットプレーではキッカーを務めたが、ついに自ら前線に切り込む機会がなかった。

 日本の攻撃を担う中村の戸惑いが、黒星へとつながった。【山下健二郎】

ヒデボランチで支配率もアップ

 中田復帰はYESか、NOか−。サッカー解析システムopta(オプタ)によると、中田システムに苦戦を強いられた中村の姿が浮き彫りになった。

 攻撃的MFとして右に中田、左に中村が並んだ。だが、両者のプレーエリアは両サイドにソッポ向く格好で、互いの関係は希薄だった。特に前半は顕著だ。敵陣で中田→中村へのパスは0本。左に幽閉された中村は守備に追われ、その存在はゴーストと化した。主人なきトップ下。45分間でシュート3本とまったく攻め手を欠いた。

 後半、修正がなされる。中村がより中へプレーエリアを移すことで、日本の攻撃は良化している。敵陣で受けたパスは中田と並びチーム最多13本(前半6本)。中村が動くことで攻撃の幅が広がり、よってチャンスの数も増えた。後半シュートは6本を数えている。

 1−2とされた後半30分以降、中田をボランチに下げたことで初めて日本らしい攻撃が出ている(イラスト)。中田のボール奪取から右へと展開し、そこから横パスの連続でシュートへと結びつけた。中田不在時に高めたコンビネーションが、唯一見られたシーンだった。終盤75〜90分の時間帯は日本のボール支配率は63%にも及んだ。中村−中田を横から縦のラインにしたことで互いの関係性が高まり、両サイドバックのオーバーラップも促している。

 中田システムにはNO、ただし展開力ある中田の後方支援にはYES。ジーコ監督は今一度誰がピッチの王様なのか、決断すべきだろう。【佐藤隆志】


◆イラン戦での日本代表メンバーの総合スタッツ◆

選手名 プレー
機会

被枠
内S
パス シュート
阻止率
その他
総数 成功
GK 楢崎 正剛 45 15 5 31 10 86.7% 0 1 0

選手名 プレー
機会
シュ
ート
ラスト
パス
パス クロス 守 備
総数 成功 総数 成功

三浦 淳宏 66 1 0 51 34 2 0 3 9 1
宮本 恒靖 38 0 0 25 22 0 0 0 13 0
中沢 佑二 48 0 0 27 23 0 0 3 16 2
加地  亮 61 0 1 46 30 6 0 4 7 1

福西 崇史 41 2 1 34 30 0 0 2 3 1
小野 伸二 63 2 0 52 43 4 2 0 6 2
中村 俊輔 48 1 4 35 24 12 2 0 4 0
中田 英寿 56 1 1 48 34 3 0 0 3 2
小笠原満男 7 1 0 3 1 1 0 0 0 0

高原 直泰 38 1 0 25 14 0 0 0 1 0
玉田 圭治 25 1 0 15 10 1 0 0 0 1
柳沢  敦 9 0 1 7 3 1 0 0 0 0
大黒 将志 6 0 0 3 2 0 0 1 1 0

日    本 565 10 8 417 289 30 4 13 64 10
イ  ラ  ン 503 15 14 319 207 20 3 21 78 13
【注】出場時間はロスタイムを含む正味のもの。ラストパス=シュートにつながったパス。 B=ブロック、C=クリア、I=インターセプト。 セーブ=枠内シュートを防いだ数。チーム合計はプレー選手不明分も含む

後半35分 日本の攻撃

◇opta(オプタ) Jリーグやプレミアリーグの公認するプレー分析データ。ただし、今回使用したデータ(シュート数等)は公式記録とは一致しない。出場時間はロスタイムを含めた正味の時間を採用している。

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