松井ヒールパスから1発!/U23親善試合
<U−23親善試合:日本2−0韓国>◇21日◇長居スタジアム◇3万8601人
ファンタジスタが強くなって帰ってきた。U−23日本代表MF松井大輔(22=京都)が、韓国を相手に後半から出場すると完全に流れを変えた。自らのヒールパスを起点に、同11分に先制ゴール。ピッチの上で攻撃を操った。原因不明の不眠症でスタメン落ちの危機にあった司令塔が、最終予選直前に復活。華麗なパスワークと卓越したセンスで、山本ジャパンの攻撃をリードする。
松井の「マジック」が、日本の先制点を生んだ。後半11分、相手のクリアボールを拾うと、ペナルティーエリア左から中央へドリブル。DF3人に囲まれながらヒールで出したパスは、ゴール前に走り込んだ田中達へと渡る。シュートは相手GKにはじかれたが、詰めていたのも松井。身体を投げ出し右足で押し込んだ。
「アテネ世代のファンタジスタ」と呼ばれる。トリッキーなドリブルにパス。時には味方さえ読めないようなプレーを平気でする。日本でもトップクラスのテクニックが、観客を魅了する。「インサイドだと読まれる気がして…」と、とっさに飛び出すヒールパス。後半から出場する前に石川と「流れを変えよう」と誓った司令塔が、日本に攻撃のリズムを呼び込んだ。
復活だ。1カ月前までは不動の司令塔。しかし、宮崎合宿で突如、原因不明の不眠症に襲われた。「今までストレスやプレッシャーを感じたことがなかった。こんなの初めて」。眠りが浅く、体が動かない。精神安定剤に頼り、静岡合宿では2人部屋から1人部屋に替えてもらった。漠然とした不安に襲われ続けた。
「7日のイラン戦で山瀬の先発は分かっていたんです。11日のロシア戦にだけ調整しろ、と監督に言われたから」。体調の悪い選手が使われるはずもなく、事実上の控え宣告。「やるだけのことをやる」。先発の座を譲ったことでプレッシャーが消え、不思議と眠りにつけるようになった。
元気を取り戻し、危機感の塊となったファンタジスタに、ライバル韓国もたじたじとなった。華麗なプレーだけではない。泥臭いプレーで、何度もタックルした。昨年9月、1−2の惨敗で酷評された韓国戦だけに執念があった。「悔しかった。絶対に勝たないといけない。借りは返せた」。
オフには晶子夫人(25)の助けを借り、体脂肪を5%から7%にアップ、パワーをつけるために体重も2キロ増やした。地獄からはい上がった松井は、さらにたくましくなっていた。「まだレギュラーじゃないと思うし、結果を残さないと。このままの勢いで、油断することなくUAEに向かいたい」。精神的な強さを身に付け、攻撃の軸をあらためてアピールした。五輪代表に不動の司令塔が帰ってきた。【中村基也】
[2004/2/22/09:12 紙面から]
写真=後半11分、韓国GK金永光(下)をかわし先制ゴールを決める松井
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