来年6月9日開幕のW杯ドイツ大会をもって退任するサッカー日本代表ジーコ監督(52)の後任として、プレミアリーグ・アーセナルの監督、アーセン・ベンゲル氏(56)がリストアップされていることが24日、明らかになった。次期監督の決定権を握る日本協会の川淵三郎キャプテン(68)が初めてW杯後について言及し「ベンゲルは、監督としての最後は日本でやりたいようだ」と発言。Jリーグ名古屋で指揮を執った世界的な名将を、2010年W杯南アフリカ大会の日本代表監督の有力候補に挙げた。
日本の将来を託したい− ジーコ後の10年南アフリカ大会へ、川淵構想の中心にベンゲル氏がいた。
自身の69回目の誕生日となる12月3日に日本代表MF中田英が所属するボルトンの試合を視察することを決めた。その相手がベンゲル監督率いるアーセナルだった。「ベンゲルに会えるかもしれないな」。恋人との再会を待ち焦がれるようにつぶやくと、ジーコ監督が退任するW杯後の次期監督人事へ話を発展させた。
「ベンゲルは、監督としての最後は日本でやりたいと話している」。
「(日本協会として)年俸を4億も5億円も払えないが、今より下がっていいというのであればね」。
ベンゲル氏を日本代表監督として迎えたいという長年の思いが一気に沸いた。
98年フランス大会後、日本協会は02年日韓大会を見据え、次期監督をベンゲル氏に絞って交渉した。しかし、アーセナルとの契約が1年残り、欧州CLを制覇したいという同氏の思いもあり決裂。「何カ月も待ったんだが…」(川淵キャプテン)と、結局、同氏の推薦でトルシエ前監督に落ち着いた。さらに00年4月にも、最大限に同氏の意向を尊重する好条件で再オファー。しかし「恋」は成就しなかった。
次期監督について「自分が決める」と川淵キャプテンは日本協会トップとして宣言し、青写真も描いている。3大会連続のW杯出場を果たし、日本協会へは次期監督への売り込みも舞い込んでいるが「(条件として)日本を知っているというのがある」。95年から96年途中まで名古屋で指揮を執り、その後も解説などで日本サッカーを見続けるベンゲル氏なら、安心してジーコ後を任せられる。
「焦って決める必要はない。W杯後に技術委員会がリストアップしたのを見て決めればいい」という中で早期ラブコールを送るのは、ベンゲル氏は他候補とは「別格だ」という川淵キャプテンの意志表示でもある。日本代表監督へ招くには「障害」を乗り越える必要があることを、失敗した過去から学習している。
同キャプテンはフル代表の監督に、08年北京五輪を目指す代表の指揮も任せるつもりでいる。トルシエ前監督が五輪とフル代表を兼ねた例を出し「トルシエはシドニー(五輪)をみて(02年の)W杯へつなげた。五輪とフル代表の日程もあまり重ならないからね」。来年1月には五輪代表暫定監督を発表する予定で、新潟反町康治監督を筆頭に浦和柱谷哲二コーチらを候補にした日本人指導者を、W杯後に就任する兼任監督の下で五輪代表コーチとして修行させる構想だ。「名将」と呼ばれる理論派のベンゲル氏を日本代表次期監督に迎えられれば、川淵構想にもうってつけ。片思いだった「恋」の成就へ、全力を傾ける。
[2005/11/25/09:01 紙面から]
写真=天皇杯決勝の広島戦を制し記念撮影をするベンゲル監督=96年1月1日
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