MF三都主アレサンドロ(27=浦和)が「左攻撃」で北朝鮮を打ち破る。神奈川県内で合宿中の日本代表は27日、練習試合で横浜ユースと対戦。主力組が出場した前半、三都主は中盤からのパスを受け、左サイドで攻撃をリードした。積極的に相手DFに勝負を仕掛け、全3得点を演出。W杯アジア最終予選初戦(2月9日、埼玉)で対戦する北朝鮮の右MFハン・ソンチョルの攻め上がりを封じるために、先手をとって攻めまくる。
三都主が前へ前へと突き進んだ。そこに込められた強い意志。「左を突け−」。1−0で迎えた前半34分。MF福西から左サイドに速い浮き球のパスが送られる。ジーコ監督からの教えが体を突き動かす。「サイドとエリア外のシュートレンジではどんどん勝負しろ」。縦への突破。相手選手が追いすがる。それをなぎ倒して振り切り、最後は柔らかなマイナスのラストパスを鈴木がゴール。日本代表が持つ北朝鮮用の統一イメージが形になった。
青写真がある。「北朝鮮戦に向けての確認? 中盤との連係でのサイドチェンジ」。主力組が出場した前半の3得点はすべて左サイドの三都主を経由した。1点目は左サイドでキープしてMF遠藤に預け、小笠原のゴールを演出。3点目も左から内に切れ込んでスルーパスを通し、玉田のゴールにつなげた。試合前には左サイドで勝負を仕掛けるため、ボランチ陣にパスを要求。MF福西は「三都主が狙っているのは分かる。いい位置取りであれば、どんどんボールを出す」とチームメートを信頼した。
左狙いには理由がある。北朝鮮の右MFハン・ソンチョルの存在だ。戦力分析を担う和田テクニカルスタッフは「(1次予選では)両サイドが結構飛び出してきていた。特にハンはスピードもあって、アップダウンが激しい。高い能力がある」と見ている。アウエーで戦う日本戦では引いてくる可能性が高いが、勝負所ではハンに託す場面も予想される。ハンを攻めさせないためにも、三都主からの攻めが重要になる。
左サイド攻撃は日本の十八番。04年の代表戦は三都主がチームトップの7アシストを記録した。付け焼き刃のスタイルではなく、ジーコ監督の下で2年半熟成させてきた形。「日本のスタイルで戦う」と宣言するジーコ監督だが、それが対北朝鮮の対抗策になる。
ジーコ監督は「北朝鮮戦のことは親善試合2試合が終わってから」と、どっしり構える。だが裏では着々と準備を進めている。この日の練習試合では通常4バックの横浜ユースに仮想北朝鮮として3バックへの変更を要求。左からの攻めを徹底するなど、北朝鮮を意識した練習を続けている。
三都主自身、いち早く情報収集に着手した。宮崎合宿では、スタッフが「まだ選手にビデオを用意する必要はない」と準備しなかったが、直訴してリラックスルームに置いてもらった。情報が、発奮材料にもなった。「(カザフスタン戦に)勝って自信をつけて北朝鮮戦にいい感じで入れれば」。左を制するものが予選を制す。三都主が日本をW杯に導く。【広重竜太郎】
[2005/1/28/09:05 紙面から]
写真=横浜ユースとの練習試合でドリブル突破を試みる三都主(撮影・越田省吾)
|