<コンフェデレーションズ杯:日本2−2ブラジル>◇1次リーグB組◇6日目◇22日◇ケルン
心はつかんだ。世界王者に先制されても追いつき、勝ち越されてもそのままで終わらせなかった日本代表に、地元ドイツの大観衆は惜しみない拍手を送った。母国ブラジルとの初対決で初勝利こそ逃したジーコ監督(52)だが、W杯本大会への手応えと、さらなるレベルアップを宣言。日本協会も10月に東欧遠征、11月に強豪国とのテストマッチでチーム強化を全面バックアップする。惜しまれつつドイツを去る日本は、さらに力をつけて1年後、「世界を驚かせるための戦い」に挑む。
最高の予告編だった。ブラジルの露骨な時間稼ぎに鳴りやまなかったブーイングは、試合終了の笛と同時に静寂へと収束する。直後、ケルンのスタンドは、この日最大のブーイングに包まれた。最後まで闘争心をむき出しにした日本への称賛と、引き分けもやむなし、という試合運びのブラジルへの失望感。観客わずか2万4036人の16日のメキシコ戦で「これからの活躍で客席を満員にしたい」と話していたジーコ監督は、狙い通り、90分間あきらめない試合で4万4922人にまでふくれあがっていたスタンドに日本サッカーの魅力と興奮を伝えきった。
母国ブラジルとの対戦。試合前には控室で「私はブラジル国歌を歌うけれど、それが終われば日本のために戦うということを忘れないでほしい」と選手に話し、実際に聞いて「心臓がバクバクするほど感動した」とまで言う特別な感情があった。だが、ボールが転がり出せば話は別。ハーフタイムには「もっと球際に強く」と戦う姿勢を選手に求め、後半開始と同時にFW大黒、MF中田浩を投入して中田英を2列目へ。どん欲な積極采配で2−2の引き分けをつかんでも「(前半4分の)加地のゴールが認められていれば全然違った結果になった」と悔やんだ。得失点差での1次リーグ敗退には「亡くなった兄(ゼッカ氏)の『取れる時に取っておかないと1点に泣く』という言葉の重みを痛感した」とギリシャ戦を反省。会見では「悲しむべきはこれだけのサッカーをしても準決勝に行けなかったこと」と最後まで勝負に、4強進出にこだわった。
1年後には、再びドイツのピッチに立つことが約束されている。世界王者相手の大健闘は、ドイツ人の心をつかむに十分以上の内容だった。「気持ちで負けたら試合にならない、ということを選手に植え付け、肌で感じさせられたことはよかった。このチームは絶対に、とてつもないことをやれる。可能性は大きく広がった」。ブラジル戦引き分けは、世界を驚かせる戦いへの予告編。1年後の本編で見せるサプライズは、もっと、世界をくぎ付けにする。【永井孝昌】
[2005/6/24/09:23 紙面から]
写真=試合中、大声で指示を出すジーコ監督(撮影・栗山尚久)
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