世界柔道開幕!個性派ぞろいの日本代表に注目だ
ニッポン柔道は井上康生と田村亮子だけじゃない! 明日11日、大阪城ホールで開幕する世界柔道選手権に臨む男子の初出場メンバーは個性派ぞろいだ。30歳で代表を勝ち取った66キロ級鳥居智男(了徳寺学園職)は300の技を持ち、81キロ級の秋山成勲(よしひろ、28=平成管財)は01年に韓国籍から日本国籍に替えた「銀狼」。90キロ級矢崎雄大(ゆうた、23=了徳寺学園職)は髪を真っ赤に染めて保守的な柔道界に新風を吹き込む。
引退した大相撲の舞の海は「技のデパート」の異名を取ったが、鳥居はその柔道版といっていい。編み出した技は「200や300じゃきかない」。背負い投げひとつを取っても20近いバリエーションがあるという。大阪での直前合宿でも横落としや浮き技といった奇襲の確認に余念がなかった。興味を持てばのめり込む性格で、高校時代から暇を見つけては新技の研究、開発を続けてきた。IJF(国際柔道連盟)が定める投げ技66本のそれぞれに微妙な変化や工夫を凝らし、関節技や寝技に連絡させる。中でも自ら「またぎ十字」と命名した内またから腕ひしぎ十字固めに持っていく大技は、即一本を取れる必殺技だ。相手の鎖骨を指で強く押さえ、ひるんだすきに技を仕掛けるような巧妙な? ものもある。
所属する了徳寺学園の山田利彦監督は、おう盛な探究心に感心する。東海大4年で主将を務めた時、鳥居が入学してきた。「ウエートトレの説明をした時に、おくせず質問してきた。自分が習ったやり方と違うってね。今でも講習会で率先して手を挙げるのは鳥居」。
趣味も多彩だ。専用スーツで身を固めてマウンテンバイクをこぎ、ロッククライミングは命綱なしで5メートル以上いける。趣味で養った脚力と握力、バランス感覚は柔道にも役立っている。
「代表になれなければ引退するつもりだった」。66キロ級の第一人者だった大学の1年先輩・中村行成の陰に10年以上も隠れていた。ラストチャンス、30歳で夢をつかんだ。「年寄りだとか、中村先輩が(引退して)いなくなったからとか、いろいろ耳に入ってくる」。悔しかった。飲んだ後のラーメン店で岡田監督に悩みを打ち明け、思わず涙がこぼれた。「グチを聞いてもらってすっきりした」。日本が8階級中最も金メダルから遠ざかっている(93年中村行以来)厳しいクラスで、オールドルーキーが意地を見せる。【岡山俊明】
◆鳥居智男(とりい・ともお) 1973年(昭和48年)5月30日、石川県金沢市生まれ。石川工、東海大、東海大大学院、百貨店勤務を経て02年了徳寺学園に。02年ロシア国際、講道館杯、03年嘉納杯優勝。170センチ、68キロ。血液型A。家族は父初男さん(53)母光栄さん(52)弟司さん(26)巧さん(23)。
◆鳥居の必殺技「またぎ十字」=左組みの鳥居が、右組み(けんか四つ)の相手に対して掛ける。
(1)内またの体勢で飛び込み、左足を跳ね上げる。
(2)その際、鳥居の左足は相手の右足の外側を通り、内またをすかされた格好になる。
(3)はね上げた左足を相手のあごの下にもっていき、同時に自分の両足で相手の右手を挟み、そのまま背中から倒れ込む。
(4)腕ひしぎ十字固めで一本!

赤髪にして気合の矢崎
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「赤髪」矢崎、努力ではい上がってきた!
髪を真っ赤に染めて出陣する明大出身の矢崎は、努力ではい上がってきた。中学1年で、古賀稔彦や吉田を生んだ名門・講道学舎に入門した。同期には100キロ超級の棟田もいたが、矢崎は練習に耐えられずに1カ月で辞めた。流通経大柏高で世界選手権中量級王者の岡野功氏と出会い、寝技を磨いた。決して柔らかくはなかった体を、毎日のストレッチで改造した。疲れて動けなくなるほどの練習後も、バーベルを挙げる。エリート街道を歩んだ棟田とは、明大で再会した。見かけから誤解を受けやすいが、柔道に対する姿勢はまじめそのもの。「自分は柔道家というよりも格闘家。記憶に残る試合をしたい」。自信を持つ寝技で、世界の強豪を仕留める。
「銀髪」秋山、韓国から日本国籍取得
01年に日本国籍を取得した秋山は、柔道界に金髪、銀髪を取り入れた元祖。今回は左側頭部に2本のそり込みを入れた銀の短髪で臨む。「見られると自分の力になる気がする」。韓国代表で01年アジア選手権を制した経験があるが、日本で生まれ育っただけに違和感があり「柔道をやる環境は日本が一番。自分にプラスになると思って」と国籍を変えた。得意の払い腰、内または電光石火の切れ味。体操の世界選手権で2個の金メダルを取った清風高の後輩、鹿島丈博に続きたいところだ。
世界柔道観戦ガイド
基本的なルールを頭に入れて、テレビ中継を楽しもう。判定の基準が分かりにくいという人は、自分で実際に判定してみて審判と比べてみよう。新ルールで導入された延長戦では、選手の戦い方も変わってくる。
◆柔道の技 投げ技と固め技の2つに大別される。投げ技は背負い投げなどの手技、払い腰などの腰技、ともえ投げなどの真捨て身技、大内刈りなどの足技、谷落としなどの横捨て身技に分類される。固め技は抑え込み技、関節技、絞め技に分けられる。禁止技は足がらみ、胴絞め、かに挟み、かわず掛けの4種類。
◆一本とは 相手の背中を勢いよく畳につかせれば「一本」で試合終了になる。「技あり」は一本に必要な3要素(背中のつき方、強さ、速さ)のうち、1つが欠けた場合に宣告される。例えば勢いよくたたきつけても体の側面から落ちたり、背中をつかせてもゴロンという感じで勢いが弱い時は一本にはならず、技ありになる。同様に「有効」は3要素のうち2つの不足。「効果」は相手の片方の肩、しり、太ももがつくように投げた時に与えられる。押さえ込みの場合は25秒で一本、20秒以上25秒未満で技あり、15秒以上20秒未満で有効、10秒以上15秒未満で効果となる。技あり2回で合わせ技一本になるが、有効以下を何度取ってもカウントはされるが一本にはならない。
◆注意、警告が廃止 ルール改定で反則が大きく2つに分けられ「指導」と「反則負け(危険な行為、柔道精神に反する行為)」だけになった。外国人にとって指導、注意、警告の軽重の概念が理解しにくいためとされる。指導は極端な防御姿勢を取ったり、技を掛けず積極性に欠ける場合、技の掛け逃げ(偽装)、不用意に場外に出た場合などに取られる。指導は2回、3回と増えていき、4回目は反則負けになる。
◆ゴールデンスコア(GS)方式の導入 5分以内で両者のポイントが同じ場合は、それまでの技の効果や反則をゼロに戻して延長戦を行い、効果でも指導でも、先にポイントを取った方を勝ちとする。延長戦は5分間で、それでも決着しない時は審判3人による旗判定に持ち込まれる。
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世界選手権日程と代表の過去の世界大会成績
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| 日 |
階級 |
選手名 |
年齢 |
所属 |
91 |
92 |
93 |
95 |
96 |
97 |
99 |
00 |
01 |
| 11 |
男100超 |
棟田康幸 |
22 |
警視庁 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
7 |
| 男100 |
井上康生 |
25 |
綜合警備保障 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
金 |
金 |
金 |
| 女78超 |
塚田真希 |
21 |
東海大 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 女78 |
阿武教子 |
27 |
警視庁 |
− |
− |
銀 |
5 |
× |
金 |
金 |
× |
金 |
| 12 |
男90 |
矢崎雄大 |
23 |
了徳寺学園職 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 男81 |
秋山成勲 |
28 |
平成管財 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 女70 |
上野雅恵 |
24 |
三井住友海上 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
5 |
敗 |
金 |
| 女63 |
谷本歩実 |
22 |
筑波大 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
銅 |
| 13 |
男73 |
金丸雄介 |
23 |
了徳寺学園職 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
銀 |
| 男66 |
鳥居智男 |
30 |
了徳寺学園職 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 女57 |
茂木仙子 |
24 |
三井住友海上 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 女52 |
横沢由貴 |
22 |
三井住友海上 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
5 |
| 14 |
男無差別 |
鈴木桂治 |
23 |
平成管財 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 男60 |
野村忠宏 |
28 |
ミキハウス |
− |
− |
− |
− |
金 |
金 |
− |
金 |
− |
| 女無差別 |
塚田真希 |
21 |
東海大 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 薪谷 翠 |
23 |
ミキハウス |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
銀 |
| 女48 |
田村亮子 |
28 |
トヨタ自動車 |
銅 |
銀 |
金 |
金 |
銀 |
金 |
金 |
金 |
金 |
92、96、00は五輪。数字は順位、敗は敗者復活戦敗退、×は初戦敗退
阿武は95年無差別と2階級出場してともに5位。女子無差別代表は未定
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