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(2005年5月29日付紙面から)
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遅すぎる速攻率41%/鈴木不在VAに空白
<キリン杯:日本0−1ペルー>◇5月22日◇新潟スタジアム ビッグスワン
<キリン杯:日本0−1U A E>◇5月27日◇東京・国立競技場
ハァ〜ッ…ジーコジャパンのゴールが遠い。キリン杯を2試合連続無得点で終えるなど、失点以上に煮え切らない攻撃ばかりが目につく。サッカー解析システムopta(オプタ)によると、ペルー、UAE戦の2試合で放ったシュートは37本を数えた。60%近いボール支配率を生かして攻め立てながら、打てども打てどもゴールが生まれない。W杯最終予選バーレーン戦を5日後に控え、閉塞(へいそく)感ばかり漂う日本代表の戦い方に何が足らないのか。結果の出せなかったキリン杯のデータから探った。
相手に余裕
ジーコジャパンが煮え切らない。ボールこそ支配するが、ゴールが生まれない。攻めているからこそ、余計にじれったくなる。ペルー戦で16本、続くUAE戦でも21本のシュートを放ったが、守りを固められた上で打たされている状況だ。
■検証1■ ポゼッションのワナ ジーコジャパンの基本戦術はポゼッション(ボール保持)サッカーだ。パスをつなぎ、ボールを動かすことで数的優位をつくり出し、ゲームの主導権を握って戦う。ただし、往々にして攻撃のスピードを緩める結果となり、相手に時間的余裕を与えてしまう。実際、UAE戦における攻撃の速攻(敵ゴールラインから36メートル以内のエリアへ12メートル/秒で運んだもの)率は41%でしかない。前回のバーレーン戦は34%だったので若干高まってはいるが、依然として「遅攻」の多さが目立つ。
■検証2■ バイタルエリア(VA)の不在 ゴールを生み出す重要エリアとなるVA(ペナルティーエリアを横に区切るラインの前後3メートル)がスカスカだった。本来FWが縦パスに対してターゲットとなる位置だが、肝心な場所に肝心の鈴木がいない(図1)。相手3バックを避けてサイドへ流れてボールを受けるプレーに終始し、中央の深い位置が空白なのだ。相手CBにプレッシャーがかかっておらず、こちらから守りやすくさせてしまっている。なお、守備意識が強い鈴木の平均プレー位置はMF小笠原より低く、大黒との距離も開きがち。結局UAE戦のシュートは0だった。
「仮想バーレーン」ならば引いた位置設定からもっと前方のスペースを意識的に素早く突くとか、従来と違った戦い方をする必要があった。守備から攻撃に切り替わっても「常にポゼッションありき」では、みすみす自らのチャンスを限定してしまう。だからこそ、前半6分に大黒のスペースを突いた動きに小野が素早く反応した場面は秀逸だった(プレーイラスト)。
質高い動き
サッカー解説者の戸塚哲也氏は言う。「今のFWは相手と駆け引きする場面が少ない。自ら動かず逆に相手が先に動いたスペースを使うとか、そうしたプレーがないと得点機も生まれない」。だからこそ、動きの質が高い大黒を生かさない手はない。鈴木と異なり常にゴールに対して半身の体勢を取り、相手の嫌がる位置でプレー(図2)できる稀有(けう)なFWだ。1本のシュートまでの平均時間も最短の20分(表参照)。フィニッシュを逆算した効果的な動きがあることを証明している。
シュートが入る、入らないに特効薬はなく「状況を想定した反復練習するしかない」(戸塚氏)問題だ。では、それに対してできること。プレーの優先順位(プライオリティー)をつける判断力、そしてより多くのシュートチャンスを生みだしていくしかないのだ。6・3バーレーン戦はアウエーゆえ、押し込まれる展開が予想される。前方に広がるスペース、だからこそシンプルに素早く、やり返せ。【佐藤隆志】
光った福西の守備
ペルー戦同様、UAE戦でも中盤でのボールの取られ方の悪さがあった。前半ロスタイムには鈴木の横パスが直接相手FWに渡り、シュートへと持ち込まれた。キリン杯のボールロスト数はペルー戦62回、UAE戦69回。バーレーン戦の85回からすれば、決して多い数字ではない。ただし、ペルー戦でロスト位置が中盤エリア47%を占めたように、カウンターを食らいやすい不安定な状況だった。
そこを修正して臨んだUAE戦は中盤エリア38%に減少。「あわや」という場面こそあったが、全体的に締まった守りを見せていた。FWからDFラインの
平均距離も39・35メートル(ペルー戦)→34・43メートル(UAE戦)と、一気に4・92メートルもコンパクトにしていた。いい守備がいい攻撃を生み、また逆もしかり。攻撃では目立たなかったが、2試合でクリア8を数えた福西。その相手の攻撃の芽を摘むプレーは光った。
ロスタイム失点
■キリン杯VTR■
◆日本対ペルー 右MFに三浦を先発させ、序盤から日本が優勢に試合を進めた。前半39分、その三浦が思い切りのいいロングシュートを狙うがGKの正面。結局、無得点のまま後半を迎えた。8分に負傷の玉田に代わり大黒が登場すると、日本の攻撃は活性化。大黒は27分、稲本の縦パスからシュート。続く31分にも小笠原のFKを頭で合わせたが、惜しくもボールはゴールバーを越えた。そしてロスタイム、ゴールを狙って前残りした日本は思わぬカウンターを食らい、決勝ゴールを奪われた。
◆日本対UAE 小野が序盤からチームを引っ張った。前半6分の大黒へのロングパスに始まり、26分には胸トラップしたボールを左足から右足へ浮き球で持ち直し、相手DFをほんろうするボレーシュート。得点にはならなかったが、サポーターを沸かせた。後半7分にもドリブル突破から左足で強烈なシュートを放つなど、孤軍奮闘した。しかし24分、ペルー戦同様に中盤の甘いディフェンスからスルーパスを通され、手痛い失点。この1点を返せず、屈辱の2連敗を喫した。ボール支配率は59・9%にも及びながら、決定力不足が響いた。
| ◆日本代表メンバーのキリン杯スタッツ◆ |
位
置 |
選手名 |
出場
時間 |
プレー
機会 |
失
点 |
セーブ |
被
S |
被枠
内S |
パス |
シュート
阻止率 |
枠内S
阻止率 |
フィード |
その他 |
| 総数 |
成功 |
総数 |
成功 |
B |
C |
I |
| GK |
川口 能活 |
191 |
61 |
2 |
5 |
17 |
7 |
38 |
28 |
88.2% |
71.4% |
17 |
11 |
0 |
3 |
0 |
位
置 |
選手名 |
出場
時間 |
プレー
機会 |
得
点 |
アシ
スト |
シュ
ート |
ラスト
パス |
パス |
クロス |
スルーパス |
ドリブル |
守 備 |
| 総数 |
成功 |
総数 |
成功 |
総数 |
成功 |
総数 |
成功 |
B |
C |
I |
D
F |
宮本 恒靖 |
191 |
88 |
0 |
0 |
0 |
0 |
76 |
68 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
9 |
0 |
| 田中 誠 |
174 |
114 |
0 |
0 |
0 |
1 |
97 |
82 |
3 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
2 |
12 |
1 |
| 坪井 慶介 |
169 |
116 |
0 |
0 |
0 |
0 |
87 |
78 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
2 |
26 |
4 |
| 茶野 隆行 |
16 |
9 |
0 |
0 |
1 |
0 |
6 |
4 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
0 |
M
F |
三都主アレサンドロ |
191 |
159 |
0 |
0 |
2 |
10 |
130 |
95 |
20 |
6 |
0 |
0 |
13 |
5 |
3 |
5 |
1 |
| 小笠原満男 |
191 |
134 |
0 |
0 |
7 |
6 |
103 |
76 |
11 |
4 |
3 |
2 |
2 |
1 |
3 |
2 |
5 |
|
福西 崇史
|
153 |
94 |
0 |
0 |
2 |
1 |
76 |
64 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
2 |
8 |
3 |
| 三浦 淳宏 |
96 |
63 |
0 |
0 |
2 |
0 |
53 |
41 |
7 |
1 |
0 |
0 |
1 |
1 |
1 |
3 |
2 |
| 加地 亮 |
94 |
82 |
0 |
0 |
0 |
1 |
68 |
60 |
5 |
1 |
0 |
0 |
6 |
2 |
1 |
5 |
1 |
| 遠藤 保仁 |
96 |
73 |
0 |
0 |
3 |
1 |
60 |
49 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
2 |
2 |
| 小野 伸二 |
94 |
84 |
0 |
0 |
5 |
4 |
68 |
56 |
8 |
6 |
2 |
2 |
5 |
4 |
1 |
3 |
3 |
| 本山 雅志 |
38 |
31 |
0 |
0 |
1 |
1 |
28 |
20 |
3 |
1 |
1 |
0 |
3 |
3 |
0 |
1 |
0 |
| 稲本 潤一 |
37 |
31 |
0 |
0 |
1 |
1 |
24 |
18 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
1 |
3 |
0 |
F
W |
鈴木 隆行 |
145 |
76 |
0 |
0 |
3 |
2 |
57 |
44 |
3 |
0 |
1 |
1 |
3 |
3 |
3 |
2 |
3 |
| 大黒 将志 |
137 |
57 |
0 |
0 |
8 |
2 |
34 |
28 |
1 |
0 |
2 |
2 |
5 |
2 |
0 |
1 |
2 |
| 玉田 圭司 |
82 |
44 |
0 |
0 |
2 |
1 |
28 |
21 |
1 |
0 |
1 |
0 |
6 |
4 |
0 |
0 |
0 |
| 【注】出場時間はロスタイムを含む正味のもの。ラストパス=シュートにつながったパス。
B=ブロック、C=クリア、I=インターセプト。 セーブ=枠内シュートを防いだ数。チーム合計はプレー選手不明分も含む |
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◇opta(オプタ) Jリーグやプレミアリーグの公認するプレー分析データ。ただし、今回使用したデータ(シュート数等)は公式記録とは一致しない。出場時間はロスタイムを含めた正味の時間を採用している。
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