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  スポーツNOW(10月29日付)
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高くてクレバー19歳コンビが女子バレーを五輪に導く

大山加奈(左)と栗原恵 大山加奈(左)と栗原恵

 日本女子バレーボール史上初の10代レギュラーコンビが、日本を2大会ぶりの五輪に導く。来年アテネ五輪予選を兼ねたW杯は11月1日から開幕する。日本は栗原恵(NEC)大山加奈(東レ)の19歳コンビが主軸になる。ともに185センチを超える長身で、パワーあふれるスパイクが世界の壁をうち破る。かつての「お家芸」も00年シドニー五輪出場を逃し、昨年9月の世界選手権では史上最低13位に落ち込んだ。10代コンビが低迷バレーの救世主になる。

 話題づくりではない。高校を卒業後、すぐに代表に招集されて8カ月。長かった強化合宿の中で、2人はレギュラーを実力でつかみ取った。体育館内に響く、栗原、大山2人のスパイク音は、他の選手と明らかに違った。重く、そして強い。日本女子の柳本監督は「あの2人は、上の世代を力でねじふせたんです。最近の女子バレーではなかったことです」と目を細めた。

 2人に共通するのは(1)高さとパワー(2)頭脳(3)経験だ。(1)について柳本監督は「レシーブが乱れて相手ブロックが3人ついても打ち破れる」と証言した。ともに185センチ以上、最高到達点は3メートルを超え、世界と対等に戦える。(2)については「東洋の魔女」河西強化副委員長が「1度止められたら同じところには打たない」と感心する。瞬時に相手の動きを判断、スパイクの高さ、角度に変化をつけるクレバーさがある。(3)はともに中学時代から世代別代表に選ばれ、春高バレーも含め大舞台での経験が豊富なことだ。

◆大山、栗原の比較表◆
大山加奈 選手名 栗原恵
84・6・19 生年月日 84・7・31
東京都江戸川区 出身地 広島県佐伯郡
187センチ、82キロ サイズ 186センチ、68キロ
308センチ 最高到達点 305センチ
東京・成徳学園中−同高 経歴 兵庫・大津中−三田尻女高
東レ 所属 NEC
8歳 始めた時期 10歳
高3で選抜、選手権、国体の
3冠獲得
主なタイトル 高校時代は選抜、選手権など
4冠獲得
01年世界ユース
02年世界選手権
03年アジア選手権
代表歴 01年世界ユース
02年アジアジュニア
03年アジア選手権

 栗原は瀬戸内海に浮かぶ広島・能美島出身で、中学から単身で兵庫へバレー留学。三田尻女高(現誠英高)時代は全国高校選抜優勝大会(通称春高バレー)などで4冠。東京生まれの大山は小学6年で全国制覇。以来エリート街道を歩み、成徳学園高(現下北沢成徳高)3年時には高校3冠に輝いた。昨年フル代表としてアジア大会、世界選手権に出場している。

 すべてが順調だったわけではない。大山は「不安ばかりだった」と振り返る。苦しい練習で涙を流したのは1度や2度ではない。それでも耐えた。「誰もが立てる場所でないから」と栗原。吉原主将は「技術的にも自信がついてきた。ビービー泣くこともなくなってきた」と成長を認めた。

 日本が最後に五輪出場した96年アトランタ大会。小学校6年の2人はテレビを見て、初めて五輪を夢見た。その五輪を目指し、日本の夢を背負って2人はW杯のコートに立つ。【田口潤】


 ◆展望とアテネへの道 世界ランク2位の中国が優勝候補。センターには197センチの趙蕊蕊など有力選手がそろう。191センチのグリンカを擁して欧州選手権優勝のポーランドも有力。昨年世界選手権優勝のイタリア、日本人の吉田敏明監督率いる米国なども優勝争いに絡みそうだ。なお、W杯3位以内のチームが来年アテネ五輪出場権を獲得。逃した場合、日本は、来年5月の世界最終予選(東京)に回る。ここで(1)優勝(2)優勝国を除くアジア最上位(3)上記以外の上位2チームに出場権が与えられる。


低迷脱出へ自信「再建屋」柳本監督

 日本代表の柳本晶一監督(52)は真顔だった。「W杯でメダルを取って出場権を獲得する」。低迷久しい女子バレー。鼻で笑われてしまうところだが、今は違う。9月のアジア選手権では韓国に完勝して10年ぶりに決勝へ進んだ。就任9カ月。戦う集団に変えた。

 まずはしがらみを排除した。現在フリーの立場から、監督の所属チームの色が濃くなりがちだった近年の悪弊をなくした。「日本のトップアスリート集団にする」。吉原を7年ぶりに復帰させ主将に抜てき。19歳の栗原、大山を国際試合で辛抱強く使った。

 「三流の負け犬から二流のトップになった。メダルを取って一流になる」。91年に日新製鋼を5年で日本リーグ1部へ、99年に東洋紡を就任2年で初優勝へ導いた。自らを「再建屋」と呼ぶ柳本監督が低迷日本を引き上げる。

 ◆柳本晶一(やなぎもと・しょういち)1951年(昭和26年)6月5日、大阪市生まれ。76年モントリオール五輪出場。日本リーグ新日鉄では、選手兼監督で優勝。日新製鋼監督を経て97年からは女子の東洋紡監督就任。就任2年目で初優勝に導く。Vリーグ、日本リーグを通して男女日本一はただ1人。今年2月、日本女子監督に就任。

独自技消え、取り残された日本

 ◆低迷の原因 64年東京、76年モントリオールと2度五輪の頂点を極めた女子バレーが低迷を続けている。80年半ばから低落が始まり、00年シドニー五輪は史上初の予選落ち。60年初参加以来、最低でもベスト8を確保していた世界選手権でも昨年9月のドイツ大会で史上最悪の13位となった。

 低迷の原因を、日本協会の豊田専務理事は(1)強化システムの不備(2)コーチの不勉強(3)海外勢の進歩、と挙げた。(1)はサッカーのようなジュニア層からの一貫システムがなかなか構築できなかった。(2)は国内リーグばかりを考え、海外で勉強する指導者が減った。かつての時間差攻撃、回転レシーブなど、独自技もなくなった。(3)はアジア、オーストラリアなどバレー不毛の地も強化に力を入れ始め、世界のレベルが上がり、国内ばかり見ていた日本が取り残された。

 協会も新たな強化策に取り組んだ。2月には元カナダ代表監督の前田健氏が強化委員長に、「東洋の魔女」の主将だった河西昌枝さんが強化副委員長に就任。東洋の魔女ゆかりの地、大阪・貝塚市の元ユニチカ女子バレー部体育館にナショナルトレーニングセンターを設置。そこで約100日、強化合宿を行った。

 競技人口が減り続ける男子と違って、女子はまだ救いがある。ママさんバレーも盛んで、ライバルスポーツが少ないこともあり、女の子が取り組むスポーツとしてはバレーの人気は高い。栗原、大山のような素材が出てきたのも、そんな理由がある。

◆日本女子代表◆
背番号 選手名 年齢 所属 身長 体重
吉原 知子 33 パイオニア 180 63
辻 知恵 34 茂原 177 68
佐々木 みき 26 パイオニア 182 76
木村 加奈子 26 久光製薬 184 69
竹下 佳江 25 JT 159 55
高橋 みゆき 24 NEC 170 68
10 宝来 麻紀子 24 JT 187 68
11 佐野 優子 24 日本協会 158 53
12 杉山 祥子 24 NEC 184 69
15 木村 沙織 17 下北沢成徳高 180 61
17 大山 加奈 19 東レ 187 82
18 栗原 恵 19 NEC 186 68
※主将は吉原
◆女子日程◆
対戦国 場所
アルゼンチン 代々木第1体育館
エジプト
韓国
イタリア 名古屋レインボーホール
米国
トルコ 北海道立総合体育センター
ドミニカ
10 ポーランド
13 ブラジル なみはやドーム
14 キューバ
15 中国
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