多英跳んだ、新エア成功/W杯モーグル
<フリースタイルスキー:W杯モーグル>◇28日◇イタリア・マドンナディカンピリオ
【マドンナディカンピリオ=佐藤智徳】トリノ五輪フリースタイルスキー女子モーグル代表の里谷多英(29=フジテレビ)が、新エアを決めて35人出場の女子予選を9位で通過した。五輪用に練習してきたフロントフリップ(前方回転)を、レースで初めて試みて見事に成功。優勝候補のハイル(カナダ)に次ぐエア得点を獲得して、12人による決勝に進んだ。伊藤みき(18)畑中みゆき(30)は予選落ちした。
慎重に跳んだ。そして確実に着地を決めた。里谷が第2エアでフロントフリップを決めた。練習で成功率を上げていた大技を、レース初挑戦で成功。五輪用の必殺技がやっと完成した。
第1エアで高さのあるバックフリップ(後方回転)を決めた。その後、フロントフリップを気にしすぎて得意のターンにスピードが乗らず、得点は予選9位の22・94点止まり。本人も「フロントフリップは成功したけどほかは全然ダメ」と複雑な表情で話した。
だがエアの得点は1位のハイル(6・03点)に次ぐ2位(5・49点)。出遅れていた新技の成功に、個人コーチのフェアリング氏も「第1エアのように高さが出てくれば大丈夫」と大きな手応えを得た。
トリノで勝負を懸ける新エアが、やっと様になってきた。雪上練習は失敗続きで、前戦のW杯レークプラシッド大会の練習でも転倒し第5、6戦を欠場。強打した左腰は痛みが残っている。そんな状況でも前夜はナイター照明も届かなくなるほどの大雪の中、ただ1人残って新エアを磨いた。
本来、里谷の持ち味は男子並みのターン。エアとターンがかみ合えば、3大会連続五輪メダルも見えてくる。そんな里谷の様子にメダル候補たちも、警戒感を深める。前回五輪金のトロー(ノルウェー)は「多英が復活すれば強敵ね」と練習を凝視していた。今回のコースは、こぶ数やジャンプ台を五輪会場同様に設定されたシミュレーション大会。新エアを成功させた里谷に「課題は見つかった。次はターン」と浮かれる様子はみじんもなかった。
[2006/1/29/09:38 紙面から]
写真=W杯予選、第2エアでフロントフリップを決める里谷多英(撮影・田崎高広)
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