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日本代表タイトル
 

ダバディー氏「川淵会長の失策だ」

日本代表を離れた今も、日本代表を熱く語ったダバディー氏(撮影・中村誠慈)

 日本代表のジーコ監督(50)が結果を残せないでいる。初の国際大会となったコンフェデレーションズ杯で1次リーグ敗退。問題はどこにあるのか。W杯から1年。トルシエ前監督のパーソナルアシスタントとして、代表の成長を見届けてきたフローラン・ダバディー氏(28)が現在の日本代表について語った。

 ジーコ監督への批判は筋違いです。就任してまだ1年も経っていません。代表は毎日一緒に練習しているクラブチームとは違います。短期間で結果を出すことは不可能なのです。トルシエ監督時代にも苦い経験があります。98〜99年にかけて結果を出せず、批判を浴びました。極端に言えばチームが本当にうまくいき始めたのは00年5月のハッサン2世杯から。だからもう少し包容力を持って見守ることが必要です。

 コンフェデ杯は1次リーグで敗退。でもフランス戦はすごく楽しかった。特に中村の変身ぶりには驚きました。フィジカルも判断力も守備力も成長していました。右足での強烈なシュートなんてトルシエ時代には考えられませんでした。レジーナに移籍し厳しい現実と向き合い、精神的にも大きくなったのでしょう。

 ジーコ監督は全員攻撃を意識しています。攻撃時に両サイドバックが上がり2バックになります。ブラジル流というより、オランダの哲学に似ています。考え方はトルシエ監督に近いものも感じます。日本の戦力を冷静に考えると、普通のやり方では世界のトップ10と対等に戦えない。だから全員で攻めるという作戦になるのです。トルシエ監督は中盤に人数をかけ、激しいプレスをかけることで、実力の差を埋めようとしました。

 サッカー自体はトルシエ時代とは違います。自由なチームになりました。トルシエ監督のチームは組織を何よりも尊重する選手が8割、個人能力の高い選手が2割でした。今はそれが逆転。どちらが正しいということは言えません。それは監督の哲学の問題です。ただ私は今の日本には組織力に基づいたチームの方が合っていると思います。せめて8割の選手が海外リーグで活躍する時代にならなければ自由主義は難しいでしょう。

 でも、ファンの皆さんも勘違いしないで下さい。そもそも監督だけで「日本が強くなる」ということはあり得ないのです。それはトルシエ監督の持論でもありました。チーム力の8割は選手個人の能力とマッチメークを軸とした協会の方針で決まります。監督の仕事(練習や戦術)は残り2割。試合前に選手たちを調和させ、刺激を与えることぐらいです。中村のように若い選手がどれだけ成長できるか。協会がいかにいい方向性を示せるかの方がはるかに重要なのです。

 その意味で今批判されるべきは監督ではなく、日本協会のトップだと思います。私はキリン杯パラグアイ戦(11日)でW杯以来、1年ぶりに日本代表の試合を観戦しました。パラグアイのひどさに驚きました。主力選手はいない。プレッシングも技術もない。守るだけでした。こんな相手と戦って進歩があるのでしょうか。コンフェデ杯まで韓国戦を除いてホームでの親善試合ばかりでした。勇気をもって米国遠征に行くべきだったのではないでしょうか。これは重大なミスだと思います。

 トルシエ監督が日本で最も力を入れたのはサッカー・マネジメントの構造改革でした。日本にはいい監督より、いいGMの方が必要なのです。これは21世紀モダン・スポーツの現実です。今の日本は違います。8月にもナイジェリアのような強いイメージのある国を中途半端なタイミングでホームに呼んできます。確かにスポンサーも大切です。でもそれなら国際実績は高くないけどチェコや米国などフルメンバーを構成し、本気で戦ってくれるチームを呼ぶべきでしょう。

 ジーコ監督を選んだのは川淵会長です。同監督は非常に紳士的で協力的です。メディアも批判はできません。トルシエ監督とは対照的です。川淵会長は前任者のやってきたことを土台から否定しました。実際に昨年末、雑誌の石原都知事との対談でトルシエを痛烈に批判しています。確かにトルシエ監督はストレートすぎます。人間関係でうまくいかないこともありました。対立もありました。でも討論があったからこそ、選手も協会も10年分成長したのだと思います。

 川淵会長の「チーム」には田島技術委員長など国際性豊かで知識のある若い人材がいます。彼らをもっと前面に出して生かすべきではないでしょうか。川淵会長は日本のサッカーに大きな変革をもたらしました。特にJリーグへの貢献は素晴らしかった。しかし今の彼は賢明さより、虚栄心が勝っているようにも思えます。

 06年W杯での結果によっては、ジーコ監督の4年間だけではなく、トルシエ監督の4年間も無駄になってしまいます。代表は個人能力と日本協会の方針で8割決まります。その環境が整えばトルシエ監督でもジーコ監督でも、また無名な監督でも大差はありません。今のジーコ監督批判は「代表チームの8割が監督で決まる」という誤った考えによるものです。監督や戦術に責任を押し付けるのはサッカー文化の成熟していない国の常とう手段です。今の状況で監督を代えても何も変わらないのです。

[2003/6/26/08:47 紙面から]

写真=日本代表を離れた今も、日本代表を熱く語ったダバディー氏(撮影・中村誠慈)



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