ジーコジャパンが、東アジア選手権(7月31日開幕・韓国)へ4人目の初代表を招集した。日本代表合宿3日目が27日、茨城県内で行われ、体調不良で辞退したFW久保に代わり、巻誠一郎(24=千葉)が追加招集された。ユニバー代表以外、各年代の代表経験のない巻だが、Jリーグでは今季8得点で、FW大黒に次ぐ日本人2位(全体4位)とブレイク。ポスト役不在の中、FW最長身184センチの高さで勝負する。
突然の初招集も物おじしなかった。練習前、ジーコ監督に紹介された時、先輩の拍手に堂々と胸を張り一礼した。「知ってる選手がいっぱいいたんで、全然大丈夫。グラウンドの中では関係ないですから」。MF小笠原とボールを蹴り合う中、うっすら笑みも浮かんだ。同じ初招集組のFW田中達やMF今野が、初日に見せた緊張はなかった。
表情とは裏腹に舞台裏は大混乱だった。午前に追加招集の一報があり、千葉関係者が電話したがつながらない。祖母井GMからの着信がたくさん入っていたのに気付き「何か悪いことでもしたかな?」と驚いたが、その後の驚きは衝撃的だった。東京で知人に会っていたが、慌てて正午にクラブハウスへ行き、メディカルチェックを受け急いで代表宿舎へ。着いたのは、午後練習2時間前の3時45分だった。
アップ後、いきなり今合宿初のフォーメーション練習が始まったが、控え組で2トップを組む田中達やMF本山と話し合い、開始直後から果敢に攻めた。「高さや前線の守備、ポストプレーなどを出したい」という通り、コートを幅広く走り献身的にプレーした。
洗礼も受けた。紅白戦では、この日3度DF宮本と競り合ったが、いずれもはね返された。ボールも、回ってこなかった。それでも終了間際の29分、本山からの浮き球に飛び込み、右足に合わせシュートを放つなど、らしさも見せた。
練習後、巻は満面に笑みを浮かべた。「W杯は、まだまだ遠いものだと思っていた。でもチャンスをもらった。高さのあるFWがいないんで、そういう部分を出したい」。持ち前の激しいプレーで負傷が多く、ゆがんだ右ほお骨が神経を圧迫し、今も顔面の右半分にまひが残る。でも、ようやくスタートラインに立てた喜びが、巻の体を前へ、前へと突き動かしていた。夢にまで見たドイツへ、巻が第1歩を踏み出した。【村上幸将】
[2005/7/28/09:17 紙面から]
写真=紅白戦で宮本(右)と激しく競り合う巻(撮影・栗山尚久)
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