
2005年2月8日更新
ありがとう、北朝鮮
サッカーライター:吉崎英治
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| グラウンドに入る北朝鮮の選手たち。大好き…でも勝つのは日本だよ(吉崎) |
サッカーの試合についてああだこうだ考えて、キックオフを心待ちにする時間は、すごく楽しいもの。
今回の北朝鮮戦だって、もうすでスタジアムでに並んでいる人、会社の仲間とスコアを予想し合う人、家でがっぽりテレビ観戦と決め込んでる人…いろんな「待ち方」があるんだろう。
ボクの場合は、ちょっと正常じゃない待ち方だった。もう去年の11月中旬から北朝鮮のことばっかり考えていた。
11月17日、W杯1次予選の最終戦UAE−北朝鮮戦(UAEドバイ)を取材し、12月末からのほとんどの時間を韓国・中国での取材に費やした。試合のビデオを3本見て、9人を対象に、延べ13回のインタビューを敢行した。北朝鮮と対戦した選手、解説者、脱北したサッカー関係者…。
数少ない北朝鮮のサッカー・スポーツ関連の資料も5冊ほど読んだ。「労働新聞」など、北朝鮮の新聞も読みあさったが、見たところサッカーに関する記述はなかった。
取材期間中、北朝鮮代表がキャンプを張る中国・海南島へも3日間ほど出向いた。練習前、「ゴリゴリっ」と関係者に話を聞きに行ったら、ユン・ジョンス監督に「日本人は出て行け」といわれた。協会スタッフからは「おまえ、明日から来るな!」とスゴまれた。 本気で怖かった。
ただ、こんなにずーっとチームのことを考えていると「俺は、彼らのことが大好きなのでは」と思えてきた。7日に成田空港で彼らの姿を見たとき、正直、胸がドキドキした。はっきり言って、大好きだ。彼らがサッカー選手であるのなら、メチャメチャ興味がある。すごく話がしてみたい。
とにもかくにも、サッカーの試合について政治家がコメントするほど注目が集まり、じゃんじゃん盛り上がって、胸が高まる時間を過ごせている。
これもハッキリ言って「北朝鮮のおかげ」っていう面があるだろう。
ありがとう、北朝鮮。
でも、勝つのは日本だ。
8日、埼玉スタジアムでの練習後に福西に話を聞いた。「騒いでるのは周りだけで、選手はいたって平然。北朝鮮のデータ? ビデオルームに映像があるんだけど見ていない。うーん、見る機会がないからですよ」と言っていた。余裕プリプリだった。
小柄で、スピードあふれる選手たちがカウンターを狙うスタイルの北朝鮮代表。韓国で、この国の00年以降の国際Aマッチの成績を入手した。5勝11分7敗。負け越してる。しかもこのうちの3勝は、今回の1次予選で挙げたものだ。
唯一怖いのが、カウンターだ。
短いパスですばやくFWまでボールを運び、9番のキム・ヨンス(173センチ)、10番のホン・ヨンジョ(175センチ)の2人でゴールまで迫る。
ただ、この2人が負傷しているという情報がある。北朝鮮チーム事情に詳しい中国人記者よると、テクニシャンのキム・ヨンスは太もも、ポストプレーのうまいホン・ヨンジョは腰が悪いのだという。
…と、いうようなここまでの取材結果から出た答えは、3点差をつけて日本が勝つということ。
ただ、3−0じゃつまんないので、ズバリ6−3といきたい!! 97年フランスW杯最終予選の初戦、ウズベキスタン戦(カズが4ゴール)と同じスコアだ。
あの時は、初戦の大勝の後に苦しんだ。6−3はちょっと不吉な数字。
負けてなお、相手を複雑な気持ちにさせる。これが本当の「北朝鮮の恐怖」だったというオチは、どうでしょう?
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
吉崎英治(よしざき・えいじ)

1974年(昭49)、長崎県生まれ。サッカーライター。99年、大阪外大朝鮮語科卒。日本、韓国のトピックスを中心に週刊サッカーマガジン、ナンバーなどに寄稿している。
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