QちゃんよりもYAWARAよりも金に近いのは女子レスリング

スパーリングを行う無敵チャンピオン吉田
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Qちゃんよりも、YAWARAちゃんよりも、金メダルに近い女たち−。04年アテネ五輪の新種目、女子レスリング日本代表の強化合宿が14日から都内でスタートし、7階級24人の選手が参加。9月の世界選手権(米国)代表を目指し、その先は代表4枠となるアテネ五輪に続く。世界選手権優勝経験者8人を含む世界最強メンバーが、金メダル目指してサバイバル合宿でしのぎを削る。
55キロ級の山本聖と吉田、世界女王同士のスパーリングはガチンコ対決そのものだった。72キロ級の浜口は大声を上げて男性コーチを裏返し、48キロ級の山本美は貫録たっぷりにタックルを決める。過去15回の世界選手権で、2位フランスを30個以上引き離す80個のメダル(金36)を獲得した女子レスリング大国ニッポン。今回も、8人の新旧世界女王が同じマットで汗を流す。「お家芸」柔道や女子マラソンもうらやむほどの選手層の厚さだ。
浜口はパートナーを圧倒
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アテネ五輪代表枠は48、55、63、72キロ級と4階級に各1人。7階級で争う世界選手権やW杯と違って狭き門だ。当然、各階級のチャンピオン同士の出場権争いとなる。多くの世界女王を抱える日本では、五輪出場は金メダル獲得よりも難しいのだ。鈴木光監督は「同じ階級に複数の選手を出せれば、表彰台独占も夢じゃない。うれしい悲鳴ですね」と、自信たっぷりに言った。
柔道の田村亮子やマラソンの高橋尚子に五輪での期待がかかるが、55キロ級の金メダル確率はこの2人よりも上だといわれる。昨年の世界選手権を制した吉田は01年全日本選手権以降、2年近く無敗。最後の黒星は吉田の前の世界女王、山本聖に喫したもので、競技人生で外国人選手に1度も負けていない。対戦成績は5勝3敗で山本がリードしているが、最近は吉田の2連勝中。2人の争いに勝った方が、金メダルに限りなく近づく。
72キロ級は浜口の独壇場。あまりの強さに練習相手が見つからず、5月には男女合同合宿が行われる。63キロ級も昨年、伊調(いちょう)馨が高校生で世界の頂点に立ち、頼もしい。不安があるとすれば、世界でも激戦の48キロ級だが、百戦錬磨の山本美、その山本美に2連勝中の坂本真、51キロ級の女王・坂本日も階級を下げる予定で、人材は限りない。世界標準から突出する日本女子レスリング。鈴木監督は「金メダルの目標は4つ」と、完全制覇をもくろむ。2004年8月、日本中の目は「マイナー」と言われ続けた女子レスリングに向く。【牧野真治】
し烈!中京女大サバイバル
女子レスリングで世界の頂点にある日本で、さらにその頂点に君臨するのが中京女大レスリング部だ。6日のジャパンクイーンズ杯では、昨年12月の全日本選手権に続く7階級中5階級制覇。OGから付属高まで30人の選手は、いずれも世界レベルにある。吉田は「いつも気が抜けない。世界のライバルがチームメートなので」と話す。アテネ五輪では浜口の72キロ級以外の階級で、金メダル3個を狙う。
89年創部。杉山三郎部長(57)は「ここまでくるのに10年かかりましたよ」と話す。マットも買えず、グラウンドや芝生の上、時には倉庫で練習した。転機は女子レスリング五輪種目採用の機運が高まった96年。ソウル五輪代表で、それまで4人の世界女王を育てた実績を持つ栄和人氏(42)を監督に招いてからだ。
「指導は恋愛と同じ。どれだけ選手のことを考えるかです」という栄監督の熱血指導で、急激に力をつけた。大学も全面サポートする。部員の食事は、同大栄養学科の学生約30人が「調理隊」を編成し、栄養バランスまで考えて準備。総合健康食品会社リプレの支援も受けている。
女子レスリングに本格的に取り組む大学、企業は決して多くはない。入学金、授業料免除の特待生制度もあって、日本中から選手が集まる。最高の環境と指導。五輪をかけた大学内の争いは、さらに激しくなる。【田口潤】
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◆アテネ五輪メダルの可能性
過去3大会の日本の金メダルは、00年シドニー大会が5個、96年アトランタ大会が3個、92年バルセロナ大会も3個だった。11個のうち、00年女子マラソンの高橋尚子、92年女子200メートル平泳ぎの岩崎恭子を除く9個が柔道に集中している。柔道以外では金メダル獲得が難しいのが、日本スポーツ界の現状だ。
アテネでも柔道にかかる期待は大きい。しかし、今回は他の競技での金メダルの可能性も、これまで以上に高い。量産が期待される新種目の女子レスリングに加え、昨年のアジア大会で世界新記録を樹立した男子平泳ぎの北島康介や、陸上の女子マラソン陣が有力。ソフトボールもシドニー五輪後は米国との2強時代に入り、力の差は紙一重といえる。すべてがうまくかみ合えば、84年ロサンゼルス大会(10個)以来の2ケタ金メダルも夢ではない。
◆日本女子、強さの秘密
女子レスリングは、かつて「お家芸」と言われた男子の遺伝子を継いでいる。山本美憂、聖子姉妹の父はミュンヘン五輪代表の郁栄氏(日体大教授)、吉田の父栄勝氏も73年の全日本王者。浜口の父は元プロレスラーのアニマル浜口氏だ。いずれも幼少のころから英才教育を受け、世界の頂点に立った。五輪金メダリスト20人を輩出したレスリング王国の素地が、女子にも好影響を及ぼしている。
指導者の充実も見逃せない。五輪、世界選手権などを経験した男子が、積極的に女子の指導にあたっている。伊調姉妹、坂本姉妹は青森・八戸のキッズクラブ出身。子供のころからの指導が、金メダル候補を育てた。日本レスリング協会の福田富昭会長は、日本女子連盟の理事長として、長年にわたって五輪正式採用を訴えてきた。他の国よりも1歩も2歩も進んだ普及と強化。それが、日本の圧倒的優位につながっている。
◆ニッポン復活プロジェクト!
本年度の文部科学省予算に盛り込まれた、五輪で低迷する日本の再強化を目指す「ニッポン復活プロジェクト」の重点競技強化事業(4億5000万円)について、日本体育・学校健康センターは15日、4月末にも対象競技団体に助成募集を行うことを明らかにした。
対象競技は日本オリンピック委員会(JOC)の意見を参考にして決めるが、来年のアテネ五輪で複数の金メダル獲得が期待される柔道の男女、レスリング女子が最も高い評価を受ける見込みで、数千万円となる助成額は今後決まる。競泳、シンクロナイズドスイミング、マラソンなどが2番目の評価となりそう。
企業チームの負担軽減や国内リーグ活性化のために盛り込まれたトップリーグ支援事業(1億8900万円)の基準の概略も決めた。
◆女子レスリングの世界事情
日本が圧倒的に強いが、あえて挙げればロシア、米国、カナダ、中国がライバルとなりそう。五輪のホスト国となるギリシャは「日本に金メダルは1つも渡さない」と豪語、欧州ではスウェーデンの前評判も高い。世界の激戦区となる48キロ級は昨年の世界選手権を制したB・ワグナー(ドイツ)、I・カラムチャコワ(ロシア)らが強敵。カナダの72キロ級には昨年のW杯で浜口を破ったO・アクフォがいる。
◆女子レスリングの今後
第1次強化合宿は20日まで。5月には新潟・十日町で、実戦主体の第2次合宿(2〜14日)。その後、23〜30日の合宿(都内)には男女合同のメニューも組まれる予定。6月は、再び十日町で第3次合宿(16〜28日)。7月に世界選手権代表をかけた最終トライアル(同じ階級同士で対戦)を5、6日と15、16日の2度に分けて実施。世界選手権(9月11〜14日、米国)で上位5位以内に入れば。アテネ五輪出場枠を確保できる。日本の実力から見て、出場枠獲得そのものは問題ない。その後、国内選考が行われ、大会前にアテネ五輪代表が決定する。
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