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2005/9/19

3Pシュートの名手が指導者に転身
3ポイントシュートの名手としてアトランタ五輪に出場した岡里明美さん(31)が、指導者としてWJBLの舞台に戻ってきました。今年4月に富士通レッドウェーブのアシスタントコーチに就任。9月9日に開幕したWJBLでは、かつてシャンソン化粧品を10連覇に導いた名将、中川文一監督(57)とともにリーグ制覇を狙っています。選手の目から見たバスケットボール、指導者の目で見たバスケットボールについて中原雄氏(38)と熱く語り合いました。【構成:岩屋良明】
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| アシスタントコーチへ就任した経緯を話す岡里さん |
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中原 アケさんとは、もう10年来のつきあいやね。
岡里 96年のアトランタ五輪前の合宿でしたよね。(仮想外国チームとして)練習ゲームの相手をしてくれたいすゞ(当時)の選手の方たちの中にチューさんもいて、ゲーム中にチューさんがうるさかったことを覚えていますよ(笑)。
中原 アケさんは「世界で5本の指に入るシューターだ」って聞いてたんだけど、本当でしたね。練習中も20本中19本は入ってたもんね。ところで高校まではインサイド(センター)をやってたんだって?
岡里 そうです。社会人になってから外からシュートを打ち始めましたね。シャンソンってオールラウンドプレーヤーが多かったから、いろんなことをしなければならなかった。その中でシューターという役割を任せられるようになったんです。
コーチの大変さを実感
中原 そんなアケさんがアシスタントコーチをやろうと思ったきっかけは? 茨城の田舎から都会に出てきたかったの?
岡里 それも、ありますけど(笑)。(03年の)アテネ五輪予選前の選考合宿で、代表落ちして引退したときは、もうバスケットは「お腹いっぱい」って感じでしたね。その後、実家(茨城)に帰って1年間はバスケットから離れ、2年目にはエアロビクスのインストラクターなんかもしていたんです。エアロビの勉強も一生懸命やったんですけど、自信を持って指導できないんですよね。そんな時に友達に誘われて遊び程度でバスケットをやったら、すごい面白かった。やっぱり「私にはバスケット」かなと思っていた時に、中川さんから「アシスタントコーチをしないか」と声をかけてもらったんです。
中原 すぐにOKの返事を出したの?
岡里 やっぱり、少し考えましたね。私に指導ができるのかって。でもやっぱりバスケットにかかわっていたいと思ったんです。教えるということはやりがいのある仕事だし、新たな挑戦だと思って引き受けることにしました。
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| 10年来の知人である岡里さんを前に笑顔を見せる中原氏 |
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中原 僕もプレーヤーからコーチというパターンだけど、コーチっていうのは選手とは違う意味で大変だよね。
岡里 そうですね。私はアシスタントコーチとして選手がやる気を出せる環境を作ることに気を遣っています。練習中に、中川さんから強く言われる選手もいるんですよ。その上で私がさらに強い口調で注意してしまったら、身もふたもないじゃないですか。だから監督のフォロー役になることを心がけていますね。
中原 ヘッドコーチの言葉は絶対だし、チームの方向性もヘッドコーチが決める。アシスタントコーチがヘッドと違うことを言ったら、チームはバラバラになってしまう。だからアシスタントコーチの役割は、ヘッドとは別の言い方で優しくフォローして、選手のモチベーションを上げることだよね。僕も4年間アシスタントをやったけど、言い方を変えるっていうのは難しいよな。
岡里 確かに難しいです。でもやりがいがありますね。
中原 アケさんには「岡里明美」という一流のプレーヤーとしての経験がある。それを伝えてあげることも大切やね。シャンソンでのプレー経験や、オリンピックでの経験を伝えてあげることが選手のためになるはずだよ。でも話をするタイミングもなかなか難しいでしょ。
岡里 はい。落ち込んでる選手には練習後にこっそりと話をすることもありますね。でも、練習とプライベートはキッチリ分けようと思ってます。年齢が近いといっても、コーチと選手は違いますからね。
チュー中原がコーチ論を伝授
中原 先日の開幕戦(10日の日本航空戦)はどうやった?
岡里 アシスタントコーチとして初めてベンチに入ったんですけど、選手の時よりも胃が痛かったですね。選手は自分で動けばいいけど、コーチは何もできないですからね。
中原 分かる、分かる。アシスタントコーチにはヘッドコーチにはない難しさがあるよね。小浜さん(元日本代表監督。中原氏がいすゞ自動車でプレーしていた当時のヘッドコーチ)から言われたのは、「ヘッドコーチには決定権があるが、アシスタントコーチにはそれがない」ということ。選手はヘッドコーチには起用して欲しいのでゴマをすることがあるかもしれないけど、アシスタントにはそれがない。だからなめられないように、少々強引にでも選手に自分の意見を伝えていくことが必要なんだよね。そうやって選手を正しい方向に修正してやる。なるほどと思ったね。
岡里 確かにそうですね。
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| 身振り手振りを交えてコーチ論を話す中原氏(右)に圧倒される岡里さん |
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中原 一方、別の外国のコーチからは「日本の指導者は怒鳴るか殴るかだけど、それは間違ったコーチングである。だからとにかく説明をすることが大切なんだ。選手はできなくて当たり前。だから繰り返し繰り返し説明をすることが大切だ」と言われた。小浜さんの言葉とともに、現在の自分のコーチングの基礎になっている言葉なんだ。
岡里 開幕戦の時に、中川さんから「ベンチでお前が試合中に感じたことを言え。それを採用するかどうかは俺が判断する」と言われたんです。練習中は言ってもいいけど、試合中は言わないほうがいいのかと思っていたけど、違うんですよね。でもなかなか言葉が出てこない。初めての公式戦だったので緊張していたんでしょうね。冷静に試合を見れなくて反省しています(試合は55−57で負け)。
中原 初めてだから仕方ないよ。でも、中川さんの言ってることは正しいね。あまりたくさん言ったらあかんけど、ヘッドコーチに情報を投げかけてあげることはアシスタントコーチの役目だからね。(選手が)疲れていそうだとか、テンパっているとか、気付いたことを言えばいい。指導者の先輩から言わせてもらえば、コーチ業はフラストレーションがたまる仕事。気楽にやったほうがいいよ。今年の富士通は面白そうやね。
岡里 開幕戦は負けましたが、内容的には悪くなかったですね。JOMOから移籍した矢野(良子=アテネ五輪代表)や、日本代表に選ばれた三谷(藍)もいるし、期待してください。
中原 三谷は専大の後輩だから僕も注目してるよ。試合も見に行くよ。【第1回終了】
◆岡里明美(おかざと・あけみ)
1974年7月24日生まれ。茨城県出身。名短大付高(現桜花学園高)3年時、高校総体で全国制覇。シャンソン化粧品時代は、96年アトランタ五輪出場。得意の3ポイントシュートで7位入賞に貢献。03年6月のアジア選手権を最後に現役を引退。今年4月からWJBLの富士通のアシスタントコーチに就任。178センチ。
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◆チュー中原(本名・中原雄=なかはら・たけし)
1966年11月10日生まれ。福岡県出身。専大ヘッドコーチ。89年に専大からいすゞ自動車入り。主将として4連覇を達成した後、99年に退社後、母校専大アシスタントコーチに就任、04年4月からヘッドコーチを務める。大学史上初の全日本大学選手権、関東リーグ戦を制すなど指導力に定評があり、テレビ解説でも活躍中。愛称は「チュー」。
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