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  スポーツNOW(3月5日付)
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携帯電話片手に何となく相撲取り…でも出世したい

アンケート結果

 「就職場所」と言われる大相撲春場所(9日初日、大阪府立体育会館)、新弟子検査を62人が受検した。現代っ子力士に、かつてのハングリー精神を求めるのは難しい。携帯電話や携帯ゲーム機、ミニディスク(MD)を持参しての入門。「親のために」「有名になりたい」という強い意志で角界入りする者も減った。それでも、それぞれが覚悟を決めて新しい世界に飛び込む。62人の受検生にアンケートを実施、その素顔を探ってみた。

 

■「親孝行」1人

 「相撲の経験はないけれど、体の大きさから周囲に勧められ、貴乃花にあこがれて、携帯電話と携帯ゲーム機を手に入門する」。これがアンケートから浮かび上がった代表的な「新弟子像」だ。そこには、かつて言われた「ハングリー精神」は見えてこない。

新弟子の1日
朝神田(高砂部屋)の場合
6:30
7:00
起床
けいこ(しこ300回など)
8:00 ちゃんこ支度
9:00 けいこ場の片づけ
10:00 まわし干し
11:00
12:00
ちゃんこの世話
 
13:00 食事及び洗い物
14:00 風呂、着物の着付け
14:30
15:00
自由時間
 
16:00 部屋全体の掃除
17:00
18:00
ちゃんこの支度
 
19:00 食事及び洗い物
20:00
21:00
けいこタオルの洗濯
 
22:00
23:00
就寝
 

 56年、今から47年前の秋場所で初土俵を踏んだ大鵬親方は「我々の時代は、食べるために相撲部屋に入った」と話す。豊かになった今の日本では考えにくい。外国勢が5階級を制した初場所後、北の湖理事長は言った。「大事な一番での集中力が違う。日本人力士も見習わないと」。入門時から、精神面では外国人力士と大きな差がある。

 武蔵川部屋に入門した渡辺翔太(15)は、角界入りの理由を「親孝行したいからです。女手ひとつで育ててくれた母に家を買ってあげたい」と答えた。2月20日、大分空港で見送ってくれた母の笑顔が励みだ。力士のモチベーションを高める「親孝行」だが、今回のアンケートでそう答えたのは渡辺1人。自らの意思で入門したのも、62人中7人だけだ。半数は「勧められて」という他力だった。

 

■ピアス捨てた

 「裸一貫」も昔の話。半数近くが携帯電話を持っている。「一人前になるまでは家の敷居をまたぐな」も遠い昔。今は「いつでも連絡が取れるように」と、両親が持たせる場合も多いという。MDに携帯ゲーム機。自由時間には音楽を聴き、ゲームに熱中する。それが、今の新弟子たちのリラックス法だ。

 それでも「出世したい」という気持ちは強い。あこがれの力士は貴乃花が過半数。朝青龍、千代の富士ら横綱が続く。もちろん、そのために気合も入る。荒汐部屋の宮本吉久(16)は4年間外したことのないピアスを捨てて入門した。今でも両耳には3つの穴があく。「昨年、時津風部屋に預けられ、1度逃げたことがある。もう逃げません」と力強かった。

 成功を夢見るのは今も昔も同じ。そして、その道が厳しいのも。1カ月もたたずに逃げる力士もいる。1人も関取になれないかもしれない。それでも、飛び込んだら後戻りは許されないのが相撲界。現代っ子力士の挑戦が始まる。【盧載鎭】

志願者12人増も運動能力高い者減少

 春場所の新弟子検査の受検者は第1、2次検査を合わせて62人。戦後最少だった昨年の50人(合格者49人)を12人上回った。前年比で4年ぶりの増加だ。しかし、これで入門志願者の減少傾向に歯止めがかかるかと言えば疑問。人気力士のブームで一時的に受検者は増えるが、若い世代、運動能力の高い者の相撲離れは進む一方だといえる。

 文部科学省によると、現在全国の中学1万1159校のうち、相撲部があるのは399校でわずか3・6%。運動部最多の野球の81・1%とは比較にならない。高校も全国5472校のうち219校だけ。強豪校以外は存続の危機にある。かつて「相撲をとる」のは親子のコミュニケーションの1つだったが、それも遠い昔のことになった。

 もちろん、相撲界も考えている。今場所受検者が増えたのは、昨年秋場所の横綱貴乃花(現親方)の復活、初場所の引退で大相撲が注目されたこと、不況による就職難の影響などもあるが、若い部屋持ち親方の積極的なスカウト活動の成果も表れてきた。

 伝統的なしきたりや厳しいけいこなど、大相撲は現代っ子の感覚から遠のくばかり。価値観が多様化する今の日本では仕方のないことかもしれない。広報部長の高砂親方(元大関朝潮)は「まず若い世代に相撲のよさを知ってもらうこと。受け入れる側も、ほかの競技経験者に目を向けるなど柔軟な姿勢も必要」と、危機感を口にしていた。

 

◆入門規定と新弟子検査

 15歳以上23歳未満の義務教育を終了した男子で、身長173センチ以上、体重75キロ以上。入門者が減った01年から運動能力のある小柄な者にチャンスを与える第2検査を実施。167センチ、68キロ以上で、体力測定が課される。第2検査がなかった時代、170センチの元小結舞の海が頭部にシリコンを埋め込んで検査を受けるなど、涙ぐましい努力で通過を目指した。検査は本場所の数日前、審判部の立ち会いで体格検査と健康診断(心電図、エコー検査、内臓検査)が行われる。合格者はその場所初日に発表される。


 

◆外国人力士の入門

 外国人枠は92年夏場所途中から1部屋2人まで、全体で40人とされていたが、昨年2月1日から1部屋1人(既に所属していた外国人力士は含まず)に定められた。新弟子検査を受ける時は、確実な保証人2人と部屋の師匠の連署が必要で、日本語の面接テストがある。合格すると、外国人登録証明書を協会に提出する。

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