杉山がウィンブルドンで単複同時ベスト10入り狙う

全仏テニス女子ダブルスで優勝した杉山、クライシュテルス組
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テニスのシングルス世界13位で、ダブルス同3位の杉山愛(27=ワコール)が、23日から始まるテニス界最高峰のウィンブルドン選手権で、日本人選手初の単複同時トップ10入りの快挙に挑む。今季は3月のステートファーム女子で5年ぶりにシングルス優勝。ダブルスでは全仏初優勝と絶好調で、シングルスの世界ランクも12位と自己最高位を更新した。ウィンブルドンは、2年連続でシングルス32強、ダブルスは2度の準優勝と相性がいいだけに、日本人選手前人未到の快挙も夢ではなくなった。
杉山が、夢の単複同時トップ10入りに向け、秒読み段階に入った。ダブルスは既に世界1位を達成。4大大会も全米、全仏と2度の優勝を経験し、現在は同3位と実力は証明済みだ。シングルスも5年ぶりのツアー優勝を遂げ、全仏では3年ぶりに16強入りするなど、トップ10が目前に迫っている。
杉山は「テニス人生の中で、今が最も充実している」と自信を見せる。弱点だった精神的な弱さも、経験の積み重ねで克服した。技術的には、小柄な体格でも、パワーに負けない体の使い方を研究。サーブのスピードがアップし、苦手だったフォアが切り返せるほどにショットの幅が広がった。
最新世界ランクで、単複同時に20位以内にいる選手は8人だけ。以前は、ナブラチロワに代表されるように、単複で活躍する選手も多かった。しかし、年々、層が厚くなり、競争が激しくなると、1種目集中型でないと生き残れなくなる。あの伊達公子でさえ、ダブルスに出場することはまれだった。だからこそ、現在の単複トップ10入りは大きな価値がある。
| 日本女子シングルス世界最高位 |
| 順位 |
選手名 |
期日 |
| 4 |
伊達公子 |
95年11月 |
| 12 |
杉山 愛 |
03年 6月 |
| 14 |
沢松奈生子 |
95年 2月 |
| 24 |
神尾 米 |
95年10月 |
| 26 |
遠藤 愛 |
94年 9月 |
| 28 |
長塚京子 |
95年 8月 |
| 〃 |
井上悦子 |
87年10月 |
| 44 |
雉子牟田直子 |
97年 3月 |
| 49 |
雉子牟田明子 |
90年 3月 |
【注】期日は最初にランクされた年月。 コンピューター世界ランクは73年開始。 杉山以外はすべて引退。 |
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73年にコンピューター世界ランキングが始まって以来、日本人選手がシングルスでトップ10入りしたのは伊達だけで、ダブルスでは杉山ただ1人。4大大会の単複両種目で8強入りしたのも、女子では沢松和子(現姓吉田)佐藤直子、そして杉山の3人だけだ。
前人未到の記録に挑むには、ウィンブルドンは最高の舞台となる。球脚が速い芝のコートは、ボールの弾道が低い杉山にとって有利に働く。「芝がとても楽しみ。今からとてもワクワクしている」。それでも、シングルスのトップ10入りには、組み合わせに恵まれ、自身初のベスト8以上の成績が不可欠だ。しかしそれも、今の杉山なら十分に期待できるだろう。【吉松忠弘】
◆杉山愛(すぎやま・あい) 1975年(昭和50年)7月5日、横浜市生まれ。5歳でテニスを始め、91年日本人初のジュニア世界ランク1位に輝く。92年プロ転向。00年全米ではデキュジス(フランス)と組み、日本人初の女子ダブルス優勝。同年10月にダブルス世界ランク1位。今年の3月にはツアーでシングルスでは5年ぶりの優勝を遂げ、全仏ダブルスではクライシュテルス(ベルギー)と組んで初優勝した。ツアー単複合計29度の優勝は日本女子歴代最多。家族は父忠正さん(55)母芙沙子さん(54)妹舞さん(21)。161センチ、56キロ。
◆杉山組み合わせ ウィンブルドンの本戦組み合わせが17日発表され、杉山は初戦で世界214位のアール(英国)と対戦が決まった。順当に行けば、4回戦で初のベスト8を懸け、ダブルスのペアで同2位のクライシュテルス(ベルギー)と対戦する。クライシュテルスには、今年3月に5年ぶりのツアー優勝を遂げた決勝で勝ち、対戦成績3勝3敗と相性はいい。
実は民間クラブの大会
◆大会の歴史 世界最古の歴史を誇るウィンブルドン選手権は、1877年に、わずか22人が出場した男子シングルスで始まった。大会正式名称は「ローンテニス選手権」。ウィンブルドンは会場のある街の名で、いつの間にかそれが大会の愛称となった。
ウィンブルドンと言えば、テニス界の聖地とも呼ばれるセンターコートが有名。1922年に建設され、収容人員1万3813人。大会期間中の2週間しか使用されず、毎年、初日に行われる同コートでの開幕戦は前年度の男子優勝者と決まっている。観戦チケットも当日券が約500枚しか販売されず、前売り券も抽選とあって、プラチナと呼ばれるチケットを求めて長い列ができる。
ウィンブルドンを「全英」と誤解する人も多い。全豪、全仏、全米はすべて国の協会主催で、ナショナル大会。しかし、ウィンブルドンの主催は会場の「オールイングランド・ローンテニスクラブ」で、実は民間クラブの1大会にすぎない。だからこそ逆に「ウィンブルドンはウィンブルドン。テニスとは違う」といった誇りが生まれ、選手が「最も優勝したい大会」として挙げるのである。
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