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内藤雄士の「世界最新スイング」
2004/05/06 過去のコラム一覧を見る

方向性の安定は正しい体重移動

― 方向性その1 ―

正しい体重移動 正しい体重移動

 5月のテーマは「方向性」です。先月の「飛ばし編」と同じく、ボールをつかまえることが大前提ですが、効率良く安定したボールを打つには、正しい体重移動がキーポイントになります。まずバックスイングで「肩を回せ」という定説がありますが、これは迷信に過ぎません。日本だけにある固定概念を捨て、気楽にクラブを振りましょう。

 「ちゃんと肩を回して」「しっかり肩を入れなさい」。ボールを打とうとバックスイングに入る際、多くのアマチュアの方が、そう言われてきたことでしょう。「肩を回すほどボールは飛ぶ」。つまり、回転の大きさが飛距離に比例するという意識が働いているからだと思います。

 残念ながら、これは日本のゴルフ界だけの迷信でしかありません。私自身、理論を学ぶために20歳で渡った米国では1度も聞いたことがありませんでした。確かにねん転力は、飛距離と無関係ではありません。ただ、今のクラブの性能なら、肩の回転は90度あれば十分。そう、野茂英雄投手のトルネード投法は不要なのです。

 「肩の回しすぎ」の弊害を説明します。まず、クラブがインサイドに入っていき、それによりフェースが開いてしまいます。結果、インパクトでボールがつかまらず、ボールをこする弱々しいスライスボールが出やすくなってしまいます。

 もう1つ。みなさんも経験があると思いますが、回しすぎると、体重が右かかとに移ってバランスが崩れやすくなります。バックスイングとは、右股(こ)関節の上に上体を乗せる動作です。アドレスで両足の親指の付け根にかけた体重を右の付け根に移してこそ、そこから最大限のパワーが発揮されるのです。

 正しい体重移動とは、バックスイング→ダウンスイング→フィニッシュと、両足→右足→左足へのスムーズな重心の移動を言います。この一連の動作の中、バランスを崩せばナイスショットの確率は非常に低くなります。米国のコーチたちは「断がい絶壁に立ってのドライビングコンテストを常にイメージしろ」とよく指導します。つまり、肩を回しすぎて足元が崩れることなど論外なのです。

 イメージだけでなく、その状況を体感できる練習法があります。2つのクッションの上に立ってください。台の上でもかまいません。その場でクラブを振るとなれば、肩を回すことなど意識できないはずです。コンパクトな低いトップ、アドレスのままキープされた上体ができていなければ、フィニッシュまでバランスを保てませんから。

 バランス良く振るための目安として、左わきが右ひざの上に来るまで体を回します。逆にフィニッシュでは、右肩が左ひざの上に来るように意識します。体重配分は次の通りです。

 (1)アドレス(左足50、右足50)=ドライバーでは左40、右60で右足に多めに体重をかける(2)テークバックからバックスイング(左30、右70)=グリップが腰の高さにきた時点(3)バックスイングからトップ(左20、右80)=左腕が胸の高さにきた時点(4)ダウンスイング(左70、右30)=グリップが腰の高さに降りてきた時点(5)インパクトからフォロースルー(左90、右10)=ターンに連動させて一気に(6)フィニッシュ(左95、右5)=右足はつま先だけで。

 このような体重移動を成功させるには「ヒハインド・ザ・ボール」を実現させる必要があります。インパクトでボールの位置よりも後方に頭を残すという意味です。「頭=顔面を動かすな」という指導もありますが、こればかり意識すると、バックスイングでは右足への体重移動がスムーズにできず、左足に体重が残ります。逆にダウンスイングでは右足に体重が乗ってしまい、ギッコンバッタンのスイングになってしまいます。

 顔面そのものはスイングの流れの中で多少は左右に動いていい。大切なのは、頭そのものの位置を動かさないようにすることです。肩を回しすぎないことから始まる体重移動。1つ1つのポイントに気をつけながら、クラブを振ってみましょう。リズムをつかむと、ボールの安定感はグンと増すはずです。




90を切ろう!

練習場でも天然芝の感覚で打つ

 練習場でナイスショット。でも、コースに出たらヘナヘナ。そんな経験をした方も少なくないでしょう。仕方ありません。この両者は決定的に違うからです。

 第1に人工芝と天然芝の違いです。練習場の人工芝では、少々ダフってもヘッドがマットの上を滑ってナイスショットになります。一方、コースの天然芝はヘッドが土の中に突き刺さるため、わずかな上下動やスエーがダフりやトップの原因になるのです。

 そうは言っても、なかなか天然芝で打たせてくれる練習場はありません。だからこそ、人工芝でも常にクリーンにボールをヒットすることを心掛けましょう。マットに助けられたナイスショットでは喜ばないことです。


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内藤雄士(ないとう・ゆうじ)
 1969年(昭和44年)9月18日、東京生まれ。日大ゴルフ部では丸山茂樹らと同期。米国にゴルフ留学し、サンディエゴアカデミーなどで最新のスイング理論を学んだ。98年から日本ツアーでプロコーチでの活動をスタート。01年に丸山と契約し、日本人で初めて米ツアー(USPGA)プロコーチとして、マスターズ、全米オープン、全米プロのメジャー大会に参加した。(株)ラーニングゴルフクラブ(杉並区高井戸)の代表取締役で、2月から新宿駅ビル「マイシティー」屋上で開校した「クラブ23ゴルフスクール」を丸山と主宰している。

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