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2005/10/17

円熟の東芝、連覇と2冠を目指す
JBLスーパーリーグで、昨季頂点を極めたのは東芝ブレイブサンダース。鎌田光顕監督(39)は、監督就任わずか2年目で、チームを5年ぶり2度目の優勝に導きました。11月11日に開幕する新シーズンはどんな意気込みで臨むのか、同期として高校時代から付き合いのある中原雄氏(38)が、鎌田監督に聞きました。【構成:飯田みさ代】
中原 いよいよ王者として迎えるシーズン開幕が近づいてきたな。
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| 新シーズンに向けての意気込みを、身振り手振りを交えて話す鎌田監督 |
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鎌田 確かに昨季は勝ったし、チャンピオンチームとしての誇りはあるけど、連覇に向けてチャレンジャーの気持ちで臨むことが大切だと思ってるから、「王者」という特別な意気込みはないね。オールジャパン(全日本総合選手権)もここ数年勝ってないから、「連覇&2冠達成」が目標。
中原 99−00年で初優勝したときのメンバーが多数残っているのも強味だよね。
鎌田 そのときからの主力、(フレデリック・)ルイスは「前回勝ったときは、翌シーズンも簡単に勝てると思っていた」と言っていた。準決勝でトヨタ自動車に負けたのは、やっぱり心の油断があったんだよね。連覇を簡単に考えた。
中原 別におごってるわけじゃないんだけれど、心に隙ができてしまう。続けて勝つのって、本当に大変だよね。
鎌田 だから今回は、まずは気持ちの面から引き締めている。精神的に刺激を受けたという意味でも、この夏、ブルネイへ遠征して、シェルリムラ杯に参加したことは良かった。
中原 具体的に言うと?
鎌田 普段と違う環境の中で、日本のチーム以外と対戦し、いろいろなタイプのプレーや選手に触れたことは非常に勉強になった。他のアジア諸国はハングリーでタフ。未知のバスケットも体験できた。また、若手選手を中心に使ったので、今季使える選手のメドが立ったことも大きい。結果は4位で残念だったけど、総じてプラスの面が多かった。
若手の成長と活躍に期待
中原 若手で注目してるのは?
鎌田 宋燕忻(そう・えんきん)にはもっと爆発してもらいたい。3年目の板倉令奈も、攻撃の中心選手として頑張って欲しいね。4人いるPGの争いにも注目して欲しい。ベテランの節政貴弘、6年目の山中健一、4年目の佐藤賢次にルーキーの志村雄彦といる。志村はさすが、昨季のインカレMVPだけあっていいね。
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| バスケットについて熱く語り合う2人 |
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中原 社会人になっても、志村の良さは生きてる?
鎌田 試合の流れを変えられるし、身長的なハンディはあるけど、気にならない。ポストアップされるときはあるけど、やられても試合を通して1回ぐらいかな。
中原 ポストアップしてくるということは、相手もいつも通りのことをしてるわけじゃないから、それだけで流れを変えていることになる。
鎌田 彼はそれに慣れてるし、逆にうまく守る。うちのメリットの方が大きいから、使いたいと思わせるプレーヤーだね。
中原 それじゃ、山中や佐藤も刺激になるね。オレもいすゞ時代、PGが4人になったときがあった。佐古賢一は別格として残り3人を考えると、自分が1番年上で、いつ首を切られてもおかしくない状態だった。その危機感から逆に「何をやってもいいんだ。思い切って行こう」と開き直ってやったことで、生き延びることができた。選手の枠は決まっているから生存競争は激しい。同じポジションの新人は、ライバルだからね。
鎌田 中原みたいな気持ちになってくれれば、お互い刺激になって、さらに良さがでてくればいいなと思う。また一段階、高いところで争ってもらえれば。僕としては、だれを使おうか、という悩みはあるけど。
止められない、熟したシステム
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| <注目の新人・志村雄彦>
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東芝の注目の新人PG、志村雄彦選手(22=慶大)にとっても、新たな戦いが始まる。身長160センチと小柄ながら、強烈なリーダーシップで昨季、慶大をインカレ優勝に導き、MVPを獲得した。しかし、社会人No.1の東芝では出場時間をもらうための努力が続いている。髪の毛を伸ばし、無精ひげをはやすなど、外見も少し大人っぽくなった志村選手に今季の抱負を聞いた。
−−社会人として初のリーグ戦が間近となった
志村 大学の中ではある程度できたけど、社会人になった今はやれないことの方が多い。だから、どうやったらできるのか、試合に出られるようになるかを考え、毎日、取り組んできた。それを実践していく中で、できることが増えていく喜びがある。今までになかった環境で、充実した毎日を過ごせている。
−−リーグ戦での目標は
志村 まずは、少しでも長くプレーイングタイムをもらうこと。
−−出場したらどんなプレーをしたいか
志村 流れを変え、そこからチャンスを作り出すことを求められているので、限られた時間の中で自分の持ち味を出していきたい。その積み重ねによって、自分のプレーイングタイムも増えていくと思う。また、勝敗だけでなく、個人としての数字にもこだわりたい。出場時間、得点、アシスト、ターンオーバー…と、数字で活躍の度合いが分かるわけだから。結果を残したい。
−−160センチと小柄な選手が活躍することは、子供たちにとっても励みになる
志村 ロールモデルになっていくことは大切。自分のことを見てくれる目が増えるという点も意識して、頑張りたい。
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中原 東芝が1番すごいと思うのは、日本人選手が中心となってやってること。アメリカ人が1、2人ケガしても、日本人だけてやってしまう。役割がはっきりしていて、それを忠実にこなしてる。そういうシステムを見ていると、これこそ大学生に徹底しなければいけないことだ、と思うよね。
鎌田 日本人だけでなく、うちは米国人含めたチーム全員で戦っているよ(笑い)。ルイスも、トム(・クラインシュミット)も約10年、日本でプレーしてきて日本のバスケを理解しているのが大きいね。僕は、吉田健司前監督がやってきたスタイルを追求しているわけで、ベテラン選手もやることを分かってる。だから、若い選手が入ってきても選手間で伝え合って、それがいい伝統になっているのかな、とも思う。
中原 確かに、5人できっちり守って攻めるというシステマティックなスタイルは変わらないもんね。
鎌田 派手さはないし、泥臭いけど、ボールを最後まで一生懸命追うチームプレーの良さを感じてもらえると思う。
中原 はっきり言って、東芝のやることはみんな分かってる。極端な話、「今から1番のプレーをやりますよ」とサインを出してからプレーするわけだからね。それでも止められないんだから、それもバスケの面白さだと思う。まあ、東芝のシステムも、熟してきたということなんだろうね。
鎌田 他のチームが、僕らのやることを分かっているという前提で、今後は裏をつくプレーを織り交ぜていかないといけない。そういったことを選手間で話し合ったり、こちらから指示したりしているけど、選手には頭を働かせて、裏をつくプレーをして欲しいね。言われたことしかできない選手は、それで終わるから。
中原 レベルが違いますわ。学生は、やれと言われたことすらできないですからね。うらやましい限りです。
鎌田 まあ、それは選手の質もある。
中原 あるね。
鎌田 若いときは、言われた通りにしか動けなくても、何年かかけてバスケットというものを理解できる選手もいる。だけど、学生の場合は4年間しかないからね。
中原 そうなのよ。分かりかけたころは卒業だからね。
鎌田 それでも「ここまで成長したんだ」という育てる楽しさはある。
中原 そうそう。チームの実績に関係なく、素材の良い選手を発掘して、それが形になってくると面白い。
鎌田 社会人になると、頭が固くなってる選手もいるからね。能力があっても自分の考えに固執しすぎて柔軟に対応できない選手もいる。そこが難しいところだね。
中原 まずは言われたことを聞き入れ、やってみて、それから自分の考え方を主張していかないと、伸びていかないよね。
鎌田 そういうこともあって、僕は、学生の試合をなるべく多く見るようにしてる。コート外での態度だとか、精神面も見た上で、うちでやっていけるかどうか判断する。
スーパーリーグ、東大入るより難しい
中原 そういえば、鎌ちゃんは何年プレーしたんだっけ?
鎌田 6年。大学でトップクラスだった北や節たちが入ってきて、ポジションかぶってたし。28歳で辞めたけど、当時は引退時期が早かったじゃない?
中原 オレらのときは早かった。30歳までプレーしてたら長い方だった。
鎌田 そのころはバブルが終わる前で、企業もたくさん人取れたから、選手の入れ替えのサイクルが早かった。東芝も3年間で10人ぐらい獲ってたんだから。
中原 当時は、1チームの保有選手が今より多かったし、リーグの規定も今とは少し違っていた。
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| 同期の語らいに笑顔を見せる鎌田監督 |
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鎌田 今は1人か2人、新人を獲らない年もある。
中原 狭き門だよね。東大入るより難しいよ。
鎌田 ハハハハ。
中原 いや、冷静に考えたらそうだよ。それより、もっと狭き門なのがヘッドコーチ(監督)。だって各チーム1人なんだから。
鎌田 そう言われればそうだけど、自分もたまたまきっかけがあったから。そうじゃないと、自分がなりたいと思ってもなれないでしょ。
中原 それでも就任2年目で、リーグの頂点を極めたんだから、すごい。
鎌田 ヘッドコーチのキャリアは僕は3年目、中原は2年目か。
中原 鎌田は下積み生活が長かったもんな。オレは4年しかアシスタントコーチやってないから、指導者のキャリアは浅い。
鎌田 7年やったけど、長ければいいってもんじゃない。
中原 確かにヘッドに上がるタイミングもあるな。何にもないところで10年やっても意味ないし。
鎌田 僕は、吉田さんの下でやってきて、吉田さんのスタイルを深く追求しているけど、逆に言えば、他のバスケを全然見ていない。そういう部分で言えば、いろいろなところに行った方が、いろいろな考え方を吸収できたかもしれないとも思う。
中原 アシスタントコーチのときに、いろいろなヘッドコーチにつければ、ということね。
鎌田 アシスタントコーチのときしか、できないこともあるからね。もちろん、ヘッドコーチになっても勉強できるけど、チャンスは狭められる。他のやり方を勉強するより、今のやり方に責任をもつことが大切になるから。
中原 でも、過去の7年間があるからこそ、選手との信頼関係があるわけだから、濃密な時間だったわけだよ。オレは、ヘッドコーチになれるかどうかは「人間性」が1番重要だと思うね。だって、いい加減にしてるやつには声をかけないでしょ? 特に、そのコーチが負けたり、失敗したりしたときに、選手に見切られてたらチームがバラバラになる。
鎌田 確かに。信頼されるには、見えない努力も必要だよね。
中原 思い返せば、鎌田とは高校3年になる前の春、全国選抜大会の練習試合で初めて会ってからの仲。その年の夏の高校総体で、オレら福大大濠は、鎌田キャプテン率いる明大中野に負けて、全国制覇の夢がついえた。ベスト16で終わったんや。
鎌田 いやあ、大濠の選手はみんなスター選手だった。でかかったしね。僕らは初めての全国大会で無名だったから、大濠を倒すことが第一関門だった。
中原 今日、こうやって話をしたけど、相変わらずきっちりしてるな。同期の仲で、だれもが「1番まともなのは鎌田」って言うからね。「オレが失敗例、鎌田が成功例」って感じだな。
鎌田 中原こそ、相変わらずだな(笑い)。
◆鎌田光顕(かまた・みつのり)
1966年5月23日生まれ。東京都出身。明大中野高、日大を経て東芝入り。主にシューティングガードとして活躍。94年現役引退し、96年からアシスタントコーチ。03年からヘッドコーチ昇格し、昨季チームを5年ぶり2度目のスーパーリーグ優勝に導いた。187センチ。家族は妻、1男1女。
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◆チュー中原(本名・中原雄=なかはら・たけし)
1966年11月10日生まれ。福岡県出身。専大ヘッドコーチ。89年に専大からいすゞ自動車入り。主将として4連覇を達成した後、99年に退社後、母校専大アシスタントコーチに就任、04年4月からヘッドコーチを務める。大学史上初の全日本大学選手権、関東リーグ戦を制すなど指導力に定評があり、テレビ解説でも活躍中。愛称は「チュー」。
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