

ブッフバルト攻撃サッカー開花
<名古屋2−1浦和>◇11月20日◇駒場
Jリーグ創設から12年。浦和のギド・ブッフバルト監督(43)が史上初めて、Jリーグでのプレー経験を持つ監督としてタイトルを獲得した。選手と衝突し、不満を訴えた選手と直接話し合った。試行錯誤を繰り返しながら、つかんだ監督1年目での大願成就。頂点までのこの1年を振り返る。
控えめに、エンゲルス・コーチと抱き合った。試合終了まで見せなかった笑顔が広がる。「G大阪の結果は知っていた。でも試合にも負けたくなかった」。最後まで勝利を目指し、攻め続けた。自力では決められなかったが、初の「Jリーグでプレーした経験を持つ監督の優勝」という記録をJ12年目の歴史に刻んだ。
転機は2−0から逆転負けした6月20日のG大阪戦で訪れた。興奮して控室に戻ると、選手を名指しで批判した。「今日の試合で頑張ったのは3人だけ。3人以外は明日も練習だ」。主将の山田が反発すると、それまでの采配への不満が一斉に噴き出した。FW岡野が「お前ら、ガタガタうるせえんだよ」と一喝しなければ、チームは崩壊していたかもしれない。帰りのバスの中。冷静さを取り戻すと「さっきは言い過ぎた」と謝罪した。そこから、チームは変わっていく。
第1ステージ終了直前、「ボクへのパスが少ない」と直訴してきたFWエメルソンには、試合のデータを見せて「君には誰よりもパスが出ているだろう」と納得させた。アテネ五輪代表から漏れたMF鈴木は、監督室に呼んで「山本監督から連絡はなかったのか。私なら、主将まで任せた選手を外すなら必ず一言かけるよ」と伝えた。「あの言葉で、このチームにいてよかったと思えた」と鈴木。控室での事件を乗り越えて、選手の気持ちをつかんでいった。リーグ制覇へチームはまとまっていった。
ブッフバルト監督の采配を間近で見てきたエンゲルス・コーチは、こう言う。「10年たったら(采配は)変わっているかもしれないね」。監督経験がないからこそ試行錯誤を繰り返し、攻めに徹して優勝をつかみ取った。「次の目標はアジア」と言い切る新人監督は、もう迷わない。選手の信頼を背に、チャンピオンシップでも攻め続ける。
[2004年11月21日付紙面から]
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