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データでみる日本代表「解析料理」

(2005年4月1日付紙面から) バックナンバー一覧へ

ボランチ中田が作った支配率60%

<W杯アジア最終予選:日本1−0バーレーン>◇3月30日◇埼玉スタジアム2002

ドゥンガ彷彿

 中田英の持ち味を生かすには、ボランチはうってつけかもしれない。1本のパスで状況を変えられるセンス、高い危機管理意識、そして何よりドゥンガ(元磐田)をほうふつさせるリーダー性。ジーコ監督が不可欠とする理由が、バーレーン戦でもよく表れていた。

 ◆北朝鮮戦(3バック)◆ 宮本がリベロとして後方で構え、両サイドは高い位置で内側へ絞った格好となる。ボランチとの距離を近くすることで、中盤のプレッシング効果を高めている。計7人が囲んだ総面積は671・8平方メートル。

 ◆イラン戦(4バック)◆ 中央の宮本、中沢は狂いなく横に並び、右の加地が左の三浦より前方に位置取った。両アウトサイドが「つるべの動き」をすることで攻守のバランスをとり、その形はまるで杯(さかずき)だった。総面積760・4平方メートル。

 ◆バーレーン戦(3バック)◆ ボランチ中田英が変化を生んでいる。キープ力に優れ、長く正確なパスを使えることで、両サイドは北朝鮮戦よりワイドで高い位置でのプレーを可能としている。リベロ宮本もつられて前方へ進んだ。総面積992・8平方メートル。

ひたすら継続

 面積が広いから良い悪いの話ではない。味方選手の特長、相手の戦術に応じてプレー位置は変わる。それでも「3バックがやりやすい」という裏には、トライアングルの守備ブロックを形成しやすい、という理論もある。「3」の場合は7人で6個もの三角形ができるが、「4」の場合は6人で4個までしかつくり出せない。つまり「3」はプレッシング効果を高めやすく、さらに攻守が切り替わった際、瞬時にしてボール回しに加わりやすいという利点がある。いい守備が、いい攻撃を生むのだ。

 後方に中田英がいることで、中村がトップ下をベースに幅広く動いた。後半32分、福西のブロックから中田英が中央へドリブル突進、そして左サイドで受けた中村がクロスを入れた。この一連のプレーこそが、日本代表の狙いだ。失敗しても失敗しても、相手ゴール付近へ数多くのボールを運んでいく。得点力のなさを嘆いている暇などない、ひたすら続けるのみ、だ。

 かつての華々しい輝きはない。それでも「コク」がある。演出家として中田英は新たな道を切り開いている。【佐藤隆志】

2.9北朝鮮戦(3バック)
3.25イラン戦(4バック) 3.30バーレーン戦(3バック)

幸運オウンゴール

 ◆日本対バーレーンVTR 序盤から日本が圧倒的にボールを支配する。23分から30分までの7分間でCK5本、直接FK4本からゴールを狙うが、相手DFの高く堅い守りを崩せない。前半7本のシュートを放つも0−0で終了。後半も押し込む日本だが、均衡を破れない。嫌なムードが漂い始めた26分、相手MFサルミーンが自ゴールへ思わぬ1発。終盤攻め込まれた日本だが、幸運なオウンゴールを守りきった。

後半32分 日本の攻撃
◆バーレーン戦での日本代表メンバーの総合スタッツ◆

選手名 出場
時間
プレー
機会

セーブ
被枠
内S
パス シュート
阻止率
枠内S
阻止率
フィード その他
総数 成功 総数 成功
GK 楢崎 正剛 97 31 0 2 9 2 26 12 100% 100% 4 0 0 0 0

選手名 出場
時間
プレー
機会

アシ
スト
シュ
ート
ラスト
パス
パス クロス スルーパス ドリブル 守 備
総数 成功 総数 成功 総数 成功 総数 成功

田中 誠 97 51 0 0 0 0 40 33 0 0 0 0 0 0 1 10 2
宮本 恒靖 97 47 0 0 2 0 36 34 0 0 0 0 0 0 0 9 0
中沢 佑二 97 54 0 0 1 0 41 35 0 0 0 0 0 0 0 13 1

加地 亮 97 54 0 0 1 1 41 29 3 2 0 0 7 2 2 4 0
福西 崇史 97 67 0 0 1 0 54 46 0 0 0 0 0 0 4 6 0
中村 俊輔 96 90 0 0 3 4 68 39 17 0 0 0 6 3 2 3 1
(稲本潤一) 1 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
中田 英寿 97 85 0 0 1 3 74 57 0 0 1 0 1 1 3 1 1
三都主アレサンドロ 97 67 0 0 0 0 49 32 8 2 3 0 10 4 3 3 2

鈴木 隆行 71 32 0 0 1 0 24 18 0 0 0 0 2 1 3 0 0
(玉田圭治) 26 10 0 0 0 0 3 2 0 0 1 0 1 0 0 0 0
高原 直泰 97 51 0 0 4 1 32 21 0 0 0 0 5 1 1 6 2
【注】出場時間はロスタイムを含む正味のもの。ラストパス=シュートにつながったパス。 B=ブロック、C=クリア、I=インターセプト。 セーブ=枠内シュートを防いだ数。チーム合計はプレー選手不明分も含む

センタリングつながらない

 ◆日本代表の前半戦 3試合で3得点、3失点という五分の数字が現状を物語っている。安定した守備力をベースに崩れることが少ない分、相手を突き放せる要素もない。それでもボール支配率(位置格付け保持時間=攻撃エリア×3、中盤エリア×2、守備エリア×1)は北朝鮮戦60・5%、イラン戦52・3、バーレーン戦61・2%と大きく上回った。センタリング89本(1試合平均29・7本)を数えながら味方へつながった本数は15(17%)。フィジカルに優れた相手に人数をかけて守られたこともあるが、FWが結果を出せていない。攻撃の66%を占めたサイドアタックを生かせなければ、日本の得点は望むべくもない。FW最長の3試合210分に出場した高原は、最多8本(枠内4本)のシュートを記録するもノーゴールだった。


◆日本のW杯最終予選前半3試合スタッツ◆
チーム プレー シュート キープ ラ  ン ドリブル パ  ス
日本
北朝鮮
679 2 1 17(2=12%) 326(309=95%) 14(13=93%) 23(14=61%) 553(428=77%)
509 1 1 12(1=8%) 202(177=88%) 8(7=88%) 8(6=75%) 369(252=68%)
日本
イラン
565 1 0 10(1=10%) 245(216=88%) 18(14=78%) 11(5=45%) 417(289=69%)
503 2 2 15(2=13%) 163(139=85%) 19(18=95%) 18(12=67%) 319(207=65%)
日本
バーレーン
652 1 0 14(0=0%) 303(291=96%) 10(7=70%) 32(12=38%) 499(367=74%)
499 0 0 9(0=0%) 158(136=986%) 15(14=46%) 24(11=46%) 319(198=62%)
 
チーム スルーパス センタリング B、C、I C  K 直接FK 間接FK キープ時間
日本
北朝鮮
14(7=50%) 31(7=23%) 10、42、10 5(2=40%) 20(12=60%) 2(2=100%) 29分22秒
7(2=29%) 15(2=13%) 21、48、12 4(1=25%) 23(16=70%) 2(1=50%) 21分20秒
日本
イラン
4(2=50%) 30(4=13%) 13、64、10 8(2=25%) 9(8=89%) 4(2=50%) 25分23秒
4(1=25%) 20(3=15%) 21、78、13 2(0=0%) 24(14=58%) 1(0=0%) 22分32秒
日本
バーレーン
5(0=0%) 28(4=14%) 19、58、85 10(2=20%) 21(11=52%) 6(5=83%) 28分38秒
5(0=0%) 12(3=25%) 19、85、5 1(0=0%) 18(7=39%) 2(0=0%) 21分8秒


◇opta(オプタ) Jリーグやプレミアリーグの公認するプレー分析データ。ただし、今回使用したデータ(シュート数等)は公式記録とは一致しない。出場時間はロスタイムを含めた正味の時間を採用している。

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