「おれたちが流れ変える」。MF中村俊輔(26=レジーナ)FW高原直泰(25=ハンブルガーSV)のW杯への戦いが始まる。9日のW杯アジア最終予選北朝鮮戦(埼玉)の先発から外れることが決定。決戦前日の8日から練習に合流した2人は、ジーコ監督と話し合い、チームを支えることを約束した。欧州組で唯一W杯出場経験がなく、最終予選突破を願う気持ちはだれよりも熱い。初戦はスーパーサブとして流れを変える切り札になる。
中村と高原が待ちに待った戦いに、覚悟を決めた。リーグ戦で結果を残し、好調を維持しながら帰国前に間接的に伝えられたスタメン落ちの屈辱。不満もくすぶる。だが決戦前日、心の整理をつけて代表に合流した。雑念を振り払い、調整に励んだ。20時間をかけたイタリアからの大移動で午前11時に帰国した中村は新球の感触を確認。別メニュー調整だったが約20分間左足でシュートを打ち続けた。前日7日に帰国した高原も練習に初参加。ミニゲームでは豪快な左足シュートでゴールを決めて好調ぶりをアピールした。
ジーコ監督との話し合いで信頼関係を再確認した。高原は「(先発は)選手が決めることではなく監督が決めること」と前を向いた。中村も「最初の5分でも最後の5分でも流れを変えるプレーを期待していると言われた」と担う役の重みを感じていた。先発への未練は心の奥底にしまった。
北朝鮮戦から始まる06年ドイツW杯への道しか見えない。苦難の道のりが思いをより熱くする。欧州組で最終予選もW杯も経験していないのは2人だけ。中田英、小野、稲本、柳沢らは日本のサッカー史に刻まれた大舞台に立ち続けた。だが02年W杯で中村はトルシエ前監督の構想から外れ、高原も直前の肺血栓塞栓(そくせん)症で夢を閉ざされた。縁遠い舞台だった。
落選後の欧州移籍で牙を研ぎ続けた。トルシエ監督は後に中村落選の理由を「ベンチにいても雰囲気が重くなる」ことを挙げた。だがセリエA3年目を戦う中、精神面で大きく成長。「応援団長もやるよ」とムードメーカーを請け負う覚悟がある。この日の帰国ではローマ、ミラノの乗り継ぎで3時間ずつ待たされ、機内でイタリア人のACミランサポーターに3時間も話しかけられた。それでも「早く寝たかったんだけどね」と笑い飛ばせる余裕がある。
高原は激しいポジション争いを繰り広げながら、3シーズン目の今季は自己最多の5得点をマーク。「重要な一戦になるし、ホームで落とせない試合になる」。欧州組で初戦に招集されたのは2人だけ。初体験となる最終予選をだれよりも待ちわびていたのは、雌伏の時を乗り越えた中村と高原に違いない。【広重竜太郎】
[2005/2/9/08:44 紙面から]
写真=練習中、三浦(後方)とふざけあう高原(右)。FKの練習をする中村
|