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  スポーツNOW(12月18日付)
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地球環境、通信制初全国高校サッカー出場

松本監督(中央)の指導の下、創部7カ月で全国大会出場を決めた地球環境
松本監督(中央)の指導の下、創部7カ月で全国大会出場を決めた地球環境

 高校スポーツに新たな時代が訪れた。長野県佐久市の私立「地球環境高校」が、通信制高校として初めて全国高校サッカー選手権大会に出場する。今年4月の開校からわずか7カ月での快挙だ。メキシコ五輪銅メダリストで、元Jリーグ川崎F監督の松本育夫氏(61)の指導で、元不登校児らを含むわずか22人の部員が偉業を達成した。監督は何をしたのか。通信制は不登校児をどう変えたのか。快挙の裏側を探ってみた。

 「時代を反映した快挙」という見方が強い。先月3日、地球環境高校は長野県83校の頂点に立った。大胆な校名。通信制という特異性。そして開校7カ月での優勝と、異例づくしなのだ。部員22人中県予選に登録できたのはわずか17人。8人は元不登校児だった。

 4月の開校と同時にサッカー部が創設された。知人の紹介で松本氏が監督に就任した。「勧誘もしていないし、サッカー部に何人集まるか分からなかった」。松本氏の監督就任を聞きつけ、全国から22人の生徒が入部した。全員が複雑な事情で挫折を経験したサッカー少年たちだった。

 練習環境には恵まれていた。通学が週1日だけ。時間はふんだんにあった。人工芝のハーフピッチに、土のグラウンド3面を有している。寮も完備されている。「練習は最長3時間半やった。プロ以上でしょう」と松本監督は振り返る。

◆地球環境高メンバー表◆

位置

背番

選手名(学年)

前所属

GK


16

桑原 一太(3)
菊池 公利(2)

宮崎日大
宮崎日大

DF





17

高橋 公明(2)
中塚 秀生(3)
松岡 宏晃(2)
西田 祐士(3)
荒川 直樹(1)

日大山形
宮崎日大
宮崎日大
宮崎日大
静岡・三島南

MF



10
13
15

上木 啓祐(1)
中塚 生弥(2)
尾田  翼(2)
佐伯 知亮(1)
菅原 和樹(1)

福井・丸岡FC
宮崎日大
宮崎日大
宮崎・岡富中
埼玉・豊野中

FW



11
12
14

真鍋 光一(3)
下司 隆士(2)
高瀬  悠(1)
田中 純平(1)
岩波 慎吾(1)

宮崎日大
宮崎日大
長野・佐久サーム
長野・塩尻中
長野・諏訪FC

 しかし、もともと集団生活になじめない子供たちが多かった。複数の選手が寮を脱走した。その都度、監督はこう諭した。「サッカーは局面を自分の判断で打開しなければならない。人間性のすべてが出る。いいかげんな日常生活を送っていてはいいサッカーができない。ピッチの中と外はイコールなんだ」。

 選手たちにアルバイトを奨励した。「社会生活に触れることで人間の幅を広げて欲しかった」(松本監督)。現在14人がアルバイトをしている。GK桑原は週3日地元のガソリンスタンドで働く。月収は3万円程度。「遠征費くらいは自分で出そうと思った」。自分で稼ぐようになってサッカーへの意欲がさらに強くなった。

 地元の県立高校から転校してきたFW岩波は言う。「前の高校は1カ月で通わなくなった。サッカーより友達と遊んでいる方が楽しくなったから。今は1日1日に充実感がある」。木内信五校長は躍進の要因をこう分析する。「彼らは挫折して故郷を飛び出してきた。その意地がハングリー精神になっている」。

 目立つ新参者にはしっとも根強い。17人中長野出身者は3人。OBもいない。予選会場はまるでアウエー。「点を入れられただけでスタンドは大騒ぎ。あの状況の中でよく勝ち抜けた」と松本監督。その精神力の強さこそが、このチームの象徴でもあった。

 高校中退者は全国で16万人といわれる。だから通信制高校の全国大会出場も時代を映した社会現象なのかも知れない。今後、増える可能性もあるが、松本監督はこれには抵抗感を見せる。「日本の将来を考えれば、本来こういう学校が増えてはいけないんです」。31日、埼玉・駒場スタジアムでの立正大淞南(島根)戦が全国デビュー戦になる。【首藤正徳】

地球環境高の長野予選

回戦

結果

対戦校

1回戦

4−0

木 曽

2回戦

0−0
(PK5−3)

松商学園

3回戦

6−1

飯 田

4回戦

2−0

松本県ケ丘

準々決勝

2−0

長野工

準決勝

4−0

明 科

決 勝

2−1
(延長)

上田西

 ◆松本育夫(まつもと・いくお)

 1941年(昭和16年)11月3日、栃木県宇都宮市生まれ。宇都宮工高を経て早大へ。1年時に日本代表入り。74年マツダの監督に就任。その後はユース日本代表監督や日本代表コーチを歴任した。96年からは京都GMを務め、99年4月にJ2川崎Fの監督就任。同年にJ1昇格を成し遂げた。00年には同チームの社長に就任したが、チーム編成や強化などの実権を取り上げられ事実上解任される。家族は妻と娘がいるが、現在は佐久市に単身赴任中。

 ◆私立地球環境高校

 長野県佐久市に今年4月、開校した広域通信制・単位制の普通科高校。母体は地元の学校法人が経営する、環境管理に関する専門学校。関東・中京エリアならびに長野県在住および在住予定の生徒を募集。通信授業による受講が基本で、月1回の通学が課せられる(サッカー部は週1回)。


 ◆全国高校サッカー選手権出場資格

 定時制や通信制でも、学年、就業年限とも通常の高校と一致していれば出場資格が与えられる。ただし部活動が教育活動の一環として責任ある指導者の下で継続的に行われていることが基本条件になる。選手の年齢制限は1983年(昭和58年)4月2日以降に生まれた者と規定されているが、同一学年での出場は1回限り。また選手の引き抜きを防止するために、転校生は転校後6カ月間は選手登録できない。4月開校の地球環境高はほとんどが転校生徒だったが、県予選が10月からだったため、ぎりぎりで出場することができた。

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