アンリ40mドリブルV弾/欧州CL
<欧州CL:アーセナル1−0Rマドリード>◇決勝トーナメント1回戦第1戦◇21日◇スペイン・マドリード
アーセナルのFWティエリ・アンリ(28)が40メートル独走弾で、Rマドリードに先勝した。後半2分、退団発言で放出もうわさされる相手FWロナウドのミスから得たチャンスを逃さず左足でゴール。1−0の勝利に導いた。敵地サンティアゴ・ベルナベウでのイングランド勢初勝利を決めた1発。最有力候補といわれるRマドリードへの移籍も加速しそうだ。
歴史に残るゴールを決めたアンリは、スタンドに向かって静かに両手を広げた。右手人さし指にキスし、左手を1度上げたが、喜びを爆発させることはなかった。「前半に数回チャンスを逃していたから、後半は1度くらいは決めなきゃいけなかった」と試合後も淡々。まるで気を使うかのように…。
残留を1度は宣言しながら、アンリはいまだ契約書にサインしていない。この日の相手は移籍最有力候補のRマドリード。揺れる心をくすぐるように、相手MFベッカムは試合前から歓迎のコメントを連発。アンリの妻ニコールさんにも、ビクトリア夫人とVIP席で観戦しないかと誘った。時を同じくして、放出がささやかれるFWロナウドが退団をほのめかした。
得点シーンは、そんな現状を浮き立たせるような皮肉なものだった。後半2分、後方からのパスをロナウドが大きくトラップミス。そのこぼれ球を拾ったMFセスクからのパスを受けたアンリのギアは、一気にトップに入った。食い下がろうとするロナウドを含めて絡みつくDF4人を次々にかわし、左足を一閃(せん)。世界屈指のストライカー対決で、ロナウドに決定的な差を見せつけた。
ベンゲル監督は試合後に切実に訴えた。「勝利が、アンリの残留につながればいい。彼の素晴らしいパフォーマンスで前進した1歩が(退団で)2歩下がってほしくない」。そんな声にもアンリは「僕のゴールをみんなは注目するけど、チームでなし得た勝利」と優等生的な発言を繰り返した。
残留か、移籍か…。サンティアゴ・ベルナベウでのイングランド勢初勝利を決めた鮮烈な40メートル独走弾が、アンリの去就を、そしてアーセナルの未来までも動かすかもしれない。
[2006/2/23/08:27 紙面から]
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