
|
| のむ毛はえ薬として知られるプロペシア(一般成分名フィナステリド)が厚生労働省の承認を受け、14日から発売されている。男性型脱毛症(AGA)に効果のある処方薬で、日本での治験にあたった川島・東京女子医科大学教授(皮膚科)は「脱毛を止めるだけでなく毛が増える症例がみられたのは驚きだった」と語っている |
プロペシアは米国の大手製薬会社メルクが開発した。すでに世界60カ国以上で承認され、年間200億円を売り上げる大ヒット商品になっている。日本では開発・販売を担当する万有製薬が4年前から臨床試験を開始し、10月に厚生労働省の承認を受けた。
14日の発売を前に大々的に記者発表会を行うなど期待の薬。購入には医師の処方せんが必要だ。1日1錠を服用するだけの手軽さが特長。保険対象外の薬のため値段は医療機関が決めるが、万有製薬では1錠あたり250円(税抜き)という参考価格を示している。服用してから効果が表れるには3カ月以上の服用が必要とされる。
洋の東西を問わず薄毛、脱毛の悩みは深い。原因はいくつかあるが、最も多いのが男性型脱毛症と呼ばれるタイプだ。男性ホルモンが関係し、思春期以降に前頭部や頭頂部から脱毛が始まる。その後、後頭部に向かって徐々に進行していく。
20〜69歳までの日本人男性は4200万人。板見・阪大医学部助教授の調査によると薄毛を認識している男性は約1260万人もいる。何らかの対処をしたことがある人は約650万人。3人に1人が男性型脱毛症であるといわれている。
プロペシアは97年12月に米国食品医薬局(FDA)に男性型脱毛症治療薬として承認され、内服薬のためのむ発毛薬≠ニして話題になった。米国での5年間の長期臨床研究では、投薬を受けた患者の約90%は毛髪が維持または改善し、約65%の患者で毛髪数が増加したと報告されている。 |
 |
国内臨床試験は20〜50歳の男性脱毛症患者を対象に、プロペシア1ミリグラムおよび0・2ミリグラム 、偽薬(プラセボ)を使って1年間行われた。第3者機関の皮膚科医師が写真評価方法(7段階評価)をしたところ0・2ミリグラム群で54%、1ミリグラム群で58%の患者で改善効果があったと評価された。
治験にあたった川島教授は「脱毛を止めるだけで十分意味があると思っていましたが、毛髪が増える症例があったのは驚きです」と発売会の講演で語った。
男性型脱毛症は男性ホルモンの1つテストステロンが頭部の毛包に存在する酵素と反応することで起こる。酵素との反応によりDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれるものに変化する。DHTは毛母細胞の分裂を抑制するため毛髪が成長する前に抜けてしまう。プロペシアは、テストステロンと反応する酵素を阻害する働きがある。
内服薬ということもあり副作用に関しても慎重な分析が行われた。治験者の1・5%(0・2ミリグラム投与)〜5%(1ミリグラム投与)で性機能低下、下痢、胃不快感、熱感などの報告があったが、「偽薬を飲んだグループも2・2%の副作用の報告がありました。本当に薬の副作用かどうかは分かりません。副作用はほとんど認められないと判断していいと思います」(川島教授)。米国の5年間の長期臨床調査でも副作用は問題になっていないという。ただ妊婦の服用は禁忌(医学的不適用)になっている。男性ホルモンの抑制が胎児に影響を与える可能性があるためだ。万有製薬では今後とも処方する医師へ継続的に専門的情報を提供する体制を取っていくと話している。 |
 |
 |
AGA(Androgenetic Alpecia)は男性型脱毛症と訳されている。生え際、頭頂部の毛髪がどちらか一方、または双方から薄くなり抜け毛が進行する。一般的に遺伝的素因やDHT(ジヒドロテストステロン)などが関係すると考えられている。DHTは男子の胎児期に外性器の発達を促す重要な働きがあるが、思春期以降ではAGAのほかニキビや前立腺肥大などの症状も引き起こす。
AGAになると毛髪は成長期(数か月〜1年間)→退行期(約2週間)→休止期(3〜4カ月)→成長期というサイクルを繰り返している。正常時には2〜6年間ある成長期が短くなるため、毛髪が長く太く成長する前に抜けてしまう。十分に育たない細く短い毛が多くなるため、全体として薄毛が目立つようになる。
テストステロンをDHTに変換する還元酵素(5α−還元酵素)にはI型とII型があり、II型はAGAが発症する頭髪の脱毛部位の毛包などに特異的に分布している。プロペシア(フィナステリド)はこのII型の働きを阻害する。 |
カツラなどを含めると全体で約2000億円市場といわれる。医療用医薬品を除く育毛剤市場は04年で約553億円(富士経済調査)。AGA治療薬の処方薬となるプロペシアは、日本では米国以上の市場とされ、服用者20万人、年間100億円以上の売り上げが予想されている。
|
 |
“のむ毛生え薬”として話題を集めている「プロペシア」(一般名フィナステリド)が今年10月に厚生労働省の承認を得て、「12月に発売予定」(万有製薬)とされている。この医師が処方する世界初の内服による男性型脱毛症用薬は、当初11月に発売される予定だったが、予想以上に高い需要に対する増産のため、年内発売へと延期されたという。
日本では800万人もの薄毛に悩む男性がいるとの報告がある。「プロペシア」は、本当にその悩みを解消してくれるのか。01年6月から各医療機関で行われている治験を統括した東京女子医科大学皮膚科学教室の川島眞教授は、次のように説明する。
「フィナステリドを1日1回のんでもらった群と、プラセボ(偽薬)をのんでもらった群を1年間比較検討しています。その1つである頭頂部の写真評価では、フィナステリド1ミリグラムの群では58%の改善が見られました。プラセボでは6%に過ぎません。しかも、プラセボでは22%の人が1年後に脱毛が進行しているのです。私は以前から育毛剤を幾つか試験していますが、これほどの効果があるのは初めてといえます」。
治験では、フィナステリドを1日0・2ミリグラムのませた群と1ミリグラムのませた群についても比較しているが、「数字上は若干後者が勝るものの、統計学的有意差は見られませんでした」(川島教授)。
のめば男性型脱毛症の進行を止めるだけでなく、58%の人は改善されるという「プロペシア」。明らかな改善例としては、頭頂部に毛が生え、脱毛個所が少なくなっている。1日1回のむだけで毛が生えてくる“夢の発毛剤”との期待が膨らむが、すべての人がそうなるわけではない。
「一部の人においては毛髪が増えますが、現在のところ、増える人とそうでない人の差は分かっていません。ほとんどの人では男性型脱毛症の進行が止まる薬と考えた方がよいでしょう」(川島教授)。
脱毛は止まっても、毛髪がよみがえるかどうかはのんでみなければ分からない。また、のみ始めて途中でやめると「脱毛が再び進み始めることが分かっています。のみ始めたらある程度の年齢に達するまでのみ続ける必要があります」(川島教授)。
男性型脱毛症に薬で立ち向かうには、長期戦の覚悟が必要。のめばすぐに毛が生えるわけではない。
【医療ジャーナリスト安達純子】 |
 |
“のむ発毛剤”として注目を集めている「プロペシア」(一般名フィナステリド)は、男性型脱毛症にかかわる5α−還元酵素を阻害する薬である。5α−還元酵素は、血中の主な男性ホルモンテストステロンが毛乳頭細胞に入ったときに、5α−ダイハイドロテストステロン(DHT)へと変換。DHTが毛母細胞に作用して、毛髪が育ちにくく、抜け落ちやすくしてしまうのだ。
「毛髪のサイクルは、髪が伸びる成長期、成長が止まる退行期、抜け落ちる休止期を繰り返しています。男性型脱毛症では、このサイクルが止まり、退行期へと誘導して休止期を長くしてしまうのです。結果として、休止期が長く続くと毛根は委縮し、やがて閉じ、毛穴のない状態へとなってしまいます」と、「プロペシア」の治験を統括した東京女子医科大学皮膚科学教室の川島眞教授は、男性型脱毛の仕組みについて説明する。
「プロペシア」は、5α−還元酵素を阻害し、毛髪のサイクルを正常に戻す。しかし、毛穴が完全に閉じて毛根がなくなってしまっている場合には、それを元に戻すことはできない。「フィナステリドを1日1回のむと6カ月程度でピークを迎えます。委縮した毛根がヘアサイクルを取り戻すのです。しかし、1年を超える長期間にわたってのみ続けても、それ以上はなかなか毛髪量は変わらないと考えられます。男性型脱毛症の進行を止め、ヘアサイクルを取り戻しても、そもそも毛穴がなければ生えてはきません」(川島教授)。
長期間にわたってのみ続けても、1年を超えれば、それ以上には見た目は大きく変わらない。それをどう考えるかは、患者の判断といえる。では、毛穴がなくなってしまっているか、まだあるのか、どう判断するかも1つの疑問だろう。「毛髪が薄くなり始めた段階で、毛根が残っている可能性が高ければ、毛髪の量もフィナステリドをのむことにより戻る可能性が高くなります」(川島教授)。
つまり、既に長年、薄毛が進行し、頭皮の露出度が多ければ多いほど、フサフサの髪を取り戻すことは難しくなる。では、家系的に薄毛になりやすい人の場合、予防的に使用し、男性型脱毛症を食い止めることはできないか。「予防的な投与は行いません」(川島教授)。 「プロペシア」は、男性型脱毛が進行し始めたころにのむと効果が期待できる。
【医療ジャーナリスト安達純子】 |
 |
医師の処方によるのむ男性型脱毛症用薬「プロペシア」(一般名フィナステリド)は、ちまたで「インポテンツになる副作用がある」とうわさされている。薄毛も悩みだが、解消するためにインポテンツになるのも、男性にとっては新たな悩みの種になりかねない。
「プロペシア」の治験を統括した東京女子医科大学皮膚科学教室の川島眞教授に直撃すると、「治験において重大な副作用は見られませんでした」という。
治験においては、1日1回、フィナステリド1ミリグラム投与群と、プラセボ(偽薬)投与群とを比較検討している。「性機能に関連した副作用」としては、ファイナステリド1ミリグラム投与群では139例中4例(2・9%)、プラセボ投与群は138例中3例(2・2%)。「統計学的に副作用の有意差はありません。すなわち、フィナステリドを服用しても、性機能に関連した副作用は起こりやすいわけではありません」(川島教授)。
「プロペシア」は、重大な副作用もなく、ほかの薬とののみ合わせによる相互作用も、今のところは起こっていない。そのためか、万有製薬が12月にも「プロペシア」の発売を開始すれば、頭皮とは無縁の内科医でさえも、処方することが可能といわれている。どこの医療機関でも、受診をすれば処方してもらえるという手軽さは、勃起(ぼっき)障害用の薬でも起こっていることだが、本当に大丈夫なのだろうか。
「フィナステリドは、男性型脱毛症用の薬であり、すべての脱毛症に効くものではありません。脱毛症には、円形脱毛症や地肌の湿疹(しっしん)、膠原(こうげん)病などの全身疾患によるものなど、いくつかの種類があります。その診断は、専門の医師でないと難しい。男性で毛が抜けているからといって、すぐに診断できるものではないのです」(川島教授)。
地肌の湿疹で脱毛が進行してるのに、「プロペシア」をのんでも意味はない。男性型脱毛症の進行を止めるには、受診したときの的確な診断が重要になる。副作用が統計学的には「少ない」とされる薬でも、やはり、受診するときには、その医師が頭皮に関しての専門的な知識を持っているか否かのチェックが不可欠だ。また、「プロペシア」は、1日1回の投与が0・2ミリグラムから1ミリグラムを上限とされている。その処方のさじ加減も、やはり、専門の医師に委ねた方がよいといえる。
【医療ジャーナリスト安達純子】 |
 |
世界初ののむ発毛剤「プロペシア」(一般名フィナステリド)のわが国における治験では、男性型脱毛症の進行を止め、毛が生えるなど改善が見られたのは58%。つまり42%の人は、1年たっても毛髪量をよみがえらせることはできなかった。42%の人に何か手だてはないのか。
「今のところ、世の中に100%髪の毛が生える薬剤はありません。しかし、薄毛に悩む患者さんに対し、あらゆる手だてを尽くすのが医師の使命です。そのため、フィナステリドだけでなく総合的な治療を行っています」。こう話すのは、城西クリニック(東京都新宿区)の小林一広院長。皮膚科、形成外科、精神神経科を中心とした総合頭髪医療を行っている。全身状態の検査を始め、フィナステリドの有効性を調べる遺伝子検査や、ストレスや毛髪ミネラルの分析などにより、男性型脱毛症に対する薬物投与に、生活習慣病の改善やメンタルヘルスなども組み合わせているのが特徴。
月間約2500人の患者が治療を受けているが、フィナステリド以外に、一般大衆発毛薬「リアップ」の配合成分ミノキシジルも投与している。フィナステリドが男性型脱毛症を進行させる酵素を阻害する一方、ミノキシジルは、血管を拡張させ毛根を活性化させる働きがある。
「2つの異なる薬効の薬を使うことで、相乗効果が得られると考えています。遺伝子検査により、フィナステリドに対する感受性が低い方もいますので、併用することで改善効果は得やすい。さらに、ビタミンやミネラルも投与といった総合的な治療が、重要だと思います」(小林院長)。
患者の1人は、半年間の治療後になじみのレストランへ行ったところ、毛髪量が増えたために「店長から別人と間違えられた」という。もちろん、すべての人がこのように毛髪をよみがえらせることは難しい。
「どこまで毛髪量が増えれば満足かは、患者さんによって異なります。しかし、ミノキシジルも含めた多角的な医療により、10年前の治療に比べて進歩しているのは間違いありません。10年後には、さらに新薬の開発等により、進歩すると考えています」(小林院長)。
男性型脱毛用の薬の併用で相乗効果が見られている。フィナステリドで効果が出なくても、あきらめずに別の治療を受けることで、開ける道もあるのだ。
【医療ジャーナリスト安達純子】 |
 |
◆プロペシア購入方法◆
皮膚科および医師の診断を受け、処方せんにより購入できる。
詳しくは「AGAコールセンター」
・フリーダイヤル:0120・73・1082
※平日午前9時〜午後6時(祝日・万有製薬休日を除く)。
・WEB:「万有製薬お問い合わせ窓口」 http://aga-news.jp |
|