岡ちゃんで横浜、史上初3S連続V
<横浜1−0鹿島>◇6月26日◇横浜国
横浜が03年完全優勝に続く、史上初のステージ3連覇を達成した。ホームでの鹿島戦後半16分、FW安貞桓(28)が左サイドでパスを受けて4試合連続ゴールを決めた。交代枠3人を使い切る総力戦で貴重な1点を守り1−0で勝った。勝ち点2差で逆転優勝を狙っていた磐田を振りきった。岡田武史監督(47)は就任以来3S連続で優勝を果たした。横浜は国内外で公式戦29試合を戦い抜いての頂点となった。
岡田マリノスの底力を象徴する一撃が、優勝への扉をこじ開けた。後半16分、ゴール左手前で奥のパスを受けた安は、マークにつく鹿島DFとGKがシュートコース上で一直線に並んだ瞬間を見逃さず、右足を振り抜いた。いつもの力任せのキックではない。ゴール右ポストの数ミリ内側を狙った緩やかなゴールが決まった。「得点するのは大事な仕事。優勝に貢献できてうれしかった」。
勝ち点2差で追う磐田が、広島戦でゴールラッシュを繰り広げる一方で、横浜は苦戦した。引き分ければ優勝を逃すのは必至。会場に漂う不安と焦りを安のゴールが振り払った。岡田監督も勝利を確信した。
清水から横浜へ移籍して1年目の安は、戦術にフィットできず、韓国代表戦との掛け持ちでコンディション不良となり控えが続いた。そんな中、エース久保が右ひざ痛で離脱。安は4試合連続ゴールでチームの危機を救い、期待に応えた。
2月のA3杯(上海)から始まった今季、横浜は国内戦とアジアCLを並行して戦う過密日程で公式戦29試合を消化した。連戦で選手の疲労は蓄積。Jリーグでも第2節の市原戦に敗れて14位にまで落ちた。岡田監督が取り組んだ改善策は、昨季より上のレベルを目指すのではなく、身の丈に合った戦い方をすることだった。「常勝チームはやめた。1年や2年で到達できるものじゃない」。今季Jクラブ最多の17人が、15試合の半数以上で出場した。昨季完全優勝メンバーにこだわらない起用が戦力の底上げを実現した。
出場機会を求める選手とのあつれきもあった。DF波戸は柏へ電撃移籍した。「日本代表監督の時だって、何人もの選手をふるい落とした。私だってつらい。声を掛けてやりたくなるが、言ってしまえばチームはまとまらない」。選手自らが考え、行動することが逆境を乗り越える力になると信じた。昨季リーグ戦出場4試合で、構想外だった上野は「優勝は監督の指導力のおかげ。悪いのは僕」と奮起。「いずれ絶対に必要になる選手」と思っていた岡田監督は、ボランチとトップ下で併用した。
試合前のミーティングで「いいサッカーはいらない。1点取れればいい」とゲキを飛ばした。安が決めた1点を全員で死守。昨季とは違う、たくましさがあった。岡田監督は「サッカーは子供を大人にし、大人を紳士にする。まだ紳士にはなれてないけどね」とニヤリ。初の2年連続の完全優勝へ向け、新たな戦いへ船出する。【山下健二郎】
[2004年6月27日付紙面から]
|