<W杯アジア1次予選:日本1−0シンガポール>◇17日◇埼玉スタジアム
日本代表ジーコ監督(51)が勝利への執念を見せ、W杯アジア1次予選初の全勝突破を決めた。既に来年2月に始まる最終予選進出を決めている日本はサブ組中心のメンバーでシンガポールと対戦。前半13分にFW玉田圭司(24=柏)が先制ゴールを奪った後にこう着状態に陥ると、同監督は大久保、鈴木の両FWに攻撃的MFに三都主を投入、追加点を狙いにいった。結局1−0で終わったもののジーコイズムを発揮して、W杯予選が現行方式となった90年イタリア大会予選以降初の1次予選全勝。ジーコジャパンは通算成績を22勝9分け8敗とした。
居ても立ってもいられなかった。オマーン戦で退席処分を受けた鈴木通訳が不在の中、ジーコ監督は日本語で指示を出していた。「パスを回せ!」。1−0でリードして迎えた後半には大久保、鈴木の両FWを相次いで投入。さらに右ヒザに不安を抱える三都主を攻撃的MFとしてピッチへ送り出した。常に勝ち点3を狙うジーコ監督が見せた追加点への執念。2点目は生まれなかったが、ロスタイムにはGK土肥がファインセーブで唯一のピンチをしのぎ、1次予選初の6戦全勝を成し遂げた。
ジーコ監督「1点を奪った後、ゴールをこじ開けることはできなかったが勝ちは貴い。一番大きな目標は1次予選を全勝で終わること。その目標が果たせた」。
内容的には物足りなかったに違いない。ジーコ監督にも笑顔はない。それでも、オマーン戦から先発9人を入れ替え、サブ中心の選手が1つにまとまり、勝利という結果を出したことを褒めた。
先制点はジーコ監督が発掘し、我慢して使い続けてきたFW玉田だった。3月31日のシンガポール戦で代表デビュー。次戦ハンガリー戦で初先発初ゴールを奪った後、10戦ゴールから遠ざかっていた。しかし、ジーコ監督は「自信を持ってプレーしろ」とアドバイスを送りながら我慢。アジア杯準決勝、決勝でゴールして優勝に貢献した。
先月のオマーン戦では高原、鈴木に2トップを譲ったが、この日先発で起用されると、即結果を出した。玉田は「当たり損ないだった。ただ、あそこで打たないと何にも起こらない」。角度のない左サイドから得意の左足で右サイドネットを揺らした。
この玉田の活躍こそが、ジーコジャパンの象徴だ。欧州組が直前合流し、力を発揮できないまま辛勝に終わったW杯予選の1、2戦。2月の鹿嶋合宿では一部選手が無断外出し飲酒する規律違反も発覚し、3月までチームはバラバラだった。だが、ジーコ監督は辛抱強く、選手たちの成長を待った。4、5月と2度の欧州遠征を経て国内組が台頭。合宿を重ねてチームは少しずつまとまり、キリン杯、アジア杯優勝、そして6戦全勝での1次予選突破という結果を出した。
ジーコ監督「チームが進化した。国内組、海外組問わず、チームが1つにまとまった。そして結果を出した。今日のメンバーはコンスタントに試合に出場していないため、うまくいかない部分はあったが、その中でも勝ちきれる。ベンチも充実してるし、出た選手が力を出せる。今日の結果には満足している」。
2月のオマーン戦から9カ月。ジーコイズムが選手たちに浸透した。玉田は「満足できない。もっともっと練習してコミュニケーションを取っていきたい」と、指揮官に笑顔がなかった意味を分かっている。子供から大人への階段を上るジーコジャパンは、W杯を目指して進化を止めない。【岡本学】
[2004/11/18/09:14 紙面から]
写真=前半13分、先制のゴールを決めた玉田は、10日に生まれたGK土肥の第2子を祝い、ゆりかごダンス(撮影・宇治久裕)
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