横浜が3年ぶり優勝!岡田監督が就任1年目でチーム再建
メガネが壊れても心配はなかった。選手がVの扉をこじ開けた。勝った。酔った。抱き合った。就任242日目、横浜の岡田武史監督(46)がJ1を初めて制した。優勝に王手をかけていた横浜は、DF中沢佑二(25)の2得点など後半の3ゴールで3−0と神戸に快勝。磐田と市原を振りきり、3年ぶり3度目の優勝を果たした。98年フランスW杯で日本代表を率いた岡田監督が、就任1年目で初めてJリーグの頂点に立った。
岡田監督は駆け寄ってくる中沢をぎゅっと抱き上げた。次々と選手が集まる。後半22分、待望の先制点。ベンチ前はお祭り騒ぎだ。その輪から1人抜けだして捜し物…。拾ったメガネはこなごなだった。「佑二に壊されたんだよ。後で弁償してもらうよ」。岡田監督の目は笑っていた。もうメガネは必要なかった。
前半は無得点。引き分けではV逸の可能性がある。ハーフタイムで選手を揺すり起こした。「ドローで優勝するくらいなら、負けてしまえ!」。選手たちはゲキに応えてゴールを目指した。松田が、柳が、中沢が、DF陣が攻め込んだ。監督の思いに応える頼もしい選手の姿があった。
昨年12月に就任、改革はメンタル強化から始まった。「意識改革には超一流が必要」とブラジル代表主将カフーの説得にイタリアに飛んだ。契約は破棄されたが、その意図は選手に浸透する。「どうもおとなしいイメージなんでね」。掲げたのは攻撃サッカー。再建を目指して、船出した。
険しいVロードが待っていた。1月にGK榎本達が骨折。鹿児島キャンプで故障者続出。突貫工事で開幕を迎えた。3月21日、磐田との開幕戦に勝っても「まだ1試合終わっただけ」と淡々とコメントした。
97年の最終予選を勝ち抜き、98年にW杯監督を務めた。札幌をJ1に上げた。46歳ながら実績は十分。ヤマ場も踏んだ。中断明けから連勝しての王手にも「これで眠れないようじゃ、W杯予選は勝ち抜けないよ」と話す一方で、選手に「運はだれにでも流れてる。つかみ損ねないようにベストを尽くせ」と説いた。
岡田 大事なのはメンタル。焦らず、慌てず、怖がらず。当日になって選手にはプレッシャーをかけた。じゃないと最終目標である常勝にならない。優勝請負人と呼ばれたけど、それだけじゃつまらない。磐田、鹿島の2強に並びたい
座右の銘は人間万事塞翁(さいおう)が馬。正月に鎌倉の鶴岡八幡宮で「凶」のおみくじを引いたが「優勝、優勝と調子に乗らず地道にやれと考えたらありがたい」。講演で「途中解雇もある2年契約」と笑い飛ばす一方で「監督業はやめられないね。やりがいがある」と話した。
W杯後、J2から再出発し、横浜で頂点に立った。自らの人生を楽しんでるようにも見える。「人生そう長くない。楽しくいかなきゃ」。勝負運のお守りなのか。車のかぎにはW杯優勝トロフィーのキーホルダーが輝いていた。【田 誠】
|