<W杯アジア最終予選:日本2−1北朝鮮>◇B組◇9日◇埼玉スタジアム
最終予選の司令塔はおれだ! MF小笠原満男(25)が、北朝鮮戦で勝利を呼び込む全2得点に絡んだ。ジーコジャパンの司令塔MF中村に代わってトップ下で先発。前半4分に直接FK弾で先制点を決めると、ドロー寸前の後半ロスタイムに執念の右クロスを上げて決勝点をもたらした。昨年騒動になった合宿中の無断外出から、ちょうど1年。過去を振り切る大活躍で、日本に初陣勝利をもたらした。
輝いていた。躍動していた。2回訪れた歓喜の輪の中に、小笠原はいた。寡黙な男が見せる一瞬の笑顔。大役を果たした安ど感がもたらした。代表の絶対的な司令塔だった中村を押しのけて最終予選先発。絶対に結果を出さなければいけない。さもなければベンチを温め続ける日々へ逆戻り。「これまでのパターンならベンチ。出られる喜びが大きかった」。込み上げる勝利の味をかみ締めた。
ドイツW杯への1点目を右足で刻み込んだ。前半4分。DF三都主が受けたファールで得たペナルティーエリア外左寄りのFK。ゴールへ1点だけを見据える。助走をつけ、右足を振り抜いた。6枚の壁の上からゴール左へ美しい軌跡を描くボールは、軽やかに弾んでネットに飛び込んだ。「早い時間帯だったので思い切り蹴った」。日本に勇気をもたらす先制弾だった。
刻々と近づく後半3分のロスタイムにも動じなかった。スタンドから悲鳴も聞こえる中、右サイドから鋭いクロスを上げた。GKの中途半端なクリアを誘い、決勝点を呼び込んだ。
試合前日「いつかチャンスをと思っていたが、それが今なんだと思う」と闘志を包み隠すように静かに話した。1年前。どん底だった。同じ2月9日、鹿島合宿中に自身を含めた8選手が無断外出。規律違反を犯し、1次予選2戦目のシンガポール戦は落選した。恩師でもあるジーコ監督を失望させた。
1度失った信頼を取りを取り戻すのは容易ではない。だがはい上がった。アジア杯も司令塔中村の壁にぶち当たりながらサブで気持ちを切らすことなく戦った。8選手の中で、唯一初戦のメンバーに選出された。直前の2日シリア戦ではゴールを決めた。「国内組でできる」。最後のアピールがジーコ監督の心を揺り動かした。そして先発の座を与えられた。意気に感じ、そして即結果を残した。
まだ最終予選は始まったばかり。3月25日のアウエー・イラン戦は移動の少ない欧州組に有利に働く環境にある。中村、そして復活を狙う中田英との司令塔争いも激しさを増す。輝きを取り戻した小笠原が、間違いなく日本の大きな戦力になる。【広重竜太郎】
[2005/2/10/08:57 紙面から]
写真=先制ゴールを決めガッツポーズの小笠原(下)に抱きつく三都主(撮影・宇治久裕)
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