<W杯アジア最終予選:日本1−0バーレーン>◇B組◇3日◇マナマ
日本代表が3大会連続のW杯出場に王手をかけた。故障者続出に、緊急システム変更で迎えた一戦。前半34分にMF小笠原満男(26)が右足シュートで先制弾を決めた。守備陣もカウンター攻撃を封印し、ゴールを死守。1−0で最大の危機を乗り越えた。北朝鮮がイランに敗れたため、日本の3位以内が確定。最終予選での敗退はなくなった。8日、バンコクでの北朝鮮戦で勝ちか引き分ければW杯出場が決まる。
迷走していた日本が光に向かって突き進んだ。前半34分。FW柳沢がはたき、MF中田英が前線へ鋭いパスを送り、MF中村がヒールで後方に流す。3人の意図が1本の線につながったダイレクトパス。念願の瞬間に変えたのは、MF小笠原だった。ドリブルから体を左に振り、柳沢がさらに左のスペースに駆け込んだ瞬間、一気に体勢を右へ持ち直した。虚を突かれた相手DF陣の間にゴールへの道筋が見えると右足を鋭く振り抜いた。233分ぶりに揺れるゴールネット。勇気を与える先制弾に青い輪ができ上がった。
ジーコジャパン発足から48戦目。これほどチームが揺れたことはない。キリン杯でジーコ体制初の2試合連続無得点の屈辱。FW高原は合流直前に、MF小野も決戦2日前に故障で離脱。温めていた鈴木−中田英−中村のトライアングルを形成するプランは、柳沢の1トップ、中村と小笠原のダブルトップ下に変わった。準備期間は前日2日のフォーメーション練習だけ。突貫工事を強いられた。
高まる不安感。それでも心は折れなかった。決戦の地に入った1日の紅白戦中には、MF中田英が福西の守備の位置取りに「行けねーじゃねーか!」と怒鳴りつけた。その夜には選手全員が集まった。「相手を警戒するのではなく、自分たちのサッカーを突き詰めよう」(中村)。純粋に意見をぶつけ合った。目標のために妥協はできない。W杯へ、魂は1つだった。
崩壊しかけていた守備陣も踏ん張った。腰痛で離脱していたDF中沢が復帰。序盤は左サイドでのカウンターを何度も食い止めた。同44分にはFWユスフのミドルシュートをGK川口が懸命にはじき、ボールはポストに直撃。「8年前は(W杯に)出場したこともなく無の境地でやれた。そういう気持ちでやる」。守護神の無心が運も呼び込んだ。
気温30度以上の熱気が選手の体からスタミナと判断力も奪い取った。後半34分にはFW柳沢が相手GKをかわし、無人のゴールを前にしてパスを送り、チャンスをつぶした。それでも最後の攻防は譲らない。後半39分には自陣ゴール前のセットプレーでGK川口がパンチングし損ねたが、DF中沢が懸命にクリアした。
1−0と際どい戦いを制した。勝利を告げるホイッスルが心地よかった。プレーオフ進出を確保し、8日の北朝鮮戦に臨む。ジーコ体制3年の答えが出る。「いばらの道」のゴールは、もう目の前に迫っている。【岡本学、西尾雅治、佐々木一郎、山下健二郎】
[2005/6/4/09:25 紙面から]
写真=前半34分、小笠原(中央)は先制ゴールを決め中田英と抱き合って喜ぶ。手前右は中沢(撮影・鹿野芳博)
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